中小企業診断士試験と実際のビジネスの関係
こんにちは。SYNCA合同会計事務所 中小企業診断士の小泉です。
10/27(日)は令和6年度中小企業診断士二次試験でした。
受験された皆様お疲れ様でした。
本日は、今回の試験内容に触れながら、中小企業診断士として実務ではどのように活用できるかを考えてみたいと思います。
◆この記事を読んでほしい人
中小企業診断士二次試験について
中小企業診断士の内容については以前記事を書いておりますのでこちらも併せてご参照ください!
二次試験は
「組織・人事」「マーケティング・流通」「生産・技術」「財務・会計」
の4つの視点から企業の事例に記述式で助言します。
各事例でとある企業についての説明があり、その企業が抱える問題に対してどのような助言をするべきかを問われる問題形式です。
一次試験ではマークシート形式で経営にまつわる幅広い知識を問われ、
二次試験でよりその会社に合った助言が求められます。
事例Ⅰ 組織・人事
令和6年度試験では新規市場開拓を視野に入れている企業が事例企業であり、実現のために組織面で実行すべき施策を問われました。
プロジェクトチームのリーダーに同様事業での実績やノウハウのあるメンバーを起用したり、事業部間の連携や多様化する人材に適応した処遇制度の整備などが助言内容として解答例に挙がっています。
事業の拡大や新規事業立ち上げに伴い権限移譲を行ったり事業部間を連携させたりということは実際の企業にも重要な視点です。
また、社員一人ひとりが公平に評価される制度を整備することで従業員の動機づけを図ることも重要です。
事例Ⅱ マーケティング・流通
第1問では会社の内部環境・外部環境のそれぞれプラス面・マイナス面を
「強み」「弱み」「機会」「脅威」として分析する
「SWOT分析」が出題されました。
これは会社の経営状態を把握するために実務でもよく使われる
経営分析において非常に重要な分析方法の一つです。
経営者と会話をしたり市場調査をしたりすることで、会社の中にある強みや弱みを、会社を取り巻く環境とどう結びつけて関わっていくかを知ることができます。
SWOT分析は他の事例でも出題されることがよくありますが、それぞれの事例で問われている視点から分析することが重要です。事例Ⅱは流通・マーケティングの視点から回答する必要があるため、例えば近隣の同業他社と比較して魅力に感じられる部分は強み、ライバル店の存在は脅威になり得ます。
事例Ⅲ 生産・技術
事例Ⅲは主に製造業に特化した内容が問われるため、活用できる業種は限られますが、実務に取り入れるべき重要なポイントが多くあります。
令和6年度試験では短納期受注や受注量の増加に伴い生産能力の向上・混乱している生産工程の管理などについて助言する問題が出題されています。
工程の中で特に原因と考えられる工程の作業改善を行い、それだけでも改善できない場合は前後の工程も含めた工程改善を行う、短納期に対応するため週次や日時といった短いサイクルでの計画の精度を高めるといった助言が解答例として挙がっています。
これらは製造業においてよく出会う問題であり、知っておくと活用しやすい知識です。
事例Ⅳ 財務・会計
事例Ⅳは財務情報を基に企業を分析し、課題にアプローチしていきます。
まず財務諸表を見て会社のどの数字が同業他社より優れているか(強み)、
反対にどこに問題があるか(弱み)を分析します。
令和6年度試験の事例企業の場合は効率性は優れている点が多いものの利幅が少なく自己資本の安全性が課題になっています。
新しい事業を行う、新しい設備を導入するといった時にどれだけの投資が必要でどれだけの利益が見込めるか、投資がどれくらいの期間で回収できるか、という試算はどの企業においても経験することではないでしょうか。
利益を最大化するために投資をするべきか否か、投資するとしてどのように事業を進めるべきか、判断材料として財務データはよく活用されます。
さいごに
中小企業診断士試験の二次試験は難易度も高く、回答するためには試験対策としてのテクニックも必要です。
しかし、知識は一次試験から学んできたことの応用であり、企業の事例としてその知識を活用させていく考え方は実際の企業においても同じです。
中小企業診断士は様々な知識を幅広く学ぶため、合格後はその中でも得意な分野に特化して活動する診断士の方も多くいらっしゃいます。
試験で勉強した知識を活かして実際の企業に助言ができ、その助言が効果を生んだ時は非常にやりがいを感じます。
診断士を目指している方は、試験合格後の実務も楽しみに勉強を頑張っていただけたらと思います。
また、中小企業診断士に仕事を依頼したいと考えている経営者の皆様は、特に自分の企業の中でどこに問題があるか予測がつく方は、その分野を得意とする中小企業診断士に依頼するとより効果的です!