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30年前の少年院(1)


18歳の頃、昼間のバイトの面接に合格しました
ヤンキーだったわけでもないので「さて、更正するぞ!」などという意気込みも皆無です
何となく夜遊びにも飽きてきたから昼型生活でもしてみるかー、そんな程度です
それに、犯していた罪はそろそろ潮時だなと感じていたのもありました
合格した新バイトは甘味処?みたいな所でラーメンもあった気がします
初日、テーブルの番号を覚えるのに精一杯でした
何で番号順に並んでないんだ…と思いつつ、何とかトラブルもなく終わりました
2日目、メニューが豊富でまだ覚えられていないもののセットの種類などは覚えたので何とかトラブルなく終わりました
そして3日目は休み
なので2日目の夜は1人でシンナー吸いながらそのまま寝てしまいました
(ほぼ辞めてはいたけどその日はたまたま)
明日の休みは狙っていた人との初めて2人で遊ぶ日なのでとても楽しみでした

朝方、狂った様に父親が部屋のドアを叩く音と怒鳴り声で目が覚めました
あまりのうるささに頭に来ながらドアを開けるとそのドアを掴まれて男が2人部屋に入ってきました

逮捕状を読み上げられ、ついでに部屋の捜索もして証拠品をいくつも押収されます
逮捕状を読まれる前、何で来たかわかるか?と問われたので、どれかわからないけどどれでもいいよと答えました
その時の心境は、とにかく「無」

昼間働き出して今日は楽しみな日だったのに!と軽いクレームも受け流され、寝てたので服もほとんど着てなかったから着替えるように言われます
ドアの向こうで祖母が震えていました
泣いてはいなくて、ただ震えていました
それを見た警察が耳打ちしてきます

「手錠は車でかけるから」

玄関を出た時、誰の見送りもありません
恐らく祖母がへたりこんでいたのではないかと今は思います
車の中で時間を告げられ、手錠がかけられました


補導歴は回数わからないほどあったけど、逮捕状が出たのは初めてで手錠も初めて
ドラマなどではずしんと重みを感じるように罪悪感の重さを表現されるけれど、正直なんともないなという印象でした
少し前から内偵されていたと言われたけど、住宅街に停まっている不審な車に気をつけることすらなくて全然気付いていませんでした
というより、いずれ捕まる日は来ると思っていたから気にもしてなかったのが正直なところです

走り出した車は家から最初のコンビニで停まりました

「1発年少だろうからしばらく食えなくなる。車の中で食っておけ」
そう言ってポッキーとコーラを渡されました
見慣れた商店街が窓の外に流れて行き、もそもそとポッキーを食べながらそれを見ていたけど不安や寂しさや後悔はありません
なるようになっただけ、それが感想でした

新宿警察の留置所は比較的綺麗で、少年房は女はひとつ(当時)
そして他に誰もいませんでした
番号は1番と呼ばれました

また別の機会に書くけど、鑑別内で再逮捕されて次は板橋に留置されます
そこでは104番でした
指名手配されていた共犯者が捕まり、その人が新宿署だったからのようです

そうしてわたしの社会での10代は18で終わりました


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