絶望からの光

苦しみと絶望
それは何度も味わっている

何度逃げても襲ってくる
現実では感じなくても
夢の中では毎回感じる

何故? どうして僕を標的に?
怖い 苦しい。
逃げても逃げても、襲ってくる。
助けて…
その声は闇の中に消えた。

目覚めると、あ、戻ったんだ。良かった。
と安堵する。

自分は幸せだ。現実では、何故かって?
簡単、それは、彼女がいるということ。
彼女は、僕と違うクラスの可愛い子。
毎日一緒にいる。幸せだ。

なのに、その幸せは崩れ去った。
ある日、彼女と帰ろうと彼女のクラスに行くと、彼女はある男子と話していた。
そこで聞こえてきたのは、僕の話だった。

「ねぇ、今の彼氏好きなの?」
「えー、嫌いだよ。」
「え、なんで?」
「だって、見た目良くないし、好みじゃない。あいつから告白されたけど、まじでキモいよね。まぁ、私は遊びのために付き合ってるもん。」
「えー、そうなんだ。意外!そんなんなら、別れたら?遊びは違う人にして。」
「確かに!ありがとう! 今、ちょうどいい遊びのための人いるし! そうするわ。」
「了解。 そろそろ彼氏、来るんじゃない?」
「確かに!めんどいけど、行ってくるまた明日な。」
「また明日。」

え、嘘でしょ。 僕は、遊ばれていたの?
ずっと好きだった。 可愛いし、優しい。 僕思い。
それも全部、嘘? 演技なの?
苦しい。 絶望を味わっていた。

「あ、いた! ごめん待った?」
「待ってないよ、今来た。」
「そうなんだ!じゃあ行こ?」
そう言って歩きだした。

早く帰りたい。 苦しい絶望を味わっている。
どうして…?  早く気づきたかった。

「ねぇ、別れよう。」
そう言ったのはあの子だった。
「うん。」
そう言って、僕は走った。
泣かなかった。 
苦しさ 気持ち悪さが強かった。
どうやって家に着いたか分からない。
きっと走ってついたのかもしれない。
それはどうでもいい。
だって…
「あぁ、苦しいな…」
消えてしまいたい。
こんな苦しい現実から。
そして僕は、眠った。

夢だろう。 また、同じ夢を見ている。
いつもは逃げるが、今の僕には 逃げる という選択肢はなかった。
(もういっその事、僕を消してよ…)
そう思い、目をつぶっていると、
「お前、逃げないのか?」
声が聞こえた。
「おい!!」

体を揺さぶられている。
目を開けると、そこには美しい格好をした魔王のような雰囲気を漂わせている、1人の男性がいた。
「…あなたは、誰ですか…?」
「俺は、魔王だ。」
魔王…本の中ではよく見る言葉だが、実際に見るのは初だ。
(魔王か…僕を消してくれないかな?)
「お前、消して欲しいなと思ってないか?」
ギクッ! なんでわかったのか?
驚いていると、
「お前の思っていることは分かるぞ。」
そう言われて、びっくりした。
そして少し考え、僕にまおうは言った。
「お前のこと、欲しくなった。俺と生きろ。」
は…?何言ってんのこの人。 アホか?
戸惑っていると、
「お前の名は?」
「僕の名前は、雪星 琉愛 です。」
久々に名前を言った気がする。 陰キャだから。
「琉愛、よろしくな。」
は…? 待って、どういうこと?よろしくって…

「今日から、俺は琉愛お前と共に生きよう。琉愛は、今日から俺の妻だ。もちろん、琉愛を1番に大切にする。そして、愛し合おう。」
そう言って魔王は、僕の首に キスをした。
「これからは、永遠に琉愛と一緒だ。もちろん、邪魔者は消す。なんでも言え、俺の愛しの琉愛。」

そして僕は、魔王の妻になってしまった。

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