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限界利益は黒字化の第一歩!

はじめに

こんにちは。SYNCA合同会計事務所 共同代表の平川です。

ビジネスを運営する上で、利益を最大化するためには、さまざまな指標を理解し、活用することが重要です。

その中でも「限界利益」という概念は、特に重要な役割を果たします。

前回、「粗利1%の改善で営業利益が10%増えるか検証した記事」の続編として、この記事では、限界利益の基本的な考え方について解説します。是非ご一読ください。



◆この記事を読んで分かること

・限界利益と粗利の違いについて
・変動費と固定費の違い
・黒字化に向けた方向性について

◆この記事を読んでほしい人

・限界利益の考え方を知りたい人
・変動費と固定費の考え方を理解したい人
・自社の部署、経営を黒字化したい人

限界利益とは?

限界利益とは、売上から変動費を差し引いた後に残る利益のことです。
実にシンプルですね。

「限界利益 = 売上高 - 変動費」

では、変動費とは何でしょうか?

変動費とは、製品の生産量や販売量に応じて増減するコストのことを指します。つまり、売上の増減により変動する経費のことです。

例えば、材料費や外注費、直接的な人件費などがこれに該当します。

一方、固定費という考え方があります。

固定費は、売上の増減にかかわらず発生する一定の費用であり、家賃やリース料などが含まれます。

変動費と固定費の例

つまり限界利益を出すためには、費用を「変動費と固定費に分ける」必要があります。

限界利益と粗利の違いとは?

ここまで読んだ方の中には、あれ、限界利益と粗利(または粗利益)は、何が違うんだろう?と疑問を持たれた方もいらっしゃると思います。

損益計算書(P/L)を思い浮かべてください。


損益計算書の概要

そうです、損益計算書はそもそも作成目的が違うことから、表面的な数字だけでは変動費と固定費が明確に分かれていないのです。

例えば、製造業の場合、売上から製造原価を差し引いて粗利を計算しますが、製造原価の中には売上の増減に変動しない、工賃(直接的な人件費)や地代家賃なども含まれていることから、必ずしも原価=変動費とはならないのです。


経費を変動費と固定費に分けた場合のイメージ

そのため、限界利益を出すためには、すべての経費を変動費と固定費に分ける必要が出てきます。

変動費と固定費を分けてどうするのか?

では、経費を変動費と固定費に分けて、何がわかるのでしょうか。

冒頭の通り、限界利益=売上高−変動費 となり、限界利益を出すことができます。

限界利益を出すことで、企業秘密がわかります。

主力商品、サービスの儲けの源泉

よほどのことがない限り、売上の種類が1種類しかないという企業はありません。
つまり、自社の売上は複数の商品やサービスによって構成されていると言えます。

ここで質問です。

みなさんの商品、サービスのうちどの商品やサービスが一番売上が高いでしょうか?

これは感覚的にも理解されている方が多いと思います。

では、そのうち、利益率が高い商品、サービスのトップ3は何でしょうか?

一度、1分ほど時間を置いて考えてみてください。




いかがでしたでしょうか。

もしお答えできなければ、黄色信号です。
限界利益とは、自社の商品・サービスの儲けの源泉=つまり、企業秘密(自社の付加価値)であり、その重要事項を把握されていないからです。

是非この限界利益を使い、まずは分析をしていきましょう。
もしかすると、思い浮かべていた内容と実際には乖離があるかもしれません。
御社の儲けの源泉が見えてくるはずです。

限界利益の活用方法

 計算された限界利益をもとに、どの製品やサービスが収益性が高いかを分析します。

 収益性が低い場合は、変動費の削減や価格の見直しを行うなど、改善策を検討していきましょう。

特にまず、取り組みたいのが「価格戦略」です。

自社の商品・サービスの限界利益の高い、低いを知ることで、競合他社との比較をすることができます。

競合優位性(他社よりも優れているもの)があれば、場合によっては価格をさらに上げる戦略や、逆に多少値引いても顧客数・販売数を増やすことも考えられるかもしれません。

一方、限界利益が低い商品・サービスについては、価格の再検討をするほか、撤退も考える必要があるかもしれません。

終わりに

いかがでしたでしょうか。
今回は限界利益の基本的な考え方と活用方法についての記事でした。

自社の商品・サービスの儲けの源泉(限界利益)を把握することで、黒字化に向けた方向性が必ず見えてきます。

SYNCA合同会計事務所では、上記のようなお悩みや税に関する相談、経営分析などの支援も行っておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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