Tiny Tomorrow
1.背景
2024年の3月に2024小室進行祭り開催が決定しました。この小室進行祭りの第1回は前年の2023年でした。当時は第2回があるかどうか不透明な状況でした。最初で最後になるかもしれなかったので、やりたいことはやり切りました。
そんな中で第2回です。まぁやらなくてもいいかなという気持ちは少しありました。
しかしながら、作品どうこうよりも横のつながりという面もあります。簡単にパスでというのももったいない話です。
単に小室曲作るだけなら簡単なんですけど、オール小室の中で爪痕を残すのはなかなか難しいなと第1回で学びました。
もちろん投稿祭の趣旨はそんな堅苦しいものではないです。誰でも何でもいいから小室持ち寄り闇鍋でワイワイ楽しもうというもの。
それはそれでいいんですけど、個人的な視点では小室進行祭りは小室愛を表現する場と捉えています。
つまり、単に小室進行を使った曲ではいけない。あるフレーズには何通りかのコード進行が考えられるケースがあります。その中でベストを選んでいくんですけど、今回はもう小室一択みたいなフレーズを作りたい。
これは個人的な縛りなのでみんなは好きにすればいいと思います。
そう考えた場合、それっぽいのができたら参加、できなかったら不参加のスタンスでいきました。とりあえずは7月のボカデュオに全集中です。
2.小室進行祭り着手まで
ボカデュオまで3か月くらいとはいえ、猫道さんの歌詞先はなひとつ、みおさんの歌詞先silentをこなし、ボカデュオもギリギリまでミックスしてたので、終わったのは開催直前の7月です。つまり小室進行祭りまで4か月を切っている。
やっと手が空いて作曲を始めました。とはいえボカデュオ制作中に1日1小室企画をしてました。小室サビをいくつか作曲する活動です。今回はその中からベースとなるフレーズを選びました。
フレーズを録り貯めたのは初めてです。今後もあるし、色々やってみようと思ってました。
手が空いたとはいえ、麻雀したり、カラオケ作ったり、投稿祭主催したりしてました。そしてルーキー祭り主催用にコンセプト曲を書き下ろすまである。(ワンフレーズですけど)
遊んでるように見えるかもしれませんが(まぁ遊んてるんですけど)こういうのもボカロP活動の一環と思っています。
ただストイックに曲を投稿していくスタイルもいいですけど、身近で多方面から興味をもってもらえる存在もいいんじゃないでしょうか。ボカロPなんて界隈の外ではよく分かんない存在だろうから、そういうとこにも入っていきたいですね。
要するに4か月ないってのはそんなに余裕な数字ではないってことです。
8月の連休明けに投稿祭主催、リーエさん主催の霞まない月杯参加、すぅぅぅさん主催のボカロP麻雀参加で気づけばもう9月です。
歌詞に1ヵ月、動画に2週間くらい?、余裕見てプラス1週間するとギリギリです。
もう実質締め切りと悟り、9月第1週に全集中です。もう今週中にハイエナさんに最低限メロを渡さないといけない。曲の雰囲気が分かる程度のオケも作らないといけないです。やっと真面目に取り組みます。
ハイエナさんはプロいので、お願いすると提出した仮メロそのまま1文字も違わず、フレーズを崩さず返ってきます。
今まで1番と2番の歌詞のゆらぎは作詞家さんに投げてしまっていたのですが、それも含めて作曲せいよということなんでしょう。ということで、1A、2A音符1つ変えときました。アウフタクトも全て指定しました。
そもそもこの段階でハイエナさんと確約してないから作詞依頼を断られたら普通に詰む。
3.コンセプト
今回の曲のコンセプトは小室バラードです。なぜバラードなのかというとトラック数が少なくて済むから。フルトラック面倒だもん。
silentとSilent Sleepとアップテンポが続いたからです。従来からアップテンポとバラードを交互を書くようにしています。
同じような曲調を続けると、どうしても前作に引っ張られる。そもそも書きたいと思わなくなる。なんならSilent Sleepやってるときにすでにバラードが書きたくなっていた。バラードネタがどんどん沸いてくるんです。その逆もしかり。
作曲の1番のモチベーションは書きたい欲求なので、これを使うのがうまいやり方です。アップテンポ続けてスランプした経験から学びました。仕事でやってたらそんな甘いこと言ってられないけど、趣味でやってるんだから好きなの書かせて欲しい。
バラードって点では前回小室進行祭り曲のQuantum Quartzに似ているんですけど、あれはあくまでカップリングの位置づけです。
前提として表題曲のNative Nationがあって、こういう小室バラードもいいよね的な作品です。
もっといえばサビ前で奇妙な転調したせいでツーファイブできなかった。また、サビ後半を意識したサビ前半になっています。要するにストレートな作品ではなかった。
まぁそれでも小室進行祭り全曲サビメドレー作って頂いたポンジュ。さんに前半が弱かっただけか知らんけど後半をサビと解釈して使って頂けたんでそれなりに強いのができたんだろう。
今回はメロだけで小室進行って分かるくらい小室にしたいし、ツーファイブでサビに入りたい。
そしてテンション使っていきたい。今まではテンション使わないスタイルでしたし、Quantum Quartzもあんまり入れてません。基本はテンションない方が小室がダイレクトに伝わって好きです。
ただライバーの宙琴マミカさんのピアノ枠に入り浸って、すごいきれいなテンションを聞かせてもらって試してみたいと思いました。
どうやったらこんな音になるんだと思っていました。
そこでやはりライバーの秋月くれはさんがピアノは音が細いから弾いてると勝手に音足したくなるとコメしてました。
これは目から鱗でした。テンションを入れるというのはそのテンションが必要だからであって、むしろ強調するべきものと思い込んでいました。(だってテンションが聞こえないとテンション入れた意味ないじゃん。)
それが単に音細いから足しただけだと?それを聞いてなんとなくイメージができました。(もちろん曲によるんだろうけど)
曲紹介について、今回はコード進行書かないです。なぜならば、ほぼ全て6-4-5-1かそれに準ずる進行でテンション違うだけです。単純な曲と思われるかもしれませんが実は自分視点ではなかなか複雑です。フレーズ毎にテンションもベース違うし、1番、2番でも違うし大変ややこしいのです。もうピアプロに譜面置いとくからそっち見てもらった方が早い。
とはいえメロ自体は全く一緒だからふわっと聞いてると分かんないとは思います。
4.サビ
参考にしたのはtukiさんの晩餐歌です。哀愁のある小室でサビ3小節目の力強く大胆な6度跳躍は印象的です。ということでこちらはサビ頭で6度跳躍してやりました。
Quantum Quartzは概ね順次上昇して下降することで届かなかった思いを表現しました。
今回は跳躍するので心の叫び、主張をイメージして書きました。
終始のとこのメロは7→1で切ない感じにしました。そもそもSynNightPの曲はほぼ全曲7→1終始なんじゃないかな。だって切なくて好きだもん。
Bメロ終わりもこの段階で決めちゃいます。ほんとBメロ終わりの最後の2音がこの曲のクライマックスです。Bメロの終わりでありながらサビの頭でもあって力強くいって欲しい音です。ここは4分音符でいきました。そして間髪入れずにそのままサビに突入します、
ハイエナさんにも良い語呂書いてもらえて、その辺り分かってもらった思います。
特徴的なのはサビが1フレーズしかありません。なぜならば、前述したようにサビに入るのにBメロのラストの2音が必要です。サビの2フレーズ目にはBメロがないのでサビが成立しませんでした。
もちろん、Bメロと同じ音を足す手もありますが、なんか野暮ったかった。しかしながら1フレーズで終わらせると物足りなさが切なくてこれはこれでいいじゃないかと感じて採用しました。小室進行に切なさ大事です。
もっといえば、筒美京平先生はAメロ4小節とか普通にやってのけるそうです。不要なところはバッサリ切るスタイルだそうで。「先生ここ4でいいんですか?」って周りの方を困惑させたという武勇伝を聞きました。
巨匠らしくてすげーカッコいいじゃないですか。それをちょっとやってみたかったのもなくはない。
ハイエナさんがいつもよりサビが短いって言ってくれたので巨匠感にちょっと浸っていました。
5.Bメロ
最後の方の1小節だけ小室が崩れます。
小室のまま入ると小室の有難さが失われるから。小室からいったん離れてまた戻ってきたときのインパクトを重要視したかった。Bメロは全体的に小室進行バリエーションを駆使して色々してます。特に2番ではベースを順次下降にして当てにいってます。まぁハイパスしてるから、あたってても気にはならないだろう。
6.Aメロ
書いた後になんかに似てると思ったら、LiSAさんの炎だった。まぁいいやで押し通しました。もちろん書いてるイメージに炎もありました。
1番はシンプルな伴奏とテンション、2番からちょっと動かしました。
7.イントロ、アウトロ、間奏など
1サビ後の間奏はBメロより先に書きました。(ただしBメロ終わりだけは間奏より先)1フレーズサビがどんなもんか試すためです。
このとき間奏が2パターンできたので、1つをイントロに回しました。冒頭の謎のコードは最後に付け加えました。ここまでテンションだくだくできてたので曲頭もそれでいこうと思いました。
サビメロを踏襲した間奏もいいんですけど、今回は小室進行祭りなのでコード進行に沿わせた感じがいいかなと思いました。
そこでノーランカー祭りの作品で拝聴したKamaさんのすなおになってもを参考にさせて頂きました。
とはいえサビ踏襲型もキャッチ―で捨て難いのでアウトロで採用しました。
8.キー
いつものようにAmで書きましたけど最終的にはゆうこさんに歌ってもらいたいと思い、Cmに下げました。
闇っぽい曲なので下転調したかったけど、Bメロからサビが連続するので転調できなかった。(Quantum Quartzも連続しているが転調を優先させてツーファイブを諦めた)
そこで1サビ後の間奏で下転調しました。本来は次の2Aで上転調で1番とキー合わせます。ですが、キー上げたときに転調の違和感があった。また、キー上げによって明るい印象が出てしまった。もう下キーのままでいいやってことで、2番は1番のキー違いになっています。
2番でキー下げるとBmになり、低すぎの印象でした。そこで1番がCmだったのをC#mに変更しました。結果的にこれでキー下げた2番がCmです。
サビ前の息継ぎなし、キー違いの1番、2番をゆうこさんがどう歌ってくれるのか無茶振りしてみたかった気持ちもなくはないです。
楽譜はこちらです。