優河「Love Deluxe」(2024)
ヨーロッパの音楽ブログbeehypeに寄稿した記事の日本語版です。
伝統的なソウルにジャズ、ヒップホップ、時にディスコ・ミュージックが顔を出すトラックに、スモーキーな、憂いを帯びた声。
岡田拓郎にプロデュースされ、フォーク・シンガー優河は、自分を愛すことについて、歌うことに決めた。おそらく、それは彼女にとって(そして、私たちにとっても)重要な発達課題でもあるのだろう。岡田を含む魔法バンドがバックアップする。
以前と似た傾向の曲、例えば「Mother」は、夢の中でだけ会うことができる恋人について。最終曲「Stay with me」は、人魚姫についての歌のようだ。「泡になってもいいから、ただ、そばにいて」と歌われる。
WilcoからJ Dillaまで幅広い音楽を参照する岡田拓郎。彼がアレンジや、時に作曲に協力することによって、優河の音楽は、優れたダンスミュージックとして機能するようになった。
シャーデーを意識したかのような「Love Deluxe」に顕著。根暗も踊れるダンスミュージックを目指したという、そのトラックに導かれ、優河の声は力強さを増した。彼女の書いた歌詞から推測すれば、愛を取り戻すことや、海の底で凍てついてしまった心を溶かすことを歌っているのかもしれない。