専業主婦と貿易は似ている?
経済学を勉強していると、これって身近な例にあるよなということがある。よくある例としては、「ビールを飲んで1杯目を飲んで得るときの満足度と、2杯目、3杯目と飲んで得られる満足度だったら、飲み進むにつれて減っていくだろ?これが収穫逓減だ!!」みたいな。
専業主婦はどれぐらいいるの?
これと似たことが、専業主婦でもおきていると思うのだ。
まずはこれを見てほしい。
このグラフから見てわかることは専業主婦の数はどんどん減ってきていているということである。次にこのグラフを見てほしい
これはよく言われるから、知っていることもいるだろう。
女性の大学進学率はどのくらい
次にこのグラフを見てほしい。
昭和55年が1980年であるから、そこから女性の大学進学率は一気に伸びている。
ここから専業主婦の割合と女性の進学率には強い相関(因果ではない)があるということが分かる。
比較優位について
これを理解する方法の一つとして、「比較優位」という考え方がある。
これは別に難しい話ではない。まずは、「機会費用」という概念を理解しよう。「機会費用」とはある行為をしたときに、その時に実は使ってしまっている費用のことをいう。例えば学生にとって、勉強の機会費用とはアルバイトして得られるはずの金銭がその機会費用に当たる。
そして、「比較優位」とは貿易において、二国間貿易(A国とB国としよう)を行うとき、より小さな比較優位に特化する方が、両者ともに利益になるということである。詳しくはWikiにでものっているので見てほしい。
大学進学と給料
次に大学進学と生産性について考えてみる。
大学進学を選択する理由としては、大学進学した方が給料が高くなるからだというものがある。ここで、給料が高くなる理由として、大学に行った場合は生産性が高くなるからだという説明がある(これは一般に「人的資本モデル」と言われる。これとは別に「シグナリングモデル」というものもある)。
女性の大学進学と専業主婦
さて、ここからが専業主婦と大学進学率の問題である。
「比較優位」の概念を使って、専業主婦について考えてみると、1980年代の大学進学率はかなり低かった。そのため、その当時家庭では夫と妻でかなり大きな生産性の違いがあったといえる。
この場合、夫と妻は、会社労働と家事労働では夫の方が会社労働に比較優位を、また妻の方が家事労働に比較優位を持っているといえる。この理由が以前大学進学率が低い中で、専業主婦が多かった理由を言える。
しかしながら、大学進学率が高くなるにつれて女性の大学進学率が高くなってくることで、女性の生産性が高まってきたから、専業主婦が減ってきたのだといえる。
ここまで書いてきておいて・・・・
さてここまで書いてきておいて、なんだがここには説明できないことがある。
それは共働きの世帯が増えてきているということだ。
比較優位の説明であれば、そもそもどちらか生産性の高い方に特化すればいいので、共働きになる必要がない。つまり、ここでは専業主婦の人が以前は多くいて、それが減ってきたことは説明可能であるが、共働きの増加については説明ができてないということである。
次に、そもそも大学進学率がなぜ高まったのかの説明もできない。大学進学率が高まったから、専業主婦ができたといっても、じゃあなぜ大学進学率が高まったのかわからないのでは、あまり良い説明とは言えないだろう。
引用元
図1 図12 専業主婦世帯と共働き世帯|早わかり グラフでみる長期労働統計|労働政策研究・研修機構(JILPT)
図2 男女共同参画白書(概要版) 平成30年版 | 内閣府男女共同参画局 (gender.go.jp)
参考文献 クルーグマン国際経済学 理論と政策 上貿易編
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?