誤解されがち学科・ガリ勉専攻(管理栄養士養成校)ってこんなところ
毎週火曜日投稿を目指す、栄養学生のすごくかなです。
感染対策のため、自宅に引きこもる日々が続いています。
今は何事もなく国家試験を受験できることがいちばん大事…。
今回はタイトルがやたら強い感じになってしまいました。
内容は至って地味なので名前負けしてる感じがしてアレですが、ぜひ最後まで読んでいってください。
(ヘッダーイラスト:杉江慎介さん)
▼思ってたのと違う
管理栄養士養成校での勉強内容は、世間が想像するであろう栄養学生のイメージと結構ずれているのではないかと考えている。
管理栄養士になりたくて、よーく考えて大学を選んだ私ですら、いざ通い始めてみたら「思ってたのと違うww」と感じることが結構あった。
管理栄養士養成校って、こんなところ。
もっといろんな人に知ってほしいと思っている。
▼ ①お料理学校じゃない
料理が苦手だった私がビクビクしながら栄養学の道に進んだことは、1つ前のnoteに記した通りである。
あのときの自分に、怖がらなくて大丈夫だよと教えてあげたい。
だって、管理栄養士養成校はお料理学校ではないのだから。
栄養学は、その家庭的でやわらかな印象とは異なり、理屈っぽい学問だ。
もちろん調理実習の授業もあるのだが、そこでは「根拠に基づいて筋道の通った作業工程を実行すること」が重要とされる。
もう書き方から理屈っぽい。ヤダヤダ。
食塩濃度何%だから…とか言いながら調味料の計算をし、それを全部はかりで計測し(一般的な大さじ小さじ表記は使わずグラム表記に統一することになっている)、手順に沿ってさっさと調理する(超時間厳守)。
実習後は当然レポート提出である。
レポートには、「なぜこの調理操作で食材がこういう風に変化したのか」というようなことを、科学的根拠を示しながら簡潔に書く。
調理は化学実験とあんまり変わらんな!というのが、4年間で得た感覚だ。
サイエンス大好きキッズの私は、この気づきのおかげで料理への苦手意識がなくなったのだった。
▼ ②守備範囲広すぎ問題
管理栄養士養成校は、食の総合的なプロを育てる学校だと思っている。
つまり、守備範囲は食に関することは何から何まで全部。
このヤバさを、ぜひわかってほしい。
例えば、食が絡む法律や、最近行われている栄養政策のこと、人間の身体と病気のしくみ、食べ物の化学的な性質、教育のための行動心理学、食品の衛生に関するエトセトラ、献立の立て方と表記の仕方など……。
勉強してきたことが多すぎて、ここには書き切れない。
調理実習はもちろんだが、薬品を使った実験や微生物の培養もやる。
ちなみに、経営学や統計学なんかも少しだけ勉強した。
栄養学はサイエンスだとさんざん書いてきたけれど、管理栄養士養成校に関しては、食に関することなら「栄養学」以外も守備範囲である。
もはや文系とか理系とか関係ないのだ。
管理栄養士養成校を花嫁修業の学校みたいに思われている方はやっぱり時々いるのだけど、私たちが駅のコンコースで採取した空中落下細菌をシャーレで培養したり顕微鏡で見たりしてると知ったら、どう思うんだろうか。
▼ ③人生の夏休みは来ない
大学生活はよく、人生の夏休みに例えられる。
新しい何かに挑戦したり、バイトと遊びに勤しんだり、たまに遠出したり。
世間一般的な大学生のイメージは、そんな感じではないだろうか。
もちろん私も、自由でフレキシブルで刺激的な大学生活を送る自分の姿を想像して、期待に胸を膨らませていた。
大学1年生の6月くらいまでは。
管理栄養士養成校のカリキュラムは、なかなかハードである。
私の場合は、卒業所要単位126単位、そのうち専門必修が90単位。
7割以上が専門必修科目だし、4年の後期までしっかり授業が入っていた。
多いときは週6日、土曜日も祝日も関係なく大学に通った。
必修だらけの時間割には「1限を避けて履修登録する」みたいな概念がないので、サラリーマンで満員の通勤快速に乗って、朝8時半に登校していた。
課題に追われすぎて、慢性的に睡眠時間が3時間/日だった時期もある。
毎朝、ギリギリ二足歩行ができるかどうかみたいな状態で通勤快速に押し込まれていた。
もしかして、結構たいへんな学校に来てしまったのではないか…?
”人生の夏休み計画書”は、小さく丸めて心のゴミ箱に投げ入れたのだった。
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思い描いていた自由は全然手に入らなかった。
誤解されがち学科・ガリ勉専攻へ見事な適応を見せた私は、キラキラ大学生にはなれなかった。
それでも、ここに来てよかったと思う。
個人的には、お料理嫌いを克服した。本当に食に詳しくなれた。
目標に向かって頑張る、頑張り屋で素敵な友人がたくさんできた。
思ってたのと違う4年間を、私はしっかり楽しんだのかもしれない。