バフェットに学ぶ投資の極意4. 手元資金が少ない場合の投資の始め方

投資を始めるとき、多くの若者は「資金が少ない」という課題に直面します。しかし、資金が少なくても投資を始めることは可能です。この章では、限られた資金で投資を始める方法を、わかりやすく説明します。

4.1 若者に共通する問題

まず、投資において「元本を大きくすること」がいかに重要かを考えると、若者が直面する課題が明確になります。一般に、若い世代ほど資金が少ないため、元本の確保が困難です。資金が少ないとリターンも限られ、資産を大きく増やすのが難しくなります。

元本を増やすためには、借り入れがひとつの選択肢です。しかし、借り入れには金利負担が伴い、特に若者にとって心理的負担も大きく、現実的ではないと感じる方も多いでしょう。ここで、バフェットを参考に考えてみると、彼は保険会社のフロート(預かり資金)を利用して、低コストで元本を確保し続けました。しかし、こうした貯金箱を持たない一般の投資家にとって、バフェットの方法を真似するのは簡単ではありません。

そこで、若い世代でも活用できるのが、「レバレッジ」という手法です。低コストで手軽に元本を増やせる手段として、近年ではレバレッジ商品が多数登場しています。

4.2 レバレッジ商品を活用する

「レバレッジ」と聞くと、危険なものというイメージを持つ方も多いかもしれません。これは、特に外国為替市場(FX)などで25倍などの高すぎるレバレッジが設定されることがあり、そのリスクが注目されているためです。しかし、低レバレッジで運用する限り、リスクは限定的に抑えられるのです。

現在では、低レバレッジの投資信託やETF(上場投資信託)が誰でも手軽に購入でき、手数料も安価に設定されています。たとえば、手元にある100万円を使って2倍のレバレッジ商品を購入すれば、200万円分の投資ポジションを持つことが可能です。バフェットの貯金箱のように、レバレッジを活かして初期の投資額を増やすことが、資産成長の鍵になります。

また、レバレッジ商品には、100万円で直接投資するよりも、リスク対応が取りやすいメリットもあります。たとえば、手元に100万円あるとき、全額を使って100万円のポジションを持つと、価格が下落したときにすべての資金が影響を受けてしまいます。対して、50万円でレバレッジ2倍の商品を購入すれば、同じ100万円分のポジションを持ちながらも、残りの50万円を現金として確保できます。これにより、暴落や価格低迷時にも資金に余裕が生まれ、ポジションの再構成や買い増しを検討できる余地が増えるのです。

4.3 いわゆる「ツミレバ」

このような低レバレッジ商品を積立投資に活用することを「ツミレバ」と言います。一括投資が望ましいものの、資金が少ない若者にとってはまとまった額を用意することが難しく、積み立てる以外に投資戦略が取れない場合もあります。そんなときに、ツミレバは効果的な手段となり得ます。

ツミレバの利点として、レバレッジをかけることで価格変動の影響が大きくなるため、積立を行う際も価格が低いときに多く買える効果が生まれ、取得金額の低減化に繋がることが挙げられます。これにより、積立のタイミングごとに元本を増やし、上昇局面で大きな効果を発揮することが可能です。投資額を着実に積み増しながら、その分レバレッジをかけていくことで、常に最大限の投資元本で上昇の恩恵を得ることができます。

ただし、一般的にレバレッジ商品には「減価」という問題があり、長期間の保有で投資価値が減少していくリスクがあります。次の章では、この減価の仕組みとその影響について詳しく説明します。

4.4 レバレッジの罠:減価

レバレッジを活用した長期投資には、もう一つ重要な課題があります。それが、「減価」と呼ばれる現象です。これは、レバレッジ商品の基準価格が日々の価格変動の影響を受け、長期的に下がっていく現象です。

たとえば、2倍のレバレッジ商品を購入した場合、元の指数が10%上昇してその後に下落して元の水準に戻ったとしましょう。このケースでは、指数自体は100万円に戻ったものの、レバレッジ商品では以下のような減価が生じます。

初期投資額: 100万円

1日目に10%上昇: 100万円 × 1.2 = 120万円

2日目に9.09%下落して元の100万円に戻る: 120万円 × 0.818 = 98.18万円

2倍のレバレッジ商品であれば、指数が元の水準に戻ったにもかかわらず、結果的に投資額は98.18万円と約1.82%の減価が発生します。日々の変動によって発生するこの減価は、長期保有するほど積み重なり、最終的なリターンを下げる原因となります。

4.5 レバレッジ商品の長期リスクと将来の可能性

レバレッジ商品には「減価」という問題があり、この現象のために、レバレッジ商品は短期投資向けであり、長期投資には適さないと言われています。これは一括投資でも積立投資でも同様で、長期保有する場合にリターンが低下する原因となります。

この考え方は基本的には正しく、減価によってレバレッジ商品の基準価格が日々の価格変動の影響を受け、長期間保有するほど投資価値が減少するリスクがあるため、商品の説明書や専門家も注意喚起しています。

しかし、この減価を克服し、むしろ増価に変えるための投資手法も存在します。次章では、この減価を上手に乗り越えるレバレッジ商品の活用法について詳しくご紹介します。


4章では、若者が資産を増やすために「レバレッジ」を活用することの重要性について見てきました。若い世代に共通する資金の少なさという課題を解決するため、低コストで元本を増やす手段としてレバレッジ商品が有効であることを確認しました。さらに、「ツミレバ」と呼ばれる積立方式でレバレッジを活用することで、投資資金を効率的に積み増しし、上昇局面で最大限のリターンを得る可能性がある点についても解説しました。

しかし、レバレッジ商品には「減価」という長期リスクがあり、長期保有することで投資価値が減少する問題があります。これにより、レバレッジ商品は一般的に短期投資向けであり、長期投資には適さないとされています。

この問題の解決無くして、レバレッジで長期投資は成立しません。次章では、簡単にこの減価の問題を克服し、レバレッジを増価に変える、魔法の手法について詳しく解説します。

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