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#24. フローティングスティックと現実社会
ドイツにあるメタログ社の日本独占インポーターであるラーニングトルク社には、フローティングスティックという商品があります。
マジックバンブーというものや、フラフープを使ったワークと使い方は同じです。
しかし、このメタログ社が開発したフローティングスティックが秀逸なのは、「すこぶる軽い」ということ。取り外しが出来るので携帯に便利だという特徴もありますが、アルミ製で細いが頑強に出来ているこの商品は、すこぶる浮きます。
ワークのネタバレになるとご迷惑をおかけするので、詳細を説明するのは避けますが、フラフープを使って、「浮く」ワークをやった事がある研修担当者の方なら、何故それが重要なのかが分かると思います。
簡単に言うと、ワークは現実社会の隠喩になっていなければならないからです。
フラフープでも何とか実現できますが、残念ながらプラスチック性だが、ゴツくて太いフラフープだと、浮きが甘くて、現実の組織のように、あれよあれよと崩れていく様を、まざまざと表現してくれません。特に、ゴム付きのフラフープは重すぎて、浮かないことすらあります。
チームメンバーが一人一人の価値観に於いて良かれと思った姿勢でフローティングスティックを操作しようとする。
一人一人がそれぞれ思い思いの知識やスキルを持ってその環境に適切であろう行動をする。
何も悪いことをしていない。誰も悪くない。
皆、一所懸命。
でも上手く行かない。
それでは、「コミュニケーションが肝だ」と言い始める威勢の良いリーダーが現れる。「ああした方が良い」「こうしろ」「お前はもっと下げろ」
でも上手く行かない。
「みんなで話し合ってルールを決めましょう」と言い始める。「せーの、で下げよう」「端にいる人が水平を見て声を掛けよう」
まだ上手く行かない。
現実の組織は、そんなに甘くありません。
まだまだ考えること、共有すること、鍛えること、心構えること。。。それらを気付かせてくれるために最適な構造にフローティングスティックは設計されているようです。
また、フラフープを使ったワークを一時間程度で解説を交えながら行う研修会社が多いのですが、(同社も時間の関係でそうする事もあるそうですが)これでは現実社会の隠喩になっていません。繰り返しになりますが、現実の組織は、そんなに甘くはないのです。
一人一人が自分に向き合い、話し合い、一人一人が他人に向き合い、それぞれの特徴が良く見えてきて、動きを調整するとまたバランスが変わり、そのバランスを調整しながら、少しずつ少しずつ良い変化に変わって行きます。同社ではこれを一日かけて行い、組織のメンバーひとりひとりの価値観として根付くように進めていきます。
参加者は疲れ切って疲弊し、悩み、それでも挑戦し、良き組織を目指します。ここまでしないと得るものは残念ですが薄いものになってしまいます。
研修コンテンツにも切磋琢磨が必要です。組織を作ることにお悩みの方には、秀逸な商品だけでなく、秀逸なコンテンツを作り上げる事に注力したいですね。
今日は同社と共にデリバーした素晴らしい研修があまりにも秀逸だったので共有させていただく事にしました。