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定時決定の反映を忘れずに!社会保険料の確認方法をわかりやすく解説!

はじめに

こんにちは(^^)!SYNCA合同会計事務所の中西です。

前回は「住民税決定通知書」の確認ポイントについてお話させていただきました。まだご確認されていない方は、以下のリンクよりぜひご覧ください。

今回は「社会保険料」に関する情報をお届けします!
毎年この時期になると、社会保険料の見直しが行われます。7月に提出した算定基礎届をもとに、9月からは新しい標準報酬月額が適用されることになります。これに伴い、9月分の給与からは新しい標準報酬月額に基づいた保険料が計算され、10月末に納付することになります。給与計算を担当する皆さんにとって、誤りや漏れのないように正確に反映させることが重要です。この記事では、算定基礎・標準報酬月額とは何か?社会保険料の算出方法について解説していきます。


◆この記事を読んでほしい人

・人事、総務、経理担当者
・社会保険関連業務、給与計算担当者
・社会保険に関心のある方

◆この記事を読んでわかること

・社会保険料の基礎知識
・社会保険料の決まり方(定時決定)
・社会保険料の算出方法
・給与計算における注意点

社会保険とは?

社会保険は、従業員の病気やケガ、死亡、出産、老齢、介護、失業といった「いざ」に備えるための社会保障制度のひとつです。社会保険料を納めることで、従業員やその家族の生活を守ることにつながります。

社会保険料の種類とその役割

社会保険料には以下の5種類があり、広義の社会保険と狭義の社会保険の2つに分類されます。

狭義の社会保険である健康保険・厚生年金保険・介護保険は、従業員の給与に応じて決まるもので事業主と従業員で折半します。一方、労災保険は事業主の全額負担であるほか、雇用保険は、事業の種類によって負担割合が異なります。
今回は狭儀の3つの社会保険について詳しく解説していきます。

用語解説

算定基礎届とは?

社会保険の標準報酬月額を決定するために、毎年4月から6月までの給与実績をもとに、事業主が健康保険組合や日本年金機構に提出する書類です。この届出をもとに、従業員の新しい標準報酬月額が決定され、保険料の計算基準が確定します。
日本年金機構で算定基礎届の処理が完了すると、「標準報酬月額決定通知書」が事業所に発送されます。

標準報酬月額とは?

社会保険(健康保険や厚生年金保険)の保険料を計算する際の基準となる金額です。これは、従業員の実際の給与(報酬)をもとに、一定の範囲に分けられた月額区分に当てはめたものです。

定時決定とは?
給与は毎月毎年、昇給等により変動します。 このような給与の変動に対応するために、毎年一定の時期に標準報酬月額を見直すことを定時決定といいます。

社会保険料の計算方法

実際の保険料の計算はとてもシンプルです。標準報酬月額に該当する保険料率を掛け合わせることで算出できます。

社会保険料=標準報酬月額×保険料率

社会保険料は上記の計算式で算出できますが、保険料率は都道府県ごとに異なる点に注意が必要です。各都道府県の保険料率は全国健康保険協会(協会けんぽ)のホームページの保険料額表を確認してください。

こちらは令和6年度の東京都の保険料額表です。

出典:全国健康保険協会「令和6年度保険料額表(令和6年3月分から)」

社会保険料は事業主と従業員で折半になるので、従業員の給与から控除する金額は折半額の欄の金額になります。

例えば、下記の条件の場合、給与から控除すべき社会保険料の金額はどうなるでしょうか?

従業員Sさん 年齢:45歳 標準報酬月額:410,000円

*介護保険の第2号被保険者とは、40歳から64歳までの方で、健康保険料率(9.98%)に介護保険料率(1.60%)が加算されます。

出典:全国健康保険協会「令和6年度保険料額表(令和6年3月分から)」

この条件の場合は、標準報酬月額410,000円の欄の介護保険第2号被保険者に該当する場合の欄の金額を控除することになります。

健康保険料 20,459円
介護保険料 3,280円(23,739円-20,459円)
厚生年金保険料 37,515円

給与計算ソフトを使用すれば、標準報酬月額を入力するだけで社会保険料が自動的に反映されます。しかし、変更のタイミングで新標準報酬月額に更新しないと、納付額と差額が発生する恐れがあります。決定通知書を確認し、新しい金額を反映させるようにしましょう。

また、保険料額表を確認してみると、一定の範囲内であれば報酬額が変わっても保険料は同じままです。このため、役員報酬を決める際には、その報酬額を次の等級に到達しないよう、ギリギリの上限に近づけることが手取り額を増やすポイントです。

例えば、標準報酬月額が410,000円の場合395,000円~424,999円までは同じ保険料です。しかし、報酬を425,000円に設定してしまうと、1段階上の保険料が適用されてしまうため、手取り額が減ってしまうことに注意してください。
この「各段式」をうまく活用することで、社会保険料の負担を抑えながら、手取り額をできる限り増やすことができます。

【2024年10月1日施行】社会保険の適用拡大について

2024年10月から従業員51人以上の企業が対象に
2024年10月から、社会保険の適用拡大がさらに進み、従業員数が51人以上の企業も新たに対象となります。この変更により、これまで適用外だった中小企業の従業員も社会保険に加入することになります。

出典:厚生労働省 社会保険適用拡大ガイドブック

加入対象者の把握
パート・アルバイトの方が社会保険の適用対象となるには、以下の4つの条件すべてを満たす必要があります。

出典:厚生労働省 社会保険適用拡大ガイドブック

対象の企業は、対象者の確認や従業員への周知、手続きの準備を進めておきましょう。
社会保険の適用拡大についての詳細は、下記リンクの厚生労働省社会保険適用拡大特設サイトをご参照ください。

最後に

今回は給与から控除する社会保険料の金額の確認方法についてご説明しました。まずは決定通知書をしっかり確認し、変更があった場合は忘れずに対応しましょう。なお、給与から控除する社会保険料の変更タイミング(翌月控除、当月控除)は企業によって異なるため、各社で取扱いをご確認ください。

SYNCA合同会計事務所では、税に関する相談、個人の確定申告などの支援も行っておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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