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株式投資はどのくらい利益が期待できるのか
今回は株式投資の利回りを見ていきます。
前回のnoteでは、企業が将来生み出すフリーキャッシュフローを予測できない限り現在の株価の妥当性を判断できない(つまり株価が上がるか下がるかは予測できない)という話をしました。
価値の将来予測
では株式投資はやはりギャンブルということになってしまうのでしょうか。
企業価値の図をあらためて見てみます。
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株主価値は事業価値と非事業価値から債権者価値を引いたものです。
事業価値がググッと伸びてくれれば、株主価値も伸びてきます。
(もちろん非事業価値が大きくなっても株主価値は上がります。)
事業価値は将来生み出される利益を指しており、正確な予測はできません。
ついでに、非事業価値には土地や他企業の株券等が含まれることも多く、こちらも正確な見積もりは難しい場合が多いです。
米国企業全体の将来予測
そこで、もう少しマクロ的な視点で見てみることにします。
1企業ではなく、例えばアメリカ企業全体の価値を考えます。
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アメリカ企業全体の価値とは、アメリカの経済そのものです。
アメリカの経済成長率が分かれば、アメリカ企業全体の価値の増加率も見えてきます。
過去、アメリカの経済成長率は3〜4%で推移していますので、アメリカ全体の株主価値もほぼ同様の割合で伸びていくと推測できます。
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https://ecodb.net/country/US/imf_growth.html
もちろん正確な将来予測ができないことに変わりはありませんが、
全企業を合算することで1企業のみの場合に比べてばらつきが均され、予測の精度が上がるのはイメージがつくと思います。
このように、1企業ではなく複数企業のグループ(国別や地域別、業種別など様々)にまとめて投資をすることでリスクを下げる手法を分散投資と言います。
米国企業への分散投資の過去実績
前置きが長くなりました。
今回はこの分散投資をした場合にどの程度の利益を出すことができるのかを、過去のデータから計算してみたいと思います。
◆前提条件
1.投資額は100ドルからスタート
2.米国株S&P500選出企業に時価総額荷重で分散投資
3.データは過去20年(2002/05/05〜2022/05/04)のものを使用
4.配当は20.315%の配当課税を引いて再投資
5.株式購入時の手数料は考慮しない
まずは20年間運用した結果を見てみます。
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赤線が配当を再投資した場合の運用結果を表しています。
2002/05/05に投資した100ドルが2022/05/04時点で449ドルになりました。
20年間で4.5倍ですので、年利回りはおよそ7.8%です。
銀行の定期預金はここ20年0.3〜0.015%程度の利率なので、株式投資に大きく軍配が上がります。
ついでなので積立投資もやってみます。
2002/05/05に100ドル投資した後、1ヶ月ごとに100ドルずつ追加投資していった場合の利回りを計算します。
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20年間毎月100ドル投資すると、投資総額は24,000ドル。
2022/05/05時点での結果は71,000ドルでした。
20年間で約3倍、年利回りは5.5%です。
この20年間で見ると最初に全額投資をした方が利回りは大きい結果となりましたが、積立投資のメリットは暴落時のリスクを下げることです。
この効果はまた別のnoteで計算してみたいと思います。
おわりに
今回は株式投資の過去の利回りを見ていきました。
アメリカは投資文化が進んでいるだけあり、ヒストリカルデータを提供しているサイトや企業が豊富にあります。
今後別の角度からの分析もやっていきたいと思います。
日本企業の分析もやりたいのですが、なかなか扱いやすいデータを提供しているサイトが見つからないんですよね、、
良きサイトをご存じの方がいらっしゃったら教えて下さいませ。。