優越感の品質(容姿コンプレックスOrigin29)
実際に目撃して思ったこと
前回「すごいブスの謎・後編」の続きです。
父のお友達の奥さんに、色々と謎があろうとなかろうと、その人に対して、あたしはまたもとの無関心に戻りました。
父が面白がっていることは、そのときのあたしにはあんまり面白くなかったということでしょう。
だけど前より少しだけその人を丁寧に見るようになりました。
一度だけ、その奥さんのお友達という人が一緒に家に来ているのを見た気がします。ちらっとだけでしたが。
太ってめがねをかけて、全く化粧をしていないその女性は、父に向かって、太い声で、堂々としゃべっていたように思います。
あたしはその姿に誇りのようなものを感じました。
自分はちゃらちゃらする必要なんかないのよ、という、いっそいさぎのよい印象を受けたのです。
少なくとも「珍しいほど容貌に恵まれていない女だ」といった感想が一番に来ることはなかったです。それは男女の目線の差なんでしょうか?
あの奥さんは、彼女といっしょにいて、このようには思わないのかな?この人のような自信が自分にあるだろうか?とか、よそんちのだんなに気に入られたくてやきもきする自分を、この人は内心見下げているんじゃないかしら?とか。
いつも話題の中心にいて、主役でいたい女性は、確かに痛々しいほどの「優越感」を持っているのかも知れません。
でも彼女の友達だというあのメガネの女性の堂々とした様子にも「優越感」は嗅ぎ取れるのです。
少なくともあたしは嗅ぎ取ります。 自分がそういう一見見えにくいところに誇りを持つ人間だからです。
たとえあたしがメガネの女性と違って、ばちばちに化粧して体の線が丸見えの服を着て遊んでいたとしても(そういう時もあったんだっつうことです。はい)女っぽくしてその場の主役を張ろうとする人と同類ではありません。
これは「優越感」ではなくて、単に「ゆるぎない自信」とか、他人には呼んで欲しい類の誇りですけれども、でもよーく検証したら、やっぱり相対的な価値観、つまり自分と他人とを比べた時に生じる誇りだとは思うのです。だから「優越感」と呼んでおきます。
あの父のお友達と、そのお友達。無理にどちらか取れよ、と迫られたら、もしかしてあたしなら、メガネの女性の方が気が合いそう、だったかも知れません。
もしかして、あの奥さんには見えないのかな?
父にも見えないのかな?
父は何を見てるんだろう?
人間はその時自分がこだわっていることだけにスポットライトを当てるから、見えないってこともあるのかもしれない。
ああ、だとしたら、あの子にも見えてなかった可能性があるな・・・・。
あたしは以前、知り合いの女性と交わした奇妙な会話を思い出していました。
その子は、私に対して、はっきりと「優越感を感じる」と言ってのけたのです。
つづく。
おひねりをもらって暮らす夢は遠く、自己投資という名のハイリスクローリターンの”投資”に突入。なんなんだこの浮遊感。読んでいただくことが元気の素です。よろしくお願いいたします。