日本出版美術家連盟、のことなど その4
連盟が加盟している「文芸美術国保組合」のメリットの話の続きです。組合員になると月々支払う健康保険料が収入に関わらず定額になります。定額だけど、近年、この金額がぽんぽんっと上がってしまいまして、正直あんまり安くないのですわ。今は出版業界全体が深刻な不況でもあります。だからすごく儲かっている時ならともかく、自分には関係ないや、と考えている人が多いかもしれません。
でも、見逃しがちなことが一点ありますんで、それをお話しします。それは家族構成です。国保というのは同居家族単位で考えられてます。家族が企業にお勤めで給与所得者の場合は国保組合には加入できませんけれども、法人でない個人事業主や、同じようなフリーランス、フリーターやプータローでしたら、国保組合被保険者の家族としてカウントすることができます。家族の保険料も定額で、それは組合員本人より月額9300円安い月額10300円なのです。(2018年現在。だから仮に二人家族だと月額29900円です。保険料は毎年見直されるのでご自分で調べてくださいね)
市町村によってかなりの差があるものではありますが、国保保険料(税)ってもともと高い!ここに概算できるサイトがありますけど。
概算サイトは住む場所によってもこんなにちがうんか!!ショックじゃ!!という発見などもあって面白いんですけど、それはおいといて。大雑把にいって、個人事業主/フリーランス夫婦ふたりのご家庭でしたら、別にすんごく儲かっているんじゃなくても文美国保を検討する余地があるかと思います。(ふたりとも赤字の場合は市町村国保の勝ちです。もちろん)
で。もしもですけど、片方だけでもちゃんとした収入をあげている場合は、ぜひ検討してみてください。ここで知っておくポイントは、フリーランスであれば、国保組合員の家族については、どんな業種であっても、またその人が職能団体に入っていても入ってなくても構わないってことなんです。
例えば、片方が文筆業か美術家で、何らか組合加盟団体に所属し、加入の権利があるとします。その人は世帯主である必要もないそうです。それでもう片方を家族被保険者にすることができます。家族が何人いても、(お勤めの人は除いて)家族枠に入れることができるわけです。ただし、扶養家族の分も定額で課金されます。子供が小さいときは損得の分岐点がまた変わるので注意ですね。
これを知ったときに、あたしは、自分が実家に住んでいた間に、なんでこれに気が付かなかったか!と思いました。我が家はイラストレーターとミュージシャンの成人フリーランスきょうだい、個人事業主の父と専従者の母という構成。仮にあたしがその時JPALに所属して文美国保の組合員資格を持っていたら、弟、父母、みんな定額で家族被保険者にできたのに(笑)。
あの頃父親は限度額いっぱいの国民健康保険料を払っていたと思います。たとえ数年でも定額で済んでいたら、ちょっとした親孝行ができたのに、なんてね。(限度額は家族数に関わらず世帯ごと計算で、現在は年間85万円だそうですね。高いわー)
まあ、これは半分冗談です。実家にいた頃、過去のタラレバですから。しかもですね、その時にあたしがJPAL日本出版美術家連盟に入れたかどうかなんてわかったもんじゃございません。これは重要な点です。いくら出版イラストレーターの端くれだといったって、誰でも入れるわけではないからです。
それは他の職能団体も同様で、一定の審査があるのが普通です。
JPALは長いこと権威があり、そこに入れることはプレミアだ、という印象がありました。あたしたちが子供だった時代には、ほんとに忙しい売れっ子の先生がたが名前を連ねる、大きな会だったのです。私も審査を受けるときは緊張しました。10年前だったらとてもじゃないけど勇気なかったかも、とも思いました。
帰属することで誇りに思えるとしたら、それもメリットのひとつと思います。私たちの仕事も、すべて長い長い流れの中にあるという実感が湧いてくるとも言えます。自分個人なんかとても小さなものですが、先人の努力があって、それではじめてご飯たべられたんだ、じぶんひとりの頑張りなんかじゃないや、とわかるようになりました。
さて、最後の質問「団体なんかめんどくさくない?」というのに、きわめて主観的にお答えします。以下次回。