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Synchkrie
2020年4月14日 02:06
「しらうめ?何それ」「しらうめさ、ま、じゃ。白梅様。この町を守る御神木じゃ」煙を吐きながらじいちゃんは言った。「昔はわしも白梅様と話せたんじゃがのう…」「今はしらうめとお話できないの?」「まだ若かった隣のじいさんと、近所の悪ガキを川に流そうとしてサツに世話んなったり、そこらのばあさん騙して金せびろうとしたりしてたら、いつの間にか声すら聞こえんようになっとったな」かっかっ、と
2020年2月26日 19:58
今日も水晶玉を見つめる。水晶玉に映るのは、私より537歳若い人間の男。…と、いつもそばにいる人間の女。楽しく笑う2人。水晶玉の向こうの彼を見るたび、あの日を思い出す。森で帽子を無くした私。隠さなければ、隠さなければ、と必死になって帽子を探していた。「これ、君の帽子?」そう声をかけられて見上げると、帽子を持っていたのは人間の若い男。「あり…がとう」久々に私の口か
2018年11月28日 00:40
オレンジ色の光が窓から差し込み、テーブルが影を作った。空になったグラスとお皿を引き上げ、こぼれていたカスを拭き取る。ティータイムが過ぎると、店内はがら空きになった。ようやく一息つける。と、ミルクティーを入れていると、ドアのベルが鳴った。「いらっしゃいませー。あ、ヘーゼル」「こんにちは〜、あ、もうこんばんは かな?」きょろきょろしながら入ってきたのは、リスのヘーゼルだった。誰もいな