#65『”僕の知らない君とても綺麗だ”SHISHAMO「同窓会」を語る』
今回は2018年6月20日にリリースされた5thアルバムSHISHAMO5の8曲目に収録されている「同窓会」という曲について語ります。
この曲はSHISHAMOの楽曲の中では珍しく僕(男)目線の歌詞になっています。簡単に説明すると”同窓会で久しぶりに会った昔好きだった女の子が凄く変わっていて、やるせない気持ちになる主人公”がテーマに描かれています。残念ながらMVはありませんが、YouTubeにて音源がありますので載せておきます。
それでは語っていきます。
一番Aメロの歌詞
この曲はイントロがない曲で「髪型変えたんだね」とズバッといきなり歌始めるところがカッコいいなと思います。
「髪型変えたんだね、すごく似合ってるよ 知らない人みたいだ」という出だし。数年ぶりに会うと女の子なんかは特に髪型が変わったり、お化粧したりと、まるで別人のように変わってしまいますよね。驚いている主人公の絵が浮かんできますね。
次の「あの頃の面影 必死になって探す僕」というフレーズから、主人公には昔付き合っていたのかは分かりませんが好きだった女の子がいて、その女の子が久しぶりに会ったら凄く変化しており、戸惑っていることが読み取れます。好きだった彼女の容姿が変わってしまっても「笑う時に鼻を隠す仕草」はあの頃のままだったようですね。そんな細かい仕草まで覚えている辺りから、当時相当好きだったことと、もしかしら未だに彼女のことを想っているのではないかということが見えてきますよね。
一番Bメロの歌詞
主人公は彼女と会うことが「何年ぶり」か本当は覚えていることから、やはり彼女のことをずっと想っていたことが分かりますね。知らないフリをして誤魔化す辺りなんかも好きだったという恋心を表していますよね。
また、カギカッコがついている「何年ぶりだっけ?」と「何年ぶりだろうね」という彼女と僕がやり取りしている部分のマイクの音を変えているところが本当に会話しているみたいで、そこのアレンジもまたいいなと思います(冒頭の音源0:32辺り~)。
一番サビの歌詞
目の前いるのは確かに彼女なんだけど、もうあの頃好きだった彼女ではないということですよね。
「もう僕のこと好きな君は この世のどこにもいないんだな」というフレーズから、当時実は彼女も主人公のことが好きで両想いだったという可能性が見えてきます。もしかしらどちらかが想いを伝えることはなく、付き合うまでの関係に進まず、自然消滅した恋だったのかも知れません。
「僕は 今になって気付いたよ 僕の知らない君 とても綺麗だ」というフレーズ。「今になって気付いたよ」というのは、時間が経つと人は変わってしまうということで、すなわち、あの頃好きだった彼女はもういないということですよね。間違いなくそこにいるのは彼女なのに「僕の知らない君」という歌詞になっているのがなんだか切ないなと思います。
Cメロの歌詞
「キレイな服着て 唇に真っ赤な色差してる君は まるでどこかの女 僕の知らない女」というのはもう別人でしかないということですよね。実はここのフレーズの部分もマイクの音を変えているんですよね。「僕の知らない女」ところで音が迫ってくるような感じになっているのが、大きく変ってしまった彼女に対する主人公の嘆きのように聴こえてグッとくるんですよね。確認して見て欲しいなと思います(冒頭の音源1:40辺り~)。
次の「だけど僕に笑いかけた瞬間 あの頃の君が現れる」というフレーズ。先ほど一番のAメロで「笑う時に鼻を隠す仕草」というフレーズもありましたが、容姿は大きく変わっても、笑い方や仕草って自然とでるものだから人間そうそう変わらないものですよね。「僕に笑いかけた瞬間 あの頃の君が現れる」というのはなんだか凄くわかるような気がします。きっと、主人公はあの頃の彼女が垣間見えて、ドキッとしたのでしょう。
そして「何度も後悔したこと、君は知らないんだろうな 気づかないんだろうな」と主人公はあの頃の彼女に好きだと言えなかったことを深く後悔していることがわかります。でも「それでいい」と思えるのは、今の彼女が変わってしまったからくる言葉なのかなと思います。
最後のサビの歌詞
「今夜連れ出したら 君はどんな顔するの 見てみたいけど」というフレーズ。もしかしら彼女もあの頃の僕に好きだと言えなかったと少しは後悔しているかもしれないという考えや、先ほどのCメロで「それでいい」というくだりがあったと思いますが、どこかであの頃の彼女をずっと好きだったという気持ちを簡単には捨てきれない想いみたいなものがあるから出てくる言葉のように思います。でも、やっぱり「君はあの頃とは違うんだ」ともうあの頃の彼女ではないことを悲しくも受け入れていることが分かりますよね。
そして「僕も、あの頃みたいには笑えない 変わったのはきっと僕も同じだ」と自分はあの頃から変わっていないように思っていても、実は時間が経って自分も大きく変っていることに気が付くという展開でこの曲は終わります。
アウトロの歌詞
そして、アウトロで「さよならあの頃の二人」「思い出の中の二人」と繰り返しながら音が小さくなっていって曲が終わるのですが、主人公がボソボソと心の中で呟きながら黄昏れている感じがして、いい味を出してるんですよね。また、二回「さよならあの頃の二人」「思い出の中の二人」を繰り返した後の”ハアアーーアアー”と歌うところなんかも主人公が嘆いてる感じが上手く表現されてるんですよね。是非注目して聴いて欲しいなと思います(冒頭の音源3:00辺り~)。
まとめ
同窓会で好きだった彼女が凄く変わってしまって、あの頃の彼女ではなくなっていることにやるせない気持ちになっている主人公が描かれていましたね。
冒頭でも書きましたが、僕(男)目線というのが今回の曲の特徴で、自分をまだ好きな気持ちがあるかもしれないという期待を持ちながら同窓会に来るところなんかがいかにも僕(男)目線らしい歌詞で面白いなと思います。
サウンド面でいうと、当時ポップでキャッチーな曲が多かったSHISHAMOの中でも珍しい曲調で、最初ドラムとベースの音で始まって、その後にギターが入ってくる感じが新しくて、サビではギターのカッティングが入っていたりとカッコいい曲に仕上がっているなと思います。
また、今回取り上げた「同窓会」は2023年2月4日にリリースされたCDデビュー10周年を記念したコンセプトアルバム『恋を知っているすべてのあなたへ』のdisc2”恋の痛み”の7曲目にも収録されています。
学生時代に好きな人に想いを告げられず、同窓会で好きだった人に再会して複雑な気持ちになった人に刺さる一曲になっているのではないかと思います。
皆さんも是非聴いて見て下さい。