【夢日記】弱い親分とネクタイ
小さな村で
粗末な小屋で世話人みたいなことをしている。ここは現実には存在しない村だ。小屋には入れ替わり立ち替わり複数の人が来て、滞在している。
この村では何でも安く買えるけど、物資はそんなに豊富ではない。あたしの役割は、職場であるこの小屋で、訪ねてくる人達の食事や衣服の調達をすることらしかった。
あたしの雇い主の「小屋の社長」はすぐに小屋を開け放って、鍵もかけずに出かけてしまうので心配だ。あたしの感覚では気が気ではない。でも村には泥棒とかはいないのかもしれない。
無口な男の子がやってきた
小屋に男の子がやってきた。保護者のような女に連れられている。成人前の男の子に見えるが、体はもう大きいから成人しているのかもしれない。
男の子はあたしの目を見て挨拶することができない。何か障碍があるのかもしれないと、ちょっと疑う。何故かうちの夫のネクタイを握りしめて離さない。
それはヒトのものでしょう?といいかけるが、そばについている女が、遮って、「この人は親分なんですよ。次の」と言う。
「親分って。何か組織があるんですか?」
「はい。そのうちこの方が継ぎます」
その組とうちの小屋に関係があるのかどうかはわからないし、そのことと夫のネクタイを欲しがることも関係があるやらないやらわからない。
でも夫は滅多にネクタイなんかしないから、まあいいか、と思ってしまう。もう幼い子供をあやすような気持ちになってしまっている。
でもこんな頼りない親分はあたしなら嫌だな、と考える。いかにも弱そうだ。アタマが弱そうだ。この村は大丈夫なんだろうか?
夫にストックのネクタイを出す
夫のネクタイがなくなってしまったのでタンスを開けてストックをチェックした。あたしは何でも抜かりなくストックしているのだ。いつでもあるわけじゃ無いから、見かけた時に買っておくのだ。
この村にはあんまり高級なものはなくて、ネクタイも粗悪なものだったが、数本同じものが買ってあった。イカさないストライプ柄のやつだ。あと3本ぐらいある。
どうしてこんな配色なんだろう?紫と黄緑だ。あたしならこんなふうにはしない、などと思う。
帰って来た夫にネクタイを新しくしたよ、と告げると、なぜかとても喜ぶ。喜んでネクタイのいろんな使い方、身の飾り方を試してはあたしに意見を求める。
首に巻いて後ろに垂らしたり、ジャケットをはだけたときだけ見える場所に垂らしたり、全然普通の使い方ではないが、きちんと締めてもちっともいいデザインじゃないから、それでいい、と言って適当に褒めてあげた。さすがはあたしの夫だな、と感心していた。彼のジャケットはこの村には無いような高級品で、2人で選んだ古いものだった。
そうだ、ジャケットがダメになってもこの村じゃ同等の品物は調達してあげられない、とふと思う。どうしてあたしたちはこんな村にいて、あたしはこんな仕事をしてるんだろう?
そのうちあの弱い親分の時代が来てしまう。
おわり