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Synchkrie
2020年4月14日 02:06
「しらうめ?何それ」「しらうめさ、ま、じゃ。白梅様。この町を守る御神木じゃ」煙を吐きながらじいちゃんは言った。「昔はわしも白梅様と話せたんじゃがのう…」「今はしらうめとお話できないの?」「まだ若かった隣のじいさんと、近所の悪ガキを川に流そうとしてサツに世話んなったり、そこらのばあさん騙して金せびろうとしたりしてたら、いつの間にか声すら聞こえんようになっとったな」かっかっ、と
2020年2月26日 19:58
今日も水晶玉を見つめる。水晶玉に映るのは、私より537歳若い人間の男。…と、いつもそばにいる人間の女。楽しく笑う2人。水晶玉の向こうの彼を見るたび、あの日を思い出す。森で帽子を無くした私。隠さなければ、隠さなければ、と必死になって帽子を探していた。「これ、君の帽子?」そう声をかけられて見上げると、帽子を持っていたのは人間の若い男。「あり…がとう」久々に私の口か
2019年9月23日 22:15
足元に伸びる影を見つめた。彼女は赤い瞳でこちらを睨んでいた。彼女もまた泣いていた。額を触っても、ない。けれども影には確かにあるのだ。醜く生えた一本の角が。Synchkrie
2019年6月28日 03:48
『大特価!!』そう大きく書かれた札は、スーパーの野菜売り場でよく見かける。しかし、売られているのは玉ねぎやじゃがいもなどではない。鉢に入った苗木だ。願いを叶える苗木「おねえちゃん、その苗木、気に入ったのかい?」腰の曲がったおばあちゃんは、にんまりと笑ってそう言った。「あ、いえ、そういうわけでは…」「今なら税込みで9999円。安くしておくよ」「えっ」高っ!この