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虐待/不適切な身体拘束/介護放棄/不正請求/虚偽報告で特養「カーサ・川口」が新規利用者受け入れ停止及び介護報酬3割減算の行政処分


1.行政処分の顛末てんまつ

 埼玉県の川口市が一昨年の虐待事件で市内の特別養護老人ホーム「カーサ・川口」(ユニット型,100床,2020.04.01開設)を2024年8月1日から3か月間、新たな利用者の受け入れを停止させ、介護報酬も3割減算する行政処分を行うとのこと。

 処分の原因となったのは次のような事項とされています。身体的虐待あり、介護放棄・放置あり、不適切な身体拘束あり、不正請求あり、虚偽報告あり等々、どこかの国の腐った政府みたいです。

  • 一昨年の8月、男性介護士が入所者(男性)の1人を朝、起こす際に足で蹴った。

  • 必要な手続きを経ずに身体拘束を行っている。

  • 入浴が、最長で月に1回程度しか対応していなかったなどの介護放棄・放置といった人権尊重義務違反があった。

  • 専従させるべき機能訓練指導員を兼務させて約158万円分の不正請求を行っていた。

  • 虚偽報告をした。

 おととし8月に市に通報があり、発覚したといいますが、たぶん内部告発、内部通報でしょう。

 それにしても、発覚から処分まで2年もかかるのですね・・・時間かかり過ぎでは?

2.特養「カーサ・川口」の人員配置が凄い

 この「カーサ・川口」の介護職員の人員配置が凄いのです。

(1)異様に少ない常勤職員

 介護職員は常勤19人、非常勤33人、常勤換算数39.6となっています(2023年10月31日付け)。常勤の比率が約36.5%、非常勤比率が約63.5%です。
 2021年度の介護労働実態調査では介護職員の有期雇用者(≒非常勤)の割合は28.7%でしたので、この施設の非常勤職員の比率は全国平均の約2倍超にもなっているということです。
 ということは常勤職員は普通の特養の半分しかいないということです。

(2)非常に高い離職率

 介護の常勤職員7人、非常勤職員が13人一年間で退職しています。単純に離職率を計算すると常勤の離職率は36.8%(7÷19)、非常勤職員は39.4%(13÷33)、全体で38.5%(20÷52)となっています。
 2023年度「介護労働実態調査」では、介護職員の全国平均離職率は13.6%となっていますから、普通の特養の2.8倍離職率が高くなっています。

 この特養は介護職員を十分に確保していない、確保できていないということがこの行政処分の背景だと思われます。
 介護施設の経営の最大課題はやはり人材マネジメントだということでしょう。 

3.社会福祉法人カナの会

 社会福祉法人カナの会は障害者支援施設「カーサ・ミナノ」(定員50名)と特養「カーサ・川口」(定員100名)そして、2024年3月にオープンの「カーサ・八千代」(定員20名?)、保育園を運営しています。
 埼玉県と千葉県と県を跨いで福祉・介護事業を営んでおります。
 サービス種別もサービス提供地域も異なる社会福祉法人の経営は確かに難しいものかもしれません。

 政府は経営規模を大きくすることを推奨していますが、経営規模の拡張により、見えなくなること、気づけなくなること、取り残してしまうことがどうしても出てくると思います。
 規模の一律拡大ではなく、福祉・介護経営の適正規模について考える必要があると思います。


 福祉・介護事件簿もご笑覧願います。


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