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新潟市の社会福祉法人「健悠会」が破産

 新潟市東区の社会福祉法人健悠会が6月28日、新潟地裁へ自己破産を申請し同日、破産手続き開始決定を受けたといいます。
 3期連続の字決算で、負債総額は約3億9000万円といいます。

 この社会福祉法人「健悠会」は2008年8月に地域密着型介護老人福祉施設(29床)を設置運営するために創設され、2010年にショートステイ(14床→8床)、2021年に居宅介護支援事業所を開設しています。デイサービスは2022年3月4日の理事会で廃止又は休止が決まったようで現在は運営しておりません(2022年4月1日の現況報告参照)。


 地域密着型介護老人福祉施設の事業活動収支は『2023年度介護事業経営実態調査結果』によると、2022年度決算は▲1.1%と全国的に厳しい状況となっております。
 しかし、この法人の破産要因には違う要因もあったように思われます。

① 職員の状況

 この法人の主要事業である地域密着型介護老人福祉施設の介護職員の状況は、かなり厳しい状況だったようです。  
 介護事業所・生活関連情報検索サイト(記入日:2022年11月04日)によると、特養「あわやまの里」の介護職員は合計で28名(常勤換算数14.1)。 
 そのうち、常勤が11名、非常勤が17名で非常勤の比率が60%にも達しています。普通の非常勤割合は39%程度(平成29年度介護労働実態調査)ですから、かなり非常勤職員の比率が高いと思います。
 また、介護職員の1年間の採用者は常勤職員が13名、退職者が10名、非常勤職員は採用者が5人、退職者が2人で、1年間で18名採用し、12名が退職するという事態で離職率42.9%(12÷28)にもなっています。
 常勤介護職の離職率に至っては90%(10÷11)にも達します。

② 所轄庁からの改善要求

 また、経営実態もいささか問題があったようです。
 2022年4月1日の現況報告によれば、所轄庁から求められた改善事項の内容が凄いです。全部で17項目ありましたが、主なものだけピックアップしてみます。

  1. 評議員選任・解任委員会を設置していない。

  2. 理事について識見を有することや実情に通じていることが確認できない。

  3. 監事について識見を有することが確認できない。

  4. 評議員会の開催について、理事会において評議員会開催日時・場所及び議題なとを決定していない。

  5. 計算書類が旧式のままのため会計基準令に即した様式を使用すること。

  6. 資金収支計算書の当期末支払資金残高と貸借対照表の当年度末支払い残高が一致していない。

  7. 会計伝票チェックが確認できない。

  8. 給食の業務委託について、随意契約のできない案件で入札で業者決定していない。

社会福祉法人の公益性

 先に紹介しました報道記事で少々気になる文章があります。

 2007年に新潟市東区の建設業者の関係会社として設立された老人福祉事業者で、2008年に特別養護老人ホーム「あわやまの里」を新築し、運営をスタートしました。

2024.07.04 テレビ新潟 強調:祐川

  建設業者の関係会社として設立された老人福祉事業者?

 建設会社が第1種社会福祉事業である特別養護老人ホームを設置運営するために社会福祉法人を設立したようですが、基本的には社会福祉法人と建設会社は別法人です。

 社会福祉法人は公益性の高い別法人ですから、建設会社の子会社ではありませんし、関係会社とも言えません。もちろん、社会福祉法人から建設会社へ資金移動、利益還元をしてはいけません。建設会社が地域の福祉に貢献するために社会福祉法人に対していくらでも寄付するのは自由ですが・・・

 企業や個人が社会福祉法人を創設し特別養護老人ホームなどを運営する場合、社会福祉法人を子会社だと勘違いしているケースが多いように思いますし、記事をみると、このような認識が一般化してしまっているように思われます。
 社会福祉法人は固定資産税非課税、法人税等非課税の公的な法人、公益性の高い法人であるということをもっと強調する必要があると思います。

【参照】法人のホームページ



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