VJとは何かについての覚え書き
VJとは
以下はWikipedia上での定義です.
DJが複数の楽曲を組み合わせて音楽を作るように、クラブ(ディスコ)、コンサート会場で音楽に合わせてビデオ映像等を流したり、ライブで映像を組み合わせたり、リアルタイムで製作したり、あらかじめ作っておいた映像を流したり、その手法は様々。
要するに映像版DJとのこと.もともと存在していたクラブ文化に加えて,宇川直宏さんがビデオ映像を映し出したことがVJの始まりという伝説(?)があります.VJという呼び名の名付け親も宇川直宏さんだとか.
映像制作の中のVJ
映像を作るという最終目的は同じであれど,必要とされる環境の違いから別種の映像制作とは違うものが求められるみたいです.
比較対象として,たとえばミュージックビデオの映像作家との違いを挙げるならば,(もちろんこれらは勝手な妄想であり,すべてがこの限りではないですが)
・歌詞のはっきりしたポップな音楽が多い
・音楽がすでに出来上がっている
・歌詞やメロディーの表現を映像に落とし込まなければならない
・動画の作成に使用できる時間は比較的長い
・作成するのは画面に表示される映像のみ
一方でVJとして映像を作成する際の境界条件といえば,
・テクノ系の音楽が多い
・音楽は臨機応変に変更可能
・映像の自由度は比較的高い
・リアルタイムレンダリングの場合,実時間での動画の作成が求められる
・プロジェクタの画面だけでなく,LEDなどの光を用いた空間演出を行う
要するに,VJとして求められるものは ①自由度の高い光空間設計と,②リアルタイムレンダリングのための計算機科学の知識のようです.
ただ,幸いなことに②については,昨今のGPUとそのツール群の著しい進歩のために計算機科学に詳しくない私のような者でもそれなりに複雑な映像が作れるようになってきています.また,プリレンダリングと呼ばれる,事前に動画を出力しておいて当日は流すだけの状態にしておくことによっても②の問題は解決できるようです.
始めるには
TouchDesigner をインストールしましょう.リアルタイムレンダリングであれプリレンダリングであれ,TouchDesigner を習熟しておくことは避けて通れないと偉い人が言っていました.インストールは以下から
インストール後は
比嘉 了さんの講義資料を参考に基本的な操作方法を習得しましょう.ここまででほとんどの操作方法は習熟できていると思います.ほかにも TouchDesigner 界隈のレジェンドと目されている Matthew Ragan さんのチュートリアルをつっついてみるのもいいかもですね.また,有料ですが,TDSW という国内のコミュニティが月二回ほど TouchDesigner の講師を招待して講義を行っているのでそれを見てみるのもよいかと思います.
http://satoruhiga.com/TDWS2018/
http://satoruhiga.com/TDWS2019/
しかしどうすればVJができるの?
これは私も模索中です.対処法は二つあると思っていて,
1. 独学で音楽と連動するヴィジュアルを SNS に公開し続ける
2. VJやDJのコミュニティとつながりを持つ
自分の今の感覚から言うと,①はやはり難しいように思います.音楽と映像とのマッチングについて対象化が十分になされていない,言語化やチュートリアルが確立されていないのが現状であるように思います.以下の神田竜さんの記事は,とても精緻に言語化されていて大変ありがたいですが,この記事だけでは自分がVJをやるには大きなハードルがあるように思います.
https://www.ameet.jp/digital-imaging/485/2/
②について,現在進行形というか話が始まったばかりなのですが,Kyoto Sound Visual Meetupという有志で開いていただいた交流会に参加した際に「VJしたいです」と言っていたら,そのうちのお一方に連絡いただいてVJの機会をいただける可能性が出てきました.まだまだ,どうなるかわかりませんが,結果を含めて記事を更新できればと思います.