Sinn8826
はじめに
先日Chrono24でSinnの8826という腕時計を購入しました。ストラップすら着いていない、付属品なしの時計部分のみで、検索してもほぼ情報が出ない古いマイナー時計でした。しかしそのデザインに一目惚れしてしまったので、レビューをしてみたいと思います。
知っていること
まずメーカーのSinnのことは知っているので、少し紹介します。ドイツの腕時計メーカーで、航空機のコクピットウォッチ制作を原点としています。1000m潜れたり、-80℃でも時間を狂わせなかったり、潜水艦に使われるスチールを素材に使ったり、市販品をそのまま着けて宇宙に行っても問題なく動作したりなど、日常生活では明らかに過剰な超耐久の時計が人気です。どんな使い方をしても壊れないという安心感、質実剛健なデザインから、ロマンあふれる機能から、ファンも多いブランドです。
分かったこと
Sinn 8826と検索してもまともな情報はネットにはほとんどありません。色々調べて辛うじて分かったことは以下の通りです。
・1990年代発売
・チタン製
・ムーブメントはETA2892-A2(ハック付き自動巻、パワーリザーブ40時間前後)
・同じガワに複数の針・文字盤パターンがあった
後は定価すら分かりません。ETA2892-A2は比較的上級のムーブメントなので、機械式時計としての性能はそれなりに高く、定価だと30万円くらいはしたかもしれません。ただ、そんなことはあまり重要ではありません。この時計にはなんの前情報もなしに一見で分かる、『可愛さ』という最高の魅力がありました。
8826のここが可愛い①ダイヤル
なんと言っても12時・6時・9時位置の中心を向いた矢印が特徴です。この矢印が何を示しているかは分かりませんが、とにかく可愛らしさがあります。
夜光がトリチウムなので、経年変化によってクリーム色になっているところも最高に可愛いですね。それでいてミニッツトラックはしっかり刻んであり、視認性は良好です。
日付窓もただくり抜くだけでなく縁が傾斜になってます。日付が黒地に白文字なので悪目立ちせず、しかし白線で囲ってあって見失うことがないのもポイントが高いです。腕時計としての実用性がしっかり確保されていて、流石Sinnと言ったところです。
トリチウムはギリギリ残っているようで、真っ暗闇に置くと微かにまだ光ります。健気で可愛いです。
8826のここが可愛い②ケース
90年代の時計ということで、昨今ではあまり出ない36mm径のケースになっています。その上チタン製なので非常に軽く着けることができます。シンプルな形状ですが、細身のラグによって全体の丸みが目立ち可愛らしいフォルムとなっています。それでいて3時方向にリューズガードがあることが良いアクセントとなり、全体の印象が引き締まっています。裏蓋は各種機能が刻印されたソリッドケースバックで、Sinnの時計のウリである堅牢さが十分に感じられて良いですね。
耐水・耐磁・耐衝撃らしい
8826のここが可愛い③針
3針とも白で塗装されていますが、この塗装の精度が見事です。近くで見てもヒケやムラはなく、艶やかな輝きを保っています。
秒針も分針長さがあり、ミニッツトラックにしっかり届いています。これにより時刻の読み取りが非常にしやすくなっています。
短針はやや長めに感じますが、インデックスの矢印と合わせた結果でしょう。12時・6時・9時丁度には矢印と短針がピッタリ合わさった、さながらETのような感動の場面を拝むことができます。
"ET"
各針にはたっぷりと夜光が塗られていて、かつ夜光部分の形状を分けているため、針同士の識別も簡単です。暗所での視認性は群を抜いていたと思われます。
まとめ
Sinn8826は実用時計として必要な機能はしっかり押さえつつも、隠し切れない愛くるしさが滲み出ている素敵な時計です。誰かにこの可愛さが少しでも伝われば幸いです。