サンタさん
クリスマス。
大人になってからは大層な良い思い出は大してないのだが、子供の頃は自分の誕生日と並んで心躍るイベントの1つだった。お年玉を収入源にしていた子供時代に少しでも高い欲しいものが手に入るビッグイベントであるのだから。
いつもより豪華な食事が並んで、プレゼントが貰える。そんなものハッピー以外の何者でもないだろう。
さて、そんなハッピーを運んできてくれる功労者の1人にサンタクロースがいる。
サンタさんをいつまで信じていたか、はなんとも言えない間柄の関係の果てのクリスマス近くの時期に稀に話題に上がるトピックの1つであると思うのだが、私がサンタクロースを信じなくなったのは幼稚園の頃だ。
幼稚園児なんてサンタクロースを信じている時代全盛期の年齢のはずだし、サンタクロースを信じていない幼稚園児などなんて可愛くないのだろうと思うだろう。しかし、信じなくなったのにはきちんとした理由がある。
幼稚園のクリスマス会。
そこに真っ赤な服にもふもふとした長い白髭を纏ったサンタクロースが現れた。
サンタさんだ!と内心で心を躍らせながら、ワイワイとサンタさんをゲストに楽しくクリスマス会が進んでいき、最後にサンタさんと記念撮影を撮ることになった。誕生日順で並び、運良くサンタさんの隣に立つことになった私はドキドキしながらサンタさんの隣に並んだ。チラリと左隣のサンタさんを見た。
ん?
その時、私は目に写ったものを見て内心で首を傾げた。
お髭がガムテープでくっついてる………?えっ?どういうこと?えっ??
あまりの衝撃にびっくりしていると、サンタさんを挟んだ向かい側で同じような顔をしている男の子と目が合った。ガムテープだよね?うん、そうだね。と目線だけで彼と会話をした。ガムテープが見えた瞬間、よく見たらおじいさんでもないしお兄さん寄りの人じゃんと冷静になった。
そこから後の写真撮影が終わってからの記憶はあまりない。しかし、その瞬間から私がサンタクロースはいないのだと悟ったのは確かである。
幼稚園の頃の記憶などあまりないのだが、この瞬間の記憶だけは今でも鮮明に思い出せるので、本当に衝撃的だったのだろう。
あまりにも鮮明に思い出せるので、記憶補正で盛ってないか?と自分の記憶を疑ったこともあるが、成人式の後の飲み会でみんなで思い出話に花を咲かせていたとき、その瞬間に目が合った男の子とこの話題で盛り上がったから記憶に間違いはない。「ショックだったよね」「そうだね、びっくりしたね」と頷きながら酒を口に運んでいた。
だからといって、サンタなんていないよ!と声高に叫ばなかった私は非常に良い子であると思う。多分叫んでなかった。多分。幼少期の記憶がほぼないので定かではないけれど。
こんなnoteを読んでる人間にサンタさんを信じてる人はいないと思うんですが、ここで定義する「サンタさん」はパブリックイメージの赤い服を着てトナカイがひくソリに乗り良い子が寝ている間に不法侵入をしてプレゼントを置いていく「サンタさん」であり、実際にフィンランドにサンタさんは実在するし、みんなの心にサンタさんはいます。
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