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スタートアップにおけるNo.2の価値とは。

No.2というと「トップに続く2番目」という印象を持ちますが、どちらかというと創業者の不得意な部分をすぐ横で支える気骨のある人材という方がスッと腹に落ちますし、本noteでは以後こちらの定義をベースに話をしていきます。

そして、そういったNo.2不在が故に、「事業」と「組織」の両輪を高速で回さないといけないスタートアップというフィルターを通すと、そのアンバランスが故に会社として突き抜けきれずにもがき苦しんでいるスタートアップを、よく身近に感じるようになりました。

これは一体どういうことなのか、ちょっとつらつらと書いてみます。

創業者が創業者である所以。

まず、誰もやったことが無いことを誰よりも先に考えて躊躇なく実行し、積もりたてのパウダースノーにズカズカと足跡つけていくような大胆さと図々しさ、そしてその行動の推進力となるどんな巨風にもかき消されることのない情熱の炎を燃やし続けるのが、スタートアップの創業者というものです。(その点においては本当に尊敬でしかありません)

彼らの異様に高い目線とクリエイティブなアイディアこそ、そのスタートアップのレバレッジとなり、新しい価値を世の中に提供していく上での土台となるのですよね。

一方で、その何かに対して圧倒的に尽き抜けている部分があるからこそ安定を捨ててスタートアップしてしまう訳であって、人間の能力としての様々なパラメーターを全体バランスでみると、どう考えてもアンバランスなのが創業者です。むしろ、そのパラメーターアンバランスこそ創業者の価値、そのスタートアップの伸び代と言い換えても良いんですよね。

「相手の気持ちを察する能力が低いからこそ、誰も言えないストレートな言動で正しい未来にこうすべきと言い切れる」

「事業と組織のバランスなど無視して、というかそのバランス感覚が全く無いが故に圧倒的に事業、プロダクトを前進させる」

そんなアンバランスこそ、スタートアップの創業者の価値なのです。

バランサーとしてのNo.2。

故に、その事業と組織の高速回転における荒波を乗り越える舵取りが、会社/組織という単位では実態として必要となります。人、組織はロジックで積み上がる機械ではないので、どうしたって感情の振り子で大きく右往左往します。
往々にして、創業者はそんな横揺れにお構い無しでズンズン前に前にと突き進みます。それがスタートアップの推進力となる訳ですが、どこかで感情の生き物である組織のバランスが壊れてくるのですよね。

そこでスタートアップにおける最初の壁がやってきます。創業者が事業、プロダクトを豪腕で推進できないとそもそもスタートアップとしては論外なのですが、そのベースができた上で会社/組織という両輪1単位で一つの限界がやってくるのです。

その壁を突破できるか否かの鍵を大抵の場合握っているのが、No.2の存在であると考えます。

No.2の価値は、アンバランスを維持しながらバランスをとること。

No.2の価値はアンバランスな創業者のパラメーターを均一化することでは決してありません。むしろその逆で、スタートアップの伸び代はその創業者のアンバランスギャップと正比例するので、むしろそのアンバランスを維持するために自分がマイナスのパラメーターを必死で埋めに行くということに尽きます。

古典的に言えば縁の下の力持ちであり、身を粉にしてでも、個を殺してでも創業者を担ぐ覚悟とリスペクトを持てるかどうかがNo.2の価値です。強烈な太陽に対して、月明かりのような存在ですね。

その土台があってようやく、事業×組織の最初の壁をスタートアップは乗り越えられるのだと思います。

これは当然あらゆるスタートアップに必ず当てはまる方程式では無いかもしれませんが、マクロで見れば本質だと考えています。

No.2は好敵手であり、最後は最大の支持者であること。

担ぐ、バランスをとる、リスペクトする。
これは何も創業者に迎合せよ、というわけではありません。
むしろ対立すべきところはしっかり対立し、彼が持ち得ない別の視点を常に提示し続けることもNo.2の大きな価値だと考えます。

会社としてより良い意思決定の、判断材料をより広い視点で集め、テーブルの上に広げる努力こそNo.2には求められます。
その上で、最終的な意思決定に対しては、例え心が反対でも、前進全力でそのトップの方針を支持して実行する。
それこそがNo.2に求められる資質であり、そういった資質を持ったNo.2を採用できるかがそのスタートアップの成否を大きく左右するといっても過言では無いでしょう。

===

そういったNo.2の生き様に、個人的には粋を感じてやみません。
そんな人間こそ、No.2気質なのでしょうね。

苦しい時は創業者の良き相談相手に。

組織の批判が創業者一点に集中する時でも唯一の味方に。

創業者が抱える孤独を誰よりも汲み取れるように。

そうやって、アンバランスを維持しながらバランスをとることこそ、No.2の生き様であり、スタートアップが大成するための重要なエッセンスではないかと思います。

そして、常にこう言って、今日も創業者を横からそっと支え続けるんですね。

"Hey! Stay hungry, stay foolish!"

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Kenji Tomita / 冨田憲二
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