見出し画像

年末調整とは?定額減税の対応と準備

はじめに

こんにちは(^^)!SYNCA合同会計事務所の中西です。
今年も残り2ヶ月半となりましたね。
10月に入り肌寒い日が増え、我が家は秋服へ衣替えを進めている最中です。

年末が近づくこの時期になると、毎年耳にする「年末調整」
なぜこの手続きが必要なのか、何を準備すればよいのか、いまいちピンと来ない方も多いのではないでしょうか?

今回は、年末調整の目的や対象者、必要な書類について解説します。年末調整に向けて、スムーズに準備や手続きを進められるよう、ぜひ参考にしてみてください!



◆この記事を読んでほしい人

・会社勤めの方
・給与計算、経理業務、年末調整関連業務担当者
・年末調整について知りたい方

◆この記事を読んでわかること

・年末調整の目的
・年末調整の対象者
・年末調整の必要書類
・年末調整のスケジュール
・年末調整時の定額減税の対応(年調減税)

年末調整とは?

年末調整は、毎月の給与から源泉徴収された税額の年間の合計額と、年税額を一致させる精算の手続きです。

1年間の給与所得に対して、正確な所得税額を確定するために行われます。毎月の給与から源泉徴収されている所得税は、あくまで年間見積もりで計算されているため、年末に実際の税額と一致するように調整する必要があります。

年末調整の対象者

年末調整の対象となっているのは、原則として、勤務先に「扶養控除等申告書」を提出している人です。

正社員、契約社員、パート、アルバイトを含む、会社などから給与を支払われているすべての人が対象となります。
また、年末調整前に転職した場合は、転職先で年末調整を行うことになりますので、その場合は前職の源泉徴収票の提出が必要になります。

給与の収入金額が2,000万円を超える人や、自営業やフリーランスなどの個人事業主など、一定の人は年末調整の対象とはなりません。
自分で確定申告が必要になりますので、注意してください。

年末調整に必要な書類

年末調整を受けるためには、会社にいくつかの書類を提出する必要があります。

①扶養控除等申告書
②基礎控除申告書
③配偶者控除等申告書
④所得金額調整控除申告書
⑤年末調整に係る定額減税のための申告書
⑥保険料控除申告書
⑦住宅借入金等特別控除申告書

今年は年末調整時に定額減税の精算も必要になるため、
「年末調整に係る定額減税のための申告書」が追加されています。
また、②~⑤の4つの申告書はひとつの書類にまとめられています。

各種申告書の内容や記載方法は、下記リンクをご参照ください。

年末調整のスケジュール

①10月〜11月:準備と書類配布

毎年10月中旬頃に、保険会社から生命保険料控除証明書や地震保険料控除証明書などの各種控除証明書が自宅に届きます。会社側は従業員の方に必要書類や提出期限を説明し、従業員の方は書類の準備(保管)をしておきましょう。

②11月〜12月初旬:書類の提出

提出期限は会社によって異なりますが、今年は定額減税の対象者を再確認する必要があるため、例年よりも確認事項が多くなっています。会社側も従業員側も、早めの準備と提出を心がけましょう。

③12月年末調整の実施

会社の担当者は、従業員から受け取った書類を基に、年末調整を行います。

具体的には、年間の給与総額に基づいて所得税を計算し、扶養控除、配偶者控除、生命保険料控除、地震保険料控除などを適用して、実際の税額を確定します。

確定した税額と、毎月の給与から既に源泉徴収された税額との差額を計算し、12月の給与で過不足を精算します。
払い過ぎていた場合は還付金として返金され、不足している場合は追加徴収されます。

④翌年1月:源泉徴収票の発行

年末調整が完了すると、会社は従業員に「源泉徴収票」を発行します。
この書類には、給与や源泉徴収税額、控除額などが記載されています。
申告した内容が反映されているか確認してみてください。

副収入がある場合や医療費控除などを追加で申請する場合は、確定申告が必要になります。その際に源泉徴収票が必要になりますので、必ず保管しておきましょう。

年末調整時の定額減税の対応(年調減税)

今年6月から実施された定額減税によって、所得税が減税されています。
しかし、前述したように、所得税は見積もりで計算されているため、年末調整で定額減税の精算を行う必要があります。
この精算処理を「年調減税」と呼び、これまで毎月行ってきた減税処理は「月次減税」と呼ばれています。

定額減税の対象者を再確認

月次減税での定額減税の対象者は6月1日時点の状況で判定していますが、年調減税では12月31日時点の状況で判定します。
以下のような状況の変化があった場合は、対象者の確認が必要になります。

①扶養親族の増減
6月2日以降に結婚や出産により扶養親族が増えた場合、または離婚や収入増加により扶養親族が減った場合など。
「3万円 × ○人」となるのか再確認しましょう。

②6月2日以降に入社した従業員
6月2日以降に入社した従業員は、月次減税の対象者となっていないため、年末調整で定額減税の処理をする必要があります。(扶養控除等申告書を提出し、定額減税の対象者であることが確認できた場合)

③合計所得見積額が1,805万円を超える場合
定額減税の対象者は合計所得金額が1,805万円以下の方ですが、月次減税では1,805万円を超える見込みの場合も月次減税が適用されています。
合計所得見積額が1,805万円を超える、かつ給与収入が2,000万円以下の場合は、年末調整で定額減税の精算が必要になります。

給与収入が2,000万円を超える場合は年末調整対象外となるため、定額減税は確定申告で精算されます。

定額減税の概要については、下記の記事で解説しております。

最後に

今年の年末調整では定額減税への対応が必要になるため、確認事項が増え、処理も例年より複雑になることが予想されます。
会社側は必要な書類の提出期限を明確にし、従業員が適切に対応できるよう案内を行いましょう。また、従業員も自分の所得や扶養状況を正確に把握し、必要書類を迅速に提出できるよう準備をしておきましょう。

SYNCA合同会計事務所では、税に関する相談、個人の確定申告などの支援も行っておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

SYNCA合同会計事務所 お問い合わせフォーム