【今日の瞑想】貢献と、独善と

仕事終わりに歩いていると、
周辺地図の掲示板の前で、
地図をおろおろと見ているおばあさんが
目に留まった。
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淡い水色のシャツの背中と脇に、
大きく汗がしみていて、
この蒸した夜気の街を
そこそこの距離を歩いてきたのでは？と思い、
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「どちらまで行かれるんですか？
　道のことで、お困りですか？」
と声を掛けた。
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「あのね、◯◯町に行きたくて」
「その手前の、××町のとこなんだけど」
「△△の方から歩いてきて」
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歩いてきた地点から考えると、
恐らく逆方向に歩いて来てしまっていて、
ナビアプリで調べたら、
ここから目的地まで1.5kmは離れていた。
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電車に乗っても、
近距離ながら乗り換えがあるので
歩いてもあまり所要時間は変わらない。
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とはいえ、おばあさんの歩みだと、
もっとかかりそうだなとは思った。
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道順はさほど難しくない。
でも、本当にわかるのか気に掛かって、
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「その先、◯◯橋を渡る方に行ってくださいね」
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何度も、何度も、繰り返して伝えた。
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もしかして、わかってないんじゃないか、と
気に掛かったけれども、
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「ありがとうございます」と言われて、別れた。
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でも、帰宅してしばらく経った今も、
その方のことが
何となく、気に掛かっている。
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すごい汗をかいていたけれど、
ちゃんと、何か飲み物は飲んでらしたんだろうか。
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ホームレスのような身なりではなかったけれど、
もしかして、電車賃がないか、
勿体無いと思って、歩いてらしたんだろうか。
（確かに、大した距離ではないとも言える）
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こういうのって、
どこまで関わるのかって、難しい。
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中途半端な関わり方をしてしまったことを、
反省した。
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その方が目的地に着くまで、
究極的には、一緒に行くことが
「完璧に関わること」なんだろうけれど、
それもまた、独善かもしれず。
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何が親切で、
何がやりすぎ、お節介なのか。
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わからないけれど、
自分が後から気になるような関わり方は、
しないほうが、きっといいのだ。
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わたしが出来ることと、
相手が求めていることの、バランス。
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もしかしたら、
不安になって地図を見ている時に、
誰かに声を掛けてもらっただけでも、
あの方にとっては、よかったのかもしれない。
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どれだけ推測したところで、
相手の想いの実際のところは、わからない。
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わたしに出来ることがあるとすれば、
後になって「ああすればよかったかなー」と
思わないで済むような関わり方を、
自分で感じて、選んでいくことだけで。
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わたし自身の、その時、その時の想いに、
ますます、細やかでいたいなと思った。
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