明晰夢
睡眠中に見る夢で、それが夢であることに気付いているものを明晰夢と言う。
人によってはその夢の内容を、自身でコントロールできるらしい。
私はよく夢を見る。もっとも人は誰しも毎日夢を見ているらしく、それを覚えているか、覚えていないかで
夢を見たか、あるいは見ていないか、ということになる。
夢は、脳が活発に動いている際のレム睡眠中に見る。
このレム睡眠の最中は、脳が記憶の整理や定着を行っているとのことだ。それが夢を見るという現象に結びついているとの説がある。
私はよく夢を見る、と先に述べたが、
明晰夢は生まれてこの方、たった1度だけ見たことがある。
ただ、夢の中で、これは夢だと気付いた瞬間、目が覚めるというのはしょっちゅうあるのだが、これは明晰夢とは言わないだろう。
さて、その一度きり見た明晰夢は以下のようなものだった。
それがどこなのかは分らないが、私はビルのエレベーターホールでエレベーターを待っていた。
私はいつも夢の中では視力がある。ちゃんと見えている。エレベーターが今何階にいるのかが確認できる。
自分が何階にいるのかは覚えていないが、2基あるエレベーターは共に1階で留まっている。
階段を使って降りた方が早いと思い、エレベーターに向かって左側の方に歩いて行き、階段を探した。
しかし、そこには階段らしきものが見つからない。それどころか、ドアもなにもなく、壁で行き止まりになっている。
逆の方かなと思い、逆方向、つまりエレベーターに向かって右方向へと歩いた。
しかし、そこも壁で行き止まりになっている。
その時気付いた。これは夢であると。
しかし、その夢から覚めない。夢に閉じ込められてしまったのだ。壁を叩いても蹴ってもどうにもならない。
閉じ込められているという苦痛から逃れられない。どうすればいいのだろう。そうこうしている内に眠りに就いたようだった。
朝目が覚めた時、これも夢ではないかと疑った。ラジオに手を伸ばしてスイッチを入れ、周囲を確認し、やっとそこが現実であることを認識した。
#明晰夢