コンセプトDJ Mix集【Moco-Azzalashi - Time Table】
こんにちは。もこもこあざらしです。
ご存知の通り、今年に入ってから新型コロナウイルスCovid-19の猛威はとどまるところを知らず、あざらしのDJ活動も復帰の見通しは全く立っておりません。
なにより精神面での体調の悪化が著しく、気晴らしにデイタイムのクラブに行くなどしてみても、長く滞在することができません。自分に歯がゆさを感じております。
そんなあざらしでも【DJ Mixの作成】であれば、DJ活動を行えます。
そこで、ただMixを録るだけではなく、今までにないコンセプトで録りたいと思い、サイケデリックトランスのMixを6本1セットで作成しました。
それぞれ単独で聴くこともできますが、各Mixは連続性があり、それぞれのMixをすべて繋いだとしても違和感なく聴けるものになっています。
そこで今回はこのMix【Time Table】のコンセプトを考えた経緯と、各Mixの解説をしたいと思います。
手っ取り早く音だけ聴かせろ!という方は、目次から興味のあるMixへ飛ぶようにしてください。
Mixは踊らずに聴くもの
DJMixを作成するにあたり最初に考えたのは、「Mixを聴く人は、どんな環境で聴くのか」ということです。
サイケデリックトランスはひたすらに踊るためのジャンルですが、おそらくDJMixを聴きながらガチ踊りするという人はほとんどいないと思いました。スマホでMixCloudを開き、イヤホンやBluetoothスピーカーなどを使って、家でくつろぎながら、または移動をしながら聴くものではないでしょうか。
踊ることに特化するのであれば、最初から最後まで息を切らさず同じペースの選曲をするのもよいでしょうが、1時間くらい同じグルーヴキープが続くMixをじっと聴いていると、聴き飽きる人も出てくるのでは?と思います。
(特にサイケ慣れしてない方々にはけっこうきついかも…)
なので今回のMixを作るにあたり、Mix全体である程度のストーリー性と展開を持たせることは必須と決めて選曲をしようと思いました。
DJ個人が持つ「理想的な一晩の展開」を表現する
あざらしがDJとして出演する際、選曲で必ず気にしていることがあります。それは、「時間帯に合った音を使う」ことです。
パーティーのコンセプトにもよりますが、個人的にサイケのパーティーではオープンのDJはフロアを温めることに徹した方が良いと思っていて、最初からアゲっぱなしだと尻すぼみになってしまうと思っています。
あざらしは、自分の頭の中で理想的な一晩の展開を持っています。あざらしを使ってくれるオーガナイザーの皆様にも、それぞれ理想とする展開があります。そのやりたい展開と自分に与えられたタイムテーブルを照らし合わせ、時間帯にふさわしい選曲をすることを心がけています。
その時に、「使いたかった曲が使えなかった」ということを思うことはありません。あざらしがDJで最も楽しいのは、好きな曲を使うことではなく、時間帯をコントロールしている、という感覚があるときです。
多かれ少なかれ、どんなジャンルのDJでも、このような感覚を持つ方は多いのではないでしょうか。
そこで思いました。ではそのあざらしが思う「理想的な一晩の展開」をMixにすれば、それが最もあざらしらしいMixになるのではないか?
例えるなら「23時から5時までのあざらし主催パーティーで、出演者は6人。全員があざらし」だったとき、どんなDJをするのか?です。
1本のMixで表現しようとも考えましたが、あまりにも展開が急すぎるMixになってしまうので、今回は思い切って6本作ってしまうことにしました。
1本にまとめたMixは、またの機会に作ろうと思います。
あざらしが理想とする流れ
あざらしは「DMI」というフルオンのパーティーが作っていた流れを源流に持っています。現在のパーティーが作る流れとは違いますが、それはメジャーなレイヴパーティーが作っていただければいいと思います。
他と同じことをする意味はなく、あざらしはあざらしで、現代の音で当時のフルオンパーティーを表現したいと思っています。
当時のパーティーは、オープンDJはサイケではなく、必ずテクノをかけていました。そしてどのDJも絶対音を止めず、もらったパスに近い音から少しずつ自分の音に持っていきます。
なので2番手はかなりの曲の幅が必要になります。テクノからサイケに持っていくわけですから。
2番手の後半から3番手でまず最初のピークタイムを設定します。下手をしたらその時間帯で帰ってしまうお客さんもいます。そういう方も楽しめるパーティーにするため、前半と後半でピークタイムは2回作ります。
4番手は絶妙に3番手の盛り上がりを引き継ぎながら、あまり波を大きく立てず、次のピークタイムに備える時間帯です。ここもかなり難しいです。3番手が盛り上がりに欠けたらアゲに行き、逆にものすごい盛り上がりだった場合にはそれを下げすぎず、絶妙に維持する必要があります。つまり、そこまでの展開でどのようなフロアになっていても対応できる順応性が必要になるのです。
5番手はその日のヘッドライナーです。ゲストDJやアーティストがこの時間帯になります。この時間帯のために前の4人は存在するといっても過言ではありません。アンセムや新曲などを惜しみなく使い、フルオンとはこういうものだと言わんばかりにアゲていきます。
6番手がDJをするころには、クラブの外は少しずつ明るくなっています。
この時間のために存在するともいえる「モーニングフルオン」が6番手の役目です。メロディアスでキラキラした音が、爽やかさとパーティー全体の余韻を演出します。
あざらしがオーガナイズした「Rewind Youth」や「Pavilion」というパーティーでも、メインフロアは必ずこの流れになるようなタイムテーブルを組んでいました。むしろ、それぞれの時間にふさわしい音を最も得意とするDJをブッキングするようにしていたので、DJが集まった時点ですでにタイムテーブルは決まっていました。
それほどまでに、全体の流れは重要だと思っています。
ではここから、各Mixのリンクを貼っていきます。
23:00~ Opening Zenonesque
オープンはテクノに近いサイケのジャンル「ゼノネスク」です。
ゼノネスクはBPMが125から140とかなり幅があり、遅ければテクノに、速ければPsyProgやミドル系に近い音になります。
オープンはテクノでありたいと思っているので、130~135くらいの曲でじっくりフロアを温める、ということを考えた選曲になっています。
このMixだけ単独で聴いても、ゼノネスクのMixとして聴けるようにしてあるつもりなので、テクノが好きな方にも聴いてもらいたいMixです。
0:00~ PsyTrance Bridge
ゼノネスクのまま音を受け取り、少しずつミドルに持っていくMixです。
これだけ少しMixの時間が短いですが、やりたいことが表現できました。
実際の現場ではこれに1曲足すなどして時間を調整するでしょう。
この時間帯はPsyProgみたいな導入を感じさせる音や、PsyEDMのようにサイケになじみのない人が聴きやすい音を持ってきます。
最後の曲は「おわり」ではなく「つづく」を意識しています。次の3番手がミドルのMixになるので、最後だけミドルに近い曲で終わらせることで、次がどのような雰囲気になるのか匂わせる効果もあります。
1:00~ Middle PsyTrance
一度目のピークタイムです。あざらし的に、この時間帯はダークフルオンが映えると思っているので、使用するレーベルはあざらしの好きなPsynOpticzが多いです。音数と低音の量で圧倒するのがコンセプトです。
以前Twitterで告知するときに書いていた「いつものあざらし」とはこの傾向のDJを指します。
このMixでも最後の曲は「つづく」を意識しています。この時間帯で作った流れは、次の時間帯で維持することを考えています。次を劇的にアゲすぎると5番目のヘッドライナーが映えませんので少し控えめに聴こえるかもしれませんが、次がどんな音なのかを想像しながら楽しんで頂ければ幸いです。
2:00~ Twilight Dark
一度アガった温度感を維持したまま1時間を駆け抜けるのは、トワイライトダークが最も得意とするところです。
トワイライトダークの特徴は、大きなブレイクはほとんどなく、たまに細かいブレイクは入るものの、曲の中で大きな上げ下げもメロディもなく、ひたすら走る感じです。また、Middle PsyTranceで使った曲より気持ちキックが軽く聴こえるかもしれません。
全く同じテンションで走るとMixとして飽きるかも?と思ったので、ミドルに近い音をメインに、フォレストダークを感じさせる音も使うなどして、選曲で小さな波を作るよう努力しました。
3:00~ Full On PsyTrance
全員あざらしが回す、というコンセプトなので、ヘッドライナーは何をすればよいのかかなり悩みましたが、Electric Universeなどの現代のフルオンを使うことにしました。やはり「聴いたことがある曲」はフロアロックします。
Oasisという有名な曲を使うことは最初に決め、その曲で最も盛り上がるように、ハイテンションを続けながら誘導する、ということを狙っています。
今回のMixで一番使いたかった曲はこの時間帯で使っています。中盤にかかりますので、どれかな?と探しながら聴いていただければと思います。
最後の曲はElectric Universeですが、あざらしが散々使っていたアンセム曲「Bansuri」や「Lakshmi」はあえて使わないことにしました。Oasisを主役に立てたかったのが理由です。
4:00~ Morning Full On
モーニングフルオンは朝方に合う、メロディアスで爽やかな曲です。
最初の曲は2004年くらいから存在したアンセム曲のRemixです。そこを伏線にしつつ、サイケの中でも特にメロディの強い曲を使い、夜明けに向かって走っていきます。
伏線と言ったのは、最後の方に持ってくる曲は「モーニングフルオンと言われているけど、あざらし的にはフルオン」といったような曲で、あざらしは最後の最後でアゲに走りたい!という強い思いがあります。
この時間帯、始発も動き始めて帰る人間もちらほら出てきます。最後のDJはクローザーといって、お客さんが気持ちよく帰れるように少しずつ下げていって、きれいに締める役目があると言われることもあるようです。
ですが、あざらしはそんなことは望みません。最後まで一体感と盛り上がりを維持し、最後の瞬間に爆発することこそ、お客さんに「最高に楽しいパーティーだった!」と思ってもらえる展開なんだと信じています。
なので、この終盤で急にアクセルを踏み始める感じがうまく伝わってほしいな、と思います。
【追加】One of the Psychedelic Night
Time Tableで表現した6時間分のストーリーを、1本のMixにまとめたものを改めて作成しました。
時間はちょうど100分。作業用BGMとしてはちょうどいい長さになったのではないかと思います。
また、「表現したい流れは、曲が違っても伝わるのか」ということを試してみたくなり、Time Tableの6本のMixで使用している曲を可能な限りかぶらずに作成しました。
結果、このMixで使用した19曲のうち、かぶった曲は2曲にとどまりました。それでも、自分の作りたい世界観は乗せられたと思います。
Time Tableと大きく違う部分として、PsyTrance Bridgeの部分をプログレッシブなものではなく、PsyEDMを使ってみました。
ぜひこちらも聴いて頂ければと思います。
ぜひご一聴ください
このMixで、あざらしが持つサイケの世界観がわかるだけでなく、見事にサブジャンル的にバラバラなMix群になったので、あざらしがこうだと思っているサブジャンルの違いを聴き比べることもできます。
※以下のnoteも併せてお読みいただければ幸いです。
また、あざらしがどれだけの幅を持っているかアピールする材料にもなりますし、今後ブッキングを受けられるようになった時にブッキング側が「このMixの何時のやつみたいな音でやってくれ」というオーダーもしやすくなったのかな、と思います。
このMixで、サイケに興味を持ってくれる人、時間帯を選曲の材料とするDJが増えてくれたら幸いです。
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