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10代のあなたに届けたいコラム:大学時代に友達から教えられた「一つの側面だけで人を判断しない」ということ
大学2年生の秋、友人に激怒された一言が私を変えました
「お前は勉強“しか”していないじゃないか」。
その瞬間、私はこれまで気づかなかった自分の偏見と向き合うことになったのです。
目に映る行動や一面だけがその人の全てではない
みなさんは人のある行動、ある一面を見て不快だとか気に入らないとかと感じてしまうことはあるでしょうか。
私は正直に言うとありました。というか今でもついそういった感情が湧いてしまうことがあります。
しかし、その一面がその人の全てではありません。あなたにとって、私にとって、当たり前のことでも相手にとってはそうとは限らない。
偏見に縛られず、相手の別の一面も見て、対等な関係で付き合えたら良いなと思います。
今回は、そんな思いを自分にも向けて書いた文章です。
これを読んだあなたが相手を様々な角度から見ることになり、かけがえのない人たちと出会えることを願っています。
「お前は勉強“しか”していないじゃないか」と言われるほど、私が勉強に囚われた理由
私が勉強に囚われた理由は大学受験の失敗にあります。高校時代、私は勉強にほとんど関心を持たず、学校と部活を往復するだけの毎日を送っていました。
成績は振るわず、高校1年のクラス内順位は下から2番目。そして高校2年生の数学のクラス分けも一番下でした。
そんな私が大学受験で第一志望に挑むのは無謀でした。大学3年生になって、私なりにコツコツ努力を積み重ねましたが劇的な成長はなく、第一志望どころか第二志望にも届かず浪人することに。
浪人中、周りの友人たちは模試で良い成績を取り志望校合格へと近づいていく中、公式を使えば解けるような初歩的な問題すら解けない自分だけが取り残されていきました。
毎日毎日優秀な周りと比較して、劣っている自分に対し爆発してしまいそうな恥ずかしさを抱えながら、一年を過ごしました。
大学受験の失敗から「勉強至上主義」に
浪人しても結局第一志望も第二志望も受からなかった私ですが滑り止めで受けていた大学に入学できました。そして大学では大学受験の失敗を二度と繰り返さないと決意しました。
「誰よりも勉強して、誰よりも良い成績を残す」。その思いから、勉強だけにのめり込みました。バイトもせず、友人もほとんど作らず、ひたすら机に向かう日々。
そのおかげで、夏と冬に発表されるGPAは4点満点中、常に3.7以上で、周囲から驚かれるほどの成績を残しました。
「勉強至上主義」の私を変えた友人の一言
「勉強至上主義」に浸っていた私は、いつの間にか「勉強こそがすべてだ」と思い込むようになり、勉強をしない他人を見下していました。
試験前に過去問の答えを覚えて、試験を切り抜けようとする様子や、レポートをギリギリで提出する様子を見て、「なんで大学に通っているのに真剣に勉強しないんだ」と軽蔑していました。
そして、友人がクラブに通っていると知ったときには、クラブに通っていることを「くだらない」と言い放ち、怒らせてしまいました。そしてその時、「お前は勉強“しか”していないじゃないか」という友人の言葉が私の偏見を浮き彫りにしました。
友人の言葉から他人を見る目が変わり始めた
私はハッとしました。勉強しないクラスメイトやクラブで遊ぶ友人にも、私の知らない努力や価値があるはずなのに、私は「勉強をしない」という一側面だけを見て見下していたのです。もしかしたら、彼らは私が知らない場所で、塾講師やバイトをして多くの人に貢献していたかもしれませんし、サークル活動で大きな賞を取るような活躍をしていたかもしれません。クラブに通いながらも私より優秀で賢い人だっていたことでしょう。
この気づきの直後、私の大学生活は新型コロナウイルスの影響で大きく制限され、見下していた彼らの別の一面を知る機会を失ってしまいました。それだけに、「もっと早く気づいていれば」と後悔しました。
勉強だけでなく、彼らの多面的な価値に目を向けていれば、私自身の世界も広がり、より充実した大学生活が送れたはずです。
それでも、この経験は私を変えるきっかけになりました。大学3年生から始めたアルバイトでは、これまで築けなかったかけがえのない友人との出会いがありました。また、恋愛関係にも変化があり、それまで自分本位で長続きしなかった私が、就職活動を通じて出会った彼女と今でも良好な関係を続けられています。
まとめ「一つの側面だけで人を判断しないで」
私たちは、どうしても目に見える一側面だけで人を判断しがちです。しかし、人には様々な価値観や生き方があります。一つの偏った視点では、本当に大切なものを見逃してしまうこともあります。
「一つの側面だけで人を判断しない」。これは簡単ではありませんが、意識することで、私たちはもっと多くのかけがえのない出会いや発見を得ることができるでしょう。この文章を読んでくれたあなたが、人の多様な側面に目を向けるきっかけを得られたら嬉しいです。