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場所と音楽は密接に結びつく
数年前、実家の福岡を出て、兵庫県の姫路市というところに住んでいた。生まれて初めてのバイト先は、姫路駅の目の前にあるドトール。駅から家まで離れていたため、姫路城の隣を通って出勤していた。
その頃、何やらUNISON SQUARE GARDENの斎藤宏介が新しいバンドを始めるらしい、という噂が流れてきた。その名もXIIX(Ten Twenty)。はじめてのアルバムであるWhite Whiteを聞きながら毎日通勤していた。だから久しぶりに城の近くを訪れると、脳内で「Light & Shadow」が再生される。
…
高校生のころ、当時付き合っていた彼女とバドミントンをしにいった。あれは多分春の暖かい日だったと思う。彼女の実家の近くには行ったことがなかったから、そのあたりの大きな公園でやろうという話だった。
わたしの家と彼女の家はかなり離れていた。だから中間くらいにある駅で待ち合わせして、バスに乗って彼女の家の方に向かった。所要時間は30分強。昼の暖かい日差しでお互い眠くなっていた。今思うと甘酸っぱい青春だけど、気がついたら肩を寄せ合って眠ってしまっていた。わたしだけ目を覚まし、少しさみしくなった。こそっとイヤホンをして、おもむろに音楽を聴き出した。そのときに聴いていたのが「春が来てぼくら」だ。バスの暖房と心地よい揺れがこの曲を聴くとふと蘇る。
わたしが訪れた場所には、思い出とともに音楽が結びついているらしい。それは両方向から思い出される。音楽を聴いたとき、聴いていた場所や年齢、心境が、場所に行ったとき、リピートしていた音楽、よく聴いていたアーティストが。音楽と場所が密接に手をつなぎ合っている。
しかし、たまにこの曲はどこで聴いてたっけ?とか、この場所(時代)はどんな音楽とともに生活してたっけ?と疑問に思うことがある。
音楽と場所、そして時間をも、同時に記録してくれるアプリがあったらな。
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