未来を選べ!!
1996年公開の洋画なら「Trainspotting」を一番にあげる人が多いのではないかと思います。僕は渋谷のシネマライズで観ました。
90年代は単館系シアターはちょっとした流行でした。そして20年ぶりに続編である「T2 Trainspotting」が2017年に公開されました。
自分が20歳年齢を重ねたことと同じようにレントン達も20歳年齢を重ねていました。
1990年代のサブカルの空気そのものだったこの映画。続編である「T2」は、僕が観てきた様々な続編映画の中では最も秀逸な作品です。
もう尖った雰囲気はないもかもしれません。なにせあれから20年経った中年達の物語なのですから。
変わっていないのはスコットランドの曇ったスッキリしない天候だけかもしれません。
続編ではレントンがヴェロニカに麻薬、自殺撲滅のスローガンだった
「Choose life 人生を選べ」
について語るシーンがありますが、僕のお気に入りのシーンです。
90年代の当時、人とは違う何かを求めていた人は共感できる部分がたくさんあると思います。
それでも過去を捨てていった方はこれを観ても何も感じないかもしれません。ただの中年の悲哀くらいにしか感じないかもしれません。
自分も少しは大人になった。そして衰えも感じる。
その境遇の中でなりたくなかった大人にならないように苦悩する人達の物語に見えました。僕は完全に自分と重なりました。
家族、夫婦、親子、仲間、そして死
相変わらずドラッグが話の中心におかれていますが、内包しているテーマは僕らにも身近なことばかりです。
でもこの映画の先にあるのは絶望ではありません。
底抜けに明るくポジティブなドラッグソングであるIggy Popの「Lust For Life」は「Trainspotting」の根幹を成す曲です。
僕は音楽と関わるにあたっては歌詞を偏重しない主義です。しかし、Iggy Popが自ら麻薬からカムバックした宣言とも言われているこの曲の詞の内容をわかっていると「Trainspotting」の深みを感じることができると思います。
決して退廃がテーマではないとあえて断言しておきます。
今回のサウンドトラックも前作を踏襲しながら素晴らしい選曲でした。
The ProdigyがリミックスしたIggy Popの「Lust For Life」が鳴り響く続編のエンディングは、どん底からの帰還と続いていく先の見えない未来を示すものを感じました。
「未来を選べ!!」