[column] 知育ブロックの先駆者:ダイヤブロック
国産メーカーのカワダ
ダイヤブロックは1962年11月に日本のメーカーであるカワダから発売されて以降、日本国内ではかなりのシェアを持ったブロック玩具の先駆けです。特に私が幼少年期を過ごした1980年代にはその黄金期とも言える時期をむかえ、未来冒険シリーズと銘打った宇宙をテーマにした商品群が特に印象的でした。
最近ではカワダのテレビコマーシャルをほとんど見かけなくなりましたが、当時は新商品の広告も頻繁に出していて、プラモデルよりも手軽な組み立て型の玩具として人気を博していました。
現在では海外メーカー含めて様々な知育玩具があります。ダイヤブロックの全盛期には、知育玩具というカテゴリ自体が浸透していなかったので、文字通り知育玩具・知育ブロックの先駆者だったといっても過言ではありません。
2000年に入って以降は、世界最小級のサイズを売りにしたナノブロックが主役となりダイヤブロックは徐々に縮小傾向にありますが、私はダイヤブロックにしかない特徴に改めて再注目しています。
ダイヤブロックの特徴
同じブロック玩具のカテゴリで、ダイヤブロックは常にレゴブロックと比較されてきました。いずれも日本国内で普及してから数十年が経過した今も、数々のWebサイトでその比較が論じられたり、子供に買い与えるならダイヤブロックとレゴブロックのどちらにすべきかと言ったQ&Aも多く見かけます。
カワダのダイヤブロックとレゴブロック、さらにLEGOブロックの3つの商品の部品の特徴は以下の表の通りです。
部品の種類や、部品の接続の強さを比較すると、ダイヤブロックよりもレゴブロックの方が種類が多く、強く接続できて良いように見えますが、逆に種類が少なくて弱い接続の方が想像力の刺激を促すことができると私は考えています。ここは最後の章で詳しく説明したいと思います。
部品の特徴に話を戻すと、部品の凸部の形状と接続の強弱に関係している特徴を生んでいるのは、嵌合(かんごう)の仕組み、つまりはブロック同士の嵌め込みの仕組みが異なる点です。ブロックの裏面を見ると、レゴブロックが円筒型の固定部を持つのに対して、ダイヤブロックは二列の板によるバネ状の固定部になっています。この構造の違いがダイヤブロックの外しやすさ(部品の接続の弱さ)を生み出しています。
創造力を刺激するダイヤブロック
レゴブロックはとても良く出来ていて、完成品の華やかさではダイヤブロックは到底かないません。また、先の特徴にもある通り、嵌合の仕組みが強いため、一度組み立てたブロックを再度バラバラに外すことが難しいので、レゴブロックは完成品を使って遊ぶか、完成品を飾ることを前提としているブロックであるとも言えます。ダイヤブロックと同じカワダが制作したナノブロックも、完成品の華やかさという点ではレゴブロックと共通しているので完成品を飾ることを前提としているブロックに類する様に思います。
一方で、ダイヤブロックは部品の接続をあえて弱くつくることで、完成品を作り終えてからもバラバラにすることが簡単という特徴があります。これは、完成品を再度作り直したり、途中でオリジナルの組み換えをするといった創作的な感性を刺激することに役立つ特徴だと思います。
また、ダイヤブロックは特殊なパーツが少ない(部品の種類が少ない)ため、新しい創作をするときにイメージしたパーツを探したり選んだりすることが容易です。これも、創造力を刺激するうえではこれも大きなメリットになります。
私が幼少期の頃にダイヤブロック製品を毎年コツコツと買い集めて、部品を組み合わせて全く新しい作品を作っては両親に自慢気に見せびらかしていたことを今もよく思い出します。私はこの時、限られた種類のパーツで如何に大きくて格好良い作品が作れるか模索しましたし、左右対称の構造美やタイヤの配置による構造上のバランス等、色々なことを体感して学んだ気がします。
ブロックの完成品を愛でることも楽しいですが、遊びの中で何度も繰り返し試行錯誤することで創造性や感性を身に付ける機会が得られるダイヤブロックのような良質な玩具がさらに増えれば良いなと思っています。
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