オンラインイベントをメタバース化しよう!
こんにちは、SYMUNITY GROUPコラムチームです!
私たちのグループでは、色々な立ち位置で多種多様なお仕事に関わらせて頂いております。以前のご紹介で、なんとなく雰囲気だけでも伝わっていれば幸いです。
グループで大切にしていることとして、ユーザーの体感を作るということにこだわっています。そのための方法として、デジタル空間の演出や、プロジェクションマッピング、インタラクティブ、機材レンタルから販売まで含め、多数のソリューションをご提供しているんです。
そんな私たちのグループ各社が携わっている中で、主要なジャンルのひとつに、「イベント」の事業が挙げられます。実際、イベントに関連する実績は多いので、今日は私たちSYMUNITY GROUPが考える、イベントについての現状とこれからについて、それから最近よく聞く「メタバース」についても触れていきたいと思います。
1.「イベント」を定義する
そもそも「イベント」って何だっけ?というところから、一度立ち返って考えてみたいと思います。一口にイベントと言っても、様々なカテゴリーのイベントがありますよね。
たとえば、学校の「運動会」とか、地域の「お祭り」とか。
この記事を書いている今が、ちょうど桜の季節ですが、「卒業式」「入学式」なんかもイベントです。
「ライブ・コンサート」や「舞台」もイベントだし、企業の創立記念日を祝うための「祝賀会」だったり、社員を顕彰するような「表彰式」、国内外の有識者が集まるような「国際会議」なんかも、全部イベントと言えます。
大きいもの、小さいもの、
非日常的なもの、日常的なもの、
総じて、イベントとは
人と人とが、時間と場所を共有し、交流し、体験を分かち合う
そのような催し物、あるいは出来事と捉えることができます。
2.「リアル」から「オンライン」に
約2年前から始まった新型コロナウイルスの感染拡大。みなさんもご承知の通り、新型コロナウイルスはさまざまなイベントに大きな影響を与えることとなりました。
というのも、「イベント=人が集まる場」であることが、前提だからです。密を避けないといけない、となると、多くのイベントは開催を自粛せざるをえなくなりました。(もちろん、例外もあります)
コロナ禍では、感染拡大防止の観点から、実際の場所に人が集まるようなイベントはなかなか開催できません。そこで「オンライン」が、注目されはじめました。「オンライン」であれば、物理的な場を必要としないため、密を防ぐことができます。イベントを「リアル」ではなく「オンライン」で開催する潮流が、コロナ禍以降に加速したのは、みなさんご存知のところかと思います。
YouTubeLiveやSNS上の配信ライブイベントもそうですし、ビジネス系では、オンラインWeb会議ツール(ZoomやMicrosoftTeams、CiscoWebexなど)を使ったウェビナーなどのスタイルも登場しました。
開催方法をオンラインに代替することで、三密を防ぐというミッションはクリアすることができました。また、これまでは「興味はあるけど、開催地が遠いから」などの理由で参加を見送っていたイベントにも、オンラインであれば気軽に参加できるなど、一定のメリットがあることも分かってきました。
一方で、オンラインイベントは「参加感が乏しい」「一体感を作るのが難しい」という課題が浮き彫りになりました。
オンライン開催のイベントは、主催者側からの映像と音声の配信に頼っているので、どうしても一方通行になってしまいがちです。
もちろん、視聴者が参加可能なチャットや投票の機能であったり、投げ銭やスタンプなど視聴者の反応をビジュアルとして表示する演出なども、あるにはあるのですが、視聴者の参加感を高めることは、簡単なことではありません。
また、オンラインのもうひとつの課題としては、実際のモノを見たり触れたりすることに価値があるイベントには不向きである、ということです。
たとえば、商品発表会、製品展示会などの企業イベント、握手会やサイン会などのファン向けイベントがそれにあたります。
3.イベントに新たな価値をもたらす「メタバース」とは
「場所」が無いオンラインでは、一体感を作ることが難しい。この課題をどうクリアするか。ひとつの解決策として、考えられているのが「メタバース」です。
メタバースの概念自体は以前からあり、有名なものとしては「セカンドライフ」が20年ほど前に3Dの仮想空間での交流を既に実現していました。当時はまだテクノロジー的に追い付いていない部分もあり、盛り上がりはそう長くは続かなかったようですが、仮想空間で現実世界と同じような交流をするという概念は、現代において、再度注目を浴びています。
そうは言っても、「メタバースって何?」と感じる人がまだまだ多いかもしれません。ですが、皆さんの中でも、もしかすると映画やアニメでメタバース的なものを見たことがある!という方はいるのではないでしょうか。
たとえばこのような映画やアニメ作品は、仮想世界の中の物語ですので、イメージしやすいと思います。または、ゲームに類するものでメタバースに触れていらっしゃる方も多いかもしれません。
フォートナイトでは、同一のゲーム空間で友人とつながり、ボイスチャットで話しながらゲームができます。バトルロイヤルのゲームができるだけでなく、ワールドの中で、実在するアーティストによるバーチャルライブが開催されたことが話題になりました。まさに仮想世界でのイベント体験の好例ですね。
このような、映画やゲーム以外にも、展示会やショッピング、ライブ配信、ワークスペースなど様々なジャンル(用途)で、仮想世界での交流を可能にするメタバースは広がりを見せています。
4.オンラインイベントを「メタバース」化する
参加者が別々の場所から仮想世界に入ることで、同一体験ができたり、コミュニケーションが取れる、つまり単純なオンラインイベントでは難しかった、参加者の体験価値を生むことができるのがメタバースです。
しかしながら、全てをメタバースで実現しようとすると課題があります。
たとえば、リッチなユーザー体感のために必要になってくる要素のひとつが、リアルタイムかつ高品質な解像度およびフレームレートでの描画です。
ただ、高品質な映像を描画できたら良いわけではありません。ユーザー側端末のスペック(グラフィックなど)にも関わってきますし、ネットワークや、サーバーの負荷なども考慮せねばなりません。そのため、多くのメタバースのプラットフォームでは、見た目のクオリティか、ワールドの広さか、同時に入れる人数か、はたまた参加者同士の交流の仕方か、何かしらを制限しています。
どのような用途でも使える万能プラットフォームは、現時点では存在していませんので、オンラインイベントをメタバースで実現できる!という、そう簡単な話ではありません。
そこで必要になってくる考え方が、メタバース「化」です。
一口にオンラインイベントと言っても、目的や規模は様々です。
イベントの内容によって、仮想世界でのリッチな体験や交流が必要なところもあれば、そこまで必要でない場合もあります。
たとえば、
実際にオンラインイベントを企画していく中で、このようにいくつかの要素を取捨選択し、優先順位を決めて、必要なところにメタバース化のパワーを注ぐことが大事です。
そして、イベントを提供する側に求められるのは、ユーザーの目線です。一見すごいメタバースの仮想空間があったとして、いざ入ってみると、見たい部分が表示されないとか、頻繁に落ちたりすると参加者は幻滅します。体験の質が低いと、従来のオンラインイベントとの差別化ができておらず、低評価に繋がります。
以上、長々と書かせていただきましたが、メタバース自体はまだまだ概念が先行していて、プラットフォームを開発する企業がそれぞれのモデルを構築しようとしている段階です。そのため、世の中的に共通の考え方やルールの策定がなされていないのが現状です。
オンラインイベントにメタバースを組み合わせることで、さらに高次のユーザー体感をもたらすことができるということですが、イベント要素すべてをリアルと同じレベルでメタバース化できるのは、まだ先の未来です。
メタバース化するところと、従来の安定した技術基盤を活用するところを、きちんと整理する。そして、これまで以上に、UX(ユーザー体験)や、コミュニケーション設計を含めたイベント全体のプロデュースを行う。
このことが今後のオンラインイベントにおいて、非常に重要になってくるのではないでしょうか。