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どんな街にでも、きみに会いに行く

アナザーワールドエンド。

ユニゾンの最新アルバムに収録されている曲だ。タイトルを聞くと、脳内で自然と、既存曲の「アナザーワールド」と関連付けられる。発売した当時は、「続編あったんだな〜」としか思っていなかった。イヤホンで聴いている分には、である。ライブで初めて耳にすると、歌詞の見え方が一瞬で変わったのだった。


「BEST MACHINE」。ぴあアリーナMMのツアーファイナルを見てきた。ベスト盤を引っさげたツアーだから、あまり身構えていなかった。MV、シングル等、有名な曲ばかりやるのかと思っていた。わたしの予想はおおよそ当たっていた。

しかし、ふと、わたしの目の前にあらわれた「アナザーワールドエンド」。車に乗っている最中、道路に鹿や猪が出てくるくらい、突然の出来事だった。「そうか、ここで歌うのか」

ライブでは、感覚が研ぎ澄まされる。映画を観るシチュエーションににているかもしれない。照明は非常灯以外ほとんどない。音は外に漏れないように遮断されている。ステージも正面にあるだけで、観客は他の方向に視線が向かない。

日常で「音を聞くだけ」の時間を設けている人は少ない。クラシックやジャズ好きにはよくいる。ロック好きにはあまりいない印象だ。たいてい、何か作業をしながら、音楽を楽しんでいる。そう、このnoteを書いているわたしのように。何気ない日常を彩り、元気づけるために流すのが現代の音楽というものではないか。


さて、研ぎ澄まされた状態で聞くこの曲には心底驚かされた。

「たまにはねえ会いにきてよ」

ライブで僕らに会いに来て。インディーズのころの彼らは、そう思っていたのだろう。昔からスタンスは変わっていないが、メジャーになった彼らは滅多に言わない言葉の1つだろう。

「見覚えある街がひとつずつ増えて」

下北沢で成長し、仲間も増え、東名阪ツアーをできるくらい、バンドとして大きくなった。福岡、仙台、神戸、広島。たくさんの街を訪れるほど、その雰囲気をなんとなく掴んでいく。見覚えのある道や建物が増えていく。京都に修学旅行に行った思い出が、大人になった今行っても思い出されるのに似ている。

「聞こえる限度はやっぱあるから」

できるだけきみの近くに行くからね。メジャーになった今でも、彼らがモットーにしていることだ。どんなに小さな街でも、どんなにキャパシティが小さいライブハウスにでも。待っているファンのために遠征するのが、他のバンドにはない、彼らの素敵なところだ。

「どこかで多分潰えてても 不思議じゃなかったからわかる」

潰えるという単語自体、あまり耳にしない。読み飛ばしていた。でも、ライブを聴いてやっとわかった。バンドなんていつなくなってもおかしくないということだ。

インディーズバンドをやっている身からするとよくわかる。バンドの解散や活動休止なんて、いとも簡単に起こる。昔は、音楽の方向性の違いだとよくいわれた。今は、将来の選択肢の多さが原因だ。音楽活動を真面目にやりたい人、裏方に回りたい人、就職したい人、大学や大学院に進みたい人。将来の方向性といってもいいだろう。

「もう少しこのペースで歩くよ」

彼らはまだ、もうちょっとだけ音楽を続けていくみたいだ。20thでは解散の噂も出回っていた。21周年のツアー概要が出たということは、当分は心配なさそうだ。

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