昔のバイト(ルールの話のつづき)

20歳前後くらいの頃に某遊園地でバイトしていた。

ある日、僕は身長制限のある乗り物の入口に立ち、ボーダーラインを超えるか超えないか危ういちびっ子の身長を測り、規定値を超えていれば乗り場に案内し、規定値に満たない場合は「もう少し大きくなったら乗れるよ!」と本人に言ってあげたり、親御さんに身長制限の説明をしたりする番をしていた。
子供1人だけで僕の前に来た時、身長が届かなくても素直に諦めて他のアトラクションや親の元に帰っていく。
これが、親や家族のグループと一緒に来た時にかなり厄介になる事が多かった。

子供の身長を測る

規定値に足りない

グループ内の大人(両親や親戚など)が「背伸びしろ!」と子供を煽る

それに乗せられて子供は背伸びをする

その光景を指さし、グループ内の大人が「はい、身長足りました。アトラクション乗ってもいいですよね?」とこちらに訴えかける

僕「すみません。身長が足りないお子様はご利用頂けません。」

グループ内の大人「身長足りてますけど?」

僕「背伸びをされていると正しい身長ではなくなってしまいます」

グループ内の大人「背伸びをしてはいけないとはどこにも書いてない」

この後はひたすら屁理屈を言い続けられ、やっと諦めてくれたかと思ったら、近くにいた他の従業員に僕の方を指さしてクレームを言いつける。
一瞬、僕の対応が間違っていたのかと錯覚してしまうほど、異様な光景だったのを未だに覚えている。

別のアトラクションでの話。
年齢ではなく学年で乗車制限があり、自分で運転するゴーカートタイプの乗り物の持ち場にいた時、母親とその娘2人が乗り場にやってきた。
母親が言うには「娘1人1台ずつ乗せて欲しい。自分はその様子を写真に撮りたいから乗らない」という事だった。
上の子は1人で乗れる条件を満たしていたが、下の子はまだ1人で乗れる学年ではなかった。
この場合、中学生以上の人が同行すれば乗ることが出来る。
同行者さえいれば、自分で運転する事も可能。
その説明をしても、母親は頑なに自分が乗るのを嫌がった。
「この子、大人しいんで1人で乗せてあげて下さい」
「お子様の安全の為にも、同行して頂ける方が必要なんです」
そう言った後の母親からの一言が衝撃的だった。


「安全じゃなくていいんで!!」


何度か説得を試みたが結局その3人は僕の持ち場のアトラクションには乗らずに去っていった。

自分のエゴのために屁理屈を言ったり、揚げ足を取ったりするのは見ていて本当に悲しい。
それを押し通した先で事故やトラブルが待ち構えているのを知って欲しい。
そのためにルールを設けているんだから。

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