まだ知らない世界がある
先日書いた「目には見えないマネー」の使い道をぼんやりと日々考えていて、これまたぼんやりとイヤホンを物色していた。
Shureというブランドのカナル型イヤホンが好みで、10年くらい前に愛用していたのだけど、残念ながら断線してしまっていたから後継機であるSE215という機種を買う足しにするかぁなどとぼんやーり考えていた。
そうして調べていく中で、「中華ブランド」というものが目に入った。
中国のメーカーのもので、どういうカラクリがあるかよく分かってないけれど、数万円で売られている物くらいの技術を搭載しているにもかかわらず、破格の値段で売られているものがあるらしいのだ。
そりゃやばか、ごつか〜ちょっと調べてみんばね!と、そのイヤホンのレビューを読んでいると、ちょいちょい意味のわからない言葉に出会った。
「DDよりやっぱりBAだから音がクリア」
「片側にBA5機積んでるのにこの値段はすごい!」
「素晴らしいけどリケーブルは必須かと」
「DAPで使用しましたが」
「mmcxの2.5mmにリケーブルしました」
「バランス接続で使用」
こんなワードの数々が、おふくろの味といえば、肉じゃが!みたいな、当然でしょ!と、みなさんご存知の!という顔をしてレビュー欄を飛び回っている。
僕はどんな音がするかを知りたいだけなのに、知らないワードに踊らされている。そんなレビューを読んでいると、やがて視界がチカチカと反転し、側頭葉あたりが謎の痛みを訴え、気づけば白目で泡をぶくぶくと吹いていた。
ま、それくらい朦朧とした。
わからない単語を検索し、ひとつひとつ解決していく。
DDとBAというのはイヤホンを鳴らす構造の違いであるとか、リケーブルというのはケーブルを交換することだとか、DAPというのは音楽プレーヤーのことであるとか、mmcxというのは接続端子の種類のひとつであるとか、2.5mmというのはプレーヤーに繋ぐ部分の端子のサイズであるとか、バランス接続というのは音の出力方法であるとか。
大変苦労したが、今ではそこそこ話がわかるようになってきた。この1日で、
「あーBA積んでるのね。まぁうちにはDAP無いし2.5じゃなくて3.5mmで繋ぐことになるだろうけど一応リケーブルする予定だしとりあえずそれで試してみるわ」
とか言えるくらいにはなった。どう?すごいでしょ。
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音楽が好きで、制作をしたりする過程で機材についてもあれこれと知識が増えていたから、イヤホンとかスピーカーとか、いわゆるオーディオ関係についてもそこそこ知識はあるぞと自負していたけれど、いざ一歩踏み込んでみるとそこはまるで知らない世界だった。そこにいる住人たちは彼らにしかわからない言葉でコミュニケーションを取っている新人類のように見えた。
しかも、音楽に直で関係する世界であるはずなのに、ちっともわからない自分がなんだか悔しかったのだ。
こんなふうにして、その世界の住人たちは今日も彼らにしかわからない言葉を駆使してコミュニケーションを図っている。
様々な専門用語が飛び交い、次から次に新しい言葉が生まれていく。
知識とは、もしかしたら「言葉の数」なのかも知れない。
現象や技術、製品、構造などをあらわす正しい言葉を理解すること。
正しく理解して、正しく使用すること。
だからたくさんの言葉を覚えて知識を豊かにしていきたいなと思うけれど、言葉に埋もれてしまうと、逆に何も言えなくなってしまうから、そこには注意しながらね。
まだまだ知らない世界が山程ある。
これから先どれくらい、その世界の扉を開けることが出来るんだろう。
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あ、イヤホンは結局買うことにしました。目には見えないマネー、使わせてもろたよ。
届くの楽しみです。
こんな駄文をいつも読んでくださり、ほんとうにありがとうございます…! ご支援していただいた貴重なお金は、音源制作などの制作活動に必要な機材の購入費に充てたり、様々な知識を深めるためのものに使用させて頂きたいと考えています、よ!