ミリキャスにおけるはるみずコンビの奇跡と真実

 2023年2月28日を持って、ミリオンキャスティング第一回が幕を閉じた。伝奇ホラーテーマでは姉役と従姉妹役で最後の最後まで接戦を繰り広げ、注目を集めたことだろう。

 といったところでこのツイートの一枚目を見てほしい。

 これは2月23日に行われた、「春香陣営単体の一斉投票」の最中のグラフである。しっかりと、伝奇ホラーテーマ全体の票の伸びをよく見てほしい。

 春香陣営単体の一斉投票であるというのに、同じくらい姉役瑞希が伸びている。

 後述するが今回の投票企画・ミリオンキャスティングではペア投票が可能になっている。そのため、結びつきの強い陣営があれば片方の一斉で別の役のアイドルにも大きく票が入るようになっていた。
 これを聞いたら皆思い浮かべるだろう。既存の組み合わせが強くなるに決まってんじゃん、と。実際その通りで、各陣営が狙ったのかそうでないのかは置いといて、ペア票が大きく入るのはたとえばみずももやまつこの、たかみずのような、今まで関わりのあった組み合わせのアイドルたちが多かった。
 しかしそんな中で突然、絡みらしい絡みもない天海春香と真壁瑞希のペア票が爆増した。これには驚いた人もたくさんいるだろう。だが、これは決して突然でもなければ、しかし誰も狙っていない、超奇跡的な自然発生票だった。春香陣営も瑞希陣営も手を組もうと共闘関係を結んだわけではなかったのだ。どうにかしてこれを伝えたい一心でこれを記すので、マジで本当にこの奇跡を分かち合おう

 なお、筆者は瑞希陣営の(多分)中心辺りで戦略についてよく議論していた。そのせいもありこのnoteは瑞希P目線のものとなる。また、当然ながらすべての票、動きを理解できているわけではない。表題には真実と記しているが、こいつははるみずの経緯をこう思ってんだな~ぐらいで受け止めてほしい。

前提:ペア票/第二回について

 まずは今回のミリオンキャスティングにおけるペア票についてざっと解説を挟んでおこう。長くなるので、すでにミリオンキャスティングの仕組みを理解している人は読み飛ばしても構わない。

 4回目となる今回のキャスティング企画では新たに、ペア投票が可能となった。同じテーマ内で2役に投票が可能になり、戦略に大きな幅ができた。第一回では、同テーマ内の他役のアイドルからどれだけのペア票をもらえるかが大きな鍵を握った…と筆者は勝手に思っている。
 でもペア票があるっていっても浮動票もデカいよね?と思った方もいるだろう。浮動票とは、選挙のたびに投票する政党や候補者を有権者が変える未確定な票をいう(ブリタニカ国際大百科事典より)。ミリオンライブのキャスティング企画においても、担当に票を入れ続ける人ばかりではない。担当が複数人いる人や箱推し層、担当に入れることにこだわらない人など、投票理由はさまざま。あらゆるコンテンツでそうであるように、熱心な人間よりライトに楽しむ人間の方が人数としては多い。だからキャスティング企画においても浮動票の占める割合は大きく、浮動票をいかにして味方につけるかが従来のキャスティング企画のポイントだった。
 従来ってことは今回は浮動票がなかったんですかと言われたら、いや、確実にあったし姉役最後の激戦は浮動票をつかみ取れるかの勝負ではあった。が、少なくとも伝奇ホラーにおいては最終日までの間はペア票のほうが大きな役割を果たしていたように見えた

 また浮動票が極端に減った要因として、今回のミリオンキャスティングが二回構成だったことも挙げられる。従来は15役を狙って37人、39人、あるいは52人で競い合う中で、戦うことができず脱落してしまう陣営が多く出ていた。人間は自分の持つ票が死票になることを避けようとする傾向がある。ので、脱落してしまった陣営の多くは競っているアイドルたちに票を入れようとする。特に終盤はこういった動きが大きくなる。
 が、今回は「第一回の3テーマ15役で当選した15人を除いた37人で、1テーマ5役で第二回投票を行う」という仕組みが発表されていた。これにより、第一回時点ですでに票を温存する陣営、第一回の役に参加していたが勝てないと見て第二回狙いに切り替える陣営が多く生まれた。終盤以外で強く浮動票の動きを感じなかったのは、このような形で非常に多くの陣営が票を使わず貯めることを決めていたことも要因に挙げられる。

1.中盤までの勢力図

 まずは中盤までで、伝奇ホラー内におけるペア票の協力関係がどうであったかを記しておこう。

 ペア票制度は実質的な協力関係を生み出した。多くの人が自分の投票したいアイドルとともに、そのアイドルと関わりの深い別のアイドルにも投票をしていた。

 他テーマのことは気にする余裕がなかったのでわからないが、伝奇ホラーテーマ内においては、陣営単位で直接手を組もうとかけあって手を組んだ陣営は一切なかった。直接協力を要請しに行くのはどうかと陣営内で提案した人はいたが、陣営内で反対され、実際に別陣営に協力関係を申し込みに行った事例はなかった。
 ……いや、あるにはある。実は初日に千早Pが(おそらく千早陣営内で相談せず個人で)春香コンベに協力を要請し、そしてすっぱり断られてしまったらしい。私はこの流れを実際に見ていないのでこれ以上の言及はできないが、おそらくこれによって伝奇ホラーテーマ内に直接協力を頼みに行くのはタブーと言う空気が出来上がった。そうなると上記のような、従来絡みのあるペアでの投票が自然と多くなる。そうして特に陣営の意図なく生まれた協力関係はセーフ、という感覚があったと思う。というわけで「実質的な協力関係」なのだが、これを前提としてこれ以降は「実質的」を省略します。長くなるから。

 そんな空気の中生まれた協力関係の中でも、中盤までで大きかったのは瑞希-貴音ペア、瑞希-桃子ペア、まつり-このみ、春香-千早ペアだった。長くなるのでそうなった経緯は省くが、どれも従来の絡みを持つペアである。

一例として、上のツイートでは2/7の瑞希陣営単独一斉投票。特に貴音と桃子が一緒に伸びている。こうして伸びているのは瑞希陣営が貴音・桃子に投票したのはもちろん、貴音陣営・桃子陣営が瑞希陣営の一斉だからと参加してくれたのもある。

2.はるみずの兆し

 実は序盤から個人的に春香と瑞希のペアを推す人はいた。17歳の同郷(神奈川出身)従姉妹という言葉を見て私もへ~そんな共通点があるのか~と思った。
 開始数日たって姉役に千早陣営が参戦したとき、瑞希陣営は警戒していた。なにせ前回大敗を喫した相手であるし、同じテーマ内に春香陣営もいる。2月3日のみきつば同日一斉が大きな影響を与えたことは記憶に新しく、はるちはペア票で千早陣営が大きく票を伸ばすことを警戒していた。警戒はしていたが、瑞希陣営のTwitterコミュニティ内では「Twitterへの投稿から誰と誰が一緒に投票されているか大体調べて視覚的にわかるようにした図」を引用し、春香と瑞希・千早それぞれペアでツイートされている数がそこまで変わらないことが共有された。

 もちろんツイートのない投票の方が圧倒的に多いし、ツイートからは投票された票数はわからない。多分はるちはペアの票が多かったとは思う。しかし春香陣営の票が千早にしか流れていないわけではなく、ある程度姉瑞希に投票してくれる人もいるという印象が瑞希コミュニティ内で広がった。それもあって、瑞希陣営から春香陣営への印象は良い方だった。
 それ以降徐々に徐々に瑞希陣営から春香陣営への印象はよくなっていく感じがした。このみ陣営に悪い印象を抱いていたわけでは決してないが、このみ陣営はまつり陣営との協力関係があった。従姉妹陣営ともし協力するなら春香陣営だろうという暗黙の共有意識があったように思う

3.戦局変化による協力関係の変化

 14日に多くの陣営が一斉をして以降、戦局が大きく変化していった。姉役3位の千早陣営、医師役3位の美也陣営、医師役2位の歌織陣営がコンベにて撤退を検討し始めた。検討し始めたというか、撤退して切り替えた方がいいのではという意見が出て、そのまま行きたい派とかなり議論になっていたと言う方が正しいだろうか。
 結果としては千早陣営は撤退、美也・歌織陣営は継続といった構図になる。瑞希陣営としては、千早陣営が撤退したことで春香陣営から瑞希陣営へのペア票が少し増えるのではないかと言う期待があった


 また医師陣営の二つは継続して戦うことになったが、歌織陣営は17日、23日に一斉投票を行うも票が伸び悩んでしまっていた。個人的に23日のお寝坊投票(起きた時間に投票する)はすごく楽しそうだなと思ったのだが、票数が伸びなかったのは一位を狙えるかどうかで見ればかなりの痛手になったと思う。とにかく歌織陣営が伸び悩んだということは、医師一位の貴音陣営が一位を保ち、そのままゴールする確率が高くなったということだ。23日を過ぎたあたりから、たかみず支援派の中には「まだわからないけれど、超積極支援をしなくても貴音陣営は一位をとれるかもしれない」という予想がほんのり生まれた。皆さんご存じの通り桃子も2位と大差を突き放しており、おそらく妹役一位は確定だろうと思われていた。以降も瑞希陣営内のみずもも派・たかみず派の人は安定していようが何だろうがしっかり支援していたが、それはそれとして接戦である従姉妹陣営、ひいては春香陣営に目が向きやすくなった

 これらは私の所感で、直接的にこういうことを口にしていた人はいなかったはずだ。ただ、これらのことがはるみず支援の基盤になったのではないかなと個人的に思っている。

4.はるみず従姉妹デー

 上の23日より時系列が前にズレるが、春香と瑞希の組み合わせが見たいと推していた春香P、瑞希Pたちにより2月17日に#はるみず従姉妹デーが開催された。春香と瑞希のこんな従姉妹関係が見たいというツイートやイラスト、ダイマ資料を個人的に投下していくというTwitter上の盛り上げ企画である。
 これはマジで個人的に企画されたもので、戦略的意図はなかった。私は瑞希陣営の戦略議論にほぼすべてに口を出していたが、はるみず従姉妹デー企画はTwitterコミュニティ内に「こんなのやりますね」という宣伝が投下されるまで一切知らなかった。少なくとも瑞希陣営の中心とは別の場所で企画されたのである。瑞希コミュニティ、コンベでさんざん言われていたが、「(たとえ多くの人が特定のペアを推していても)個人個人で好きなペアを推していい」というのが瑞希陣営のスタンスだったため、この企画を特に止める必要はなかった。春香と瑞希のペアはなんとなくいいなと思う人も結構いたので、むしろ歓迎的なムードだった。春香陣営の方がどうだったかはわからないので、春香陣営の方、その辺ぜひどこかに書いてください。わたくし気になります。
 開催されたはるみず従姉妹デーで、二人の関係を推している人たちは前からはるみずを推していた少数のメンバーだった。多くの人はそれを見るにとどまっている状態であった。終わった後、はるみず従姉妹デーは決してはるみずで手を組むことを決めたから開催されたのではなく、推している個人が勝手にダイマする企画だということも明言された。

 しかし今考えると、おそらくこのはるみず従姉妹デーが、はるみずの関係に強力な後押しをしたのだと思う。

 はるみず従姉妹デーは多くの人に、なるほどこの組み合わせは見てみたいかも、と思わせた。実のところ私も、このはるみず従姉妹デーで見たダイマ資料・イラストがきっかけではるみず従姉妹が見てみたいと強く思うようになった一人である。
 とはいっても、はるみず従姉妹デーはタグで検索して投稿を見て楽しむ企画である。検索するのは最初からはるみずに興味がある人だ。もともと興味があった人を引き込む効果はあっても、そこまで大きな影響はないだろうと私は考えていた。でもあわよくば、23日20時からの春香陣営一斉でちょっとくらいは瑞希陣営へのペア投票が増えたらうれしいな~と淡く期待を抱いていた

5.はるみず支援の爆誕

 そして23日、蓋を開けてみるとあわよくばどころではなかった。

 まず20時からの30分間で春香陣営は34,815票伸びた。それに伴い、瑞希陣営も17,951票伸びたのである。瑞希陣営の次に伸びていたのが千早陣営の8,519票。この時間ほかに一斉を行っていた陣営はなく(強いて言えば歌織陣営はお寝坊投票をしていたが趣旨を考えればこの時間の票は少なかった)、この姉瑞希票の伸びが春香陣営からの支援、そして瑞希陣営から春香陣営への支援によって作られたことは明らかだった

 そして21時半までに瑞希陣営はそれまで3万票差で1位だったまつり陣営を逆転。その後春香陣営もこのみ陣営を抜いて1位になる。

 一斉が落ち着いたころの波形を見ても、春香陣営と瑞希陣営の波形がそっくりである

 正直、まさかこんなことになるとは思ってもいなかった。すさまじくビビり倒した。瑞希陣営のコメントを見ていても、誰もここまではるみず票が多くなるなどとは思ってなかったように思う。一斉前、個人的に支援しますね~と宣言していた瑞希Pは何人かいたが、まあ今回も個人レベルの支援で、瑞希陣営が爆伸びすることはないだろうと私は考えていた。しちゃったよ、爆伸び
 はるみずの流れをおおむね追えていた私ですらこんなにビビったのだ、まつり陣営やこのみ陣営の驚きは相当なものだっただろう。はるみず従姉妹デーは少人数による規模小さめの企画だったし、それ以前のはるみずへのうっすらした期待もうっすらだったので、そういう細かい情報を知らなければここで突然はるみずが手を組んだと思っても仕方がない。

 だが、我々は決して手を組もうとして組んだわけではなかった

 伝奇ホラー村の隅で生まれ育ちつつあった、はるみずというまだ見ぬコンビへの期待。個人個人の中に芽を出していたそれは、はるみず従姉妹デーで、もっと見てみたい、実現させたいという大きな想いへ成長を遂げた。確かに、春香陣営/瑞希陣営と手を組みたいという戦略的意図がまったくなかったわけではないだろう。だが、自陣営の一斉投票で票を伸ばすのとは違って、戦略だけではペア票は動かない。陣営単位の方針ではなく、はるみず従姉妹デーにより多くの人が心を動かされた結果がこのはるみず支援票だったのだろう
 再三言うが、瑞希陣営も春香陣営も協力しようと持ち掛け合った事実は一切ない。はるみず従姉妹デーも戦略的に立てられた企画ではない。というか、たとえ狙ってもここまで支援票が集まることってなかなかないんじゃないか?

 直接協力がタブーとされる中で、以前からの絡みがないに等しいはるみずがここまで大きな支援関係を築いたのはほとんど奇跡に等しいだろう。あらゆる条件が奇跡的に噛み合っていた。もともと好感度が高めだったこと、戦略的に望ましくもあったこと、そして見たいと強く思わせられる個人ダイマ企画。これらがそろって初めてはるみず爆裂支援ラインが誕生した。

 既存の組み合わせが強くなる今回の仕組みの中で、ほとんど今までの関係がないはるみずが強い協力関係にあったのは、それだけ見てみたかったから。それだけ、春香陣営、瑞希陣営の人間が心を動かされていたからなのだ

6.最終結果

 その後瑞希・貴音陣営の一斉投票でも春香陣営は票を伸ばした。

 そして最後の最後まで、はるみずの大きな支援票が動いていた。

 しかし協力関係があれば勝てるという方程式が成り立つ程、投票企画は甘くない。結果発表がまだだが、おそらく、瑞希陣営が迫りくるまつり陣営をなんとかかわして姉役1位になったのに対し、春香陣営は接戦の末、従姉妹役2位となった。多くの人が夢見たはるみず従姉妹は夢として終わってしまった。

 でも、これで終わりではないはずだ。
 はるみずは今回のミリオンキャスティングにおいて、新しい関係を見てみたいという大きなアピールになっただろう。それも、分けて考えられやすいAS組とシアター組の組み合わせだ。ファミ通で運営がキャスティング企画のアピールを参考にしているという旨の記述があったらしい(私はまだ買えてないので伝聞です)が、それならはるみずが起こした旋風もきっと拾ってくれるはずだ。
 それに、従姉妹役ではないにせよ、春香の2位としてのゲスト出演は確実である。コミュやドラマCDでのはるみずの絡みだってきっと見れる。第二回で春香陣営が一位になる可能性もあるが……そのときはそのときで、別場所ではるみずの絡みを用意してくれ、運営! 頼んだぞ!

 そして最後に。
 絡みのないふたりの支援関係が、外から見て政治的戦略票に見えてしまうのは仕方ないのかもしれない。でも実際には、奇跡と想いが重なって生まれた票だと私は思っている。外からでは見えないこともある。だから、それを残したくて、ほんの少しでも誤解を解きたくてこれを書いた。
 このnoteだって個人の偏見にまみれたものだけれど、何かを批判したくなった時、多角的な視点で見てみようという気持ちを、どうか忘れないでほしい

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