バイオマス、ホントにクリーン? 結局輸入? え、PKS? その前に…木って伐っていいんですか?
前回、「再エネはクリーンでも、再エネ事業すべてがクリーンなわけではない。でもシン・エナジーはクリーンです!」と宣言して終えました。
まったくもって「???」ですよね。
もう少し言葉を足しましょう。
■木質バイオマス発電
一例として、木材を燃料とする木質バイオマス発電で説明します。
下の図は国内の木質バイオマス発電所の所在と出力規模のマップ。
(※以下のマップは(一社)日本木質バイオマスエネルギー協会より引用)
ちょっと見にくいので、東北を拡大してみると…
たとえば北陸・中部もエイッ!
中国・四国もトリャッ!
そして九州も…
何か気づきませんか?
ふつう、山の資源を使うから山に立地しそうなものですよね?
でもこの図から分かるのは、大型の発電所が海岸に多く立地しているという事実。
これってつまり、木材を海外から大量に輸入して発電を行っているということになりませんか?
もちろん海岸にあるからといって全部が全部そうではないことはお断りしておきますが。
木材を満載し、はるか日本までの船旅でどれほどの化石燃料を使うのでしょう…
化石燃料を減らすはずの再エネ発電なのに、どういうこと?
再エネ普及のため、私たちは毎月の電気代に上乗せして〈賦課金〉というものを払っているのですが、燃料を輸入するということはこの賦課金、つまり国民の財産が海外に流出するということ。
日本は国土の68.5%が森林で、木材がたっぷりあるのに、海外から買いつけているわけです。
何やってるんだ!
本来クリーンなはずなのに、書いてるこっちもだんだんダーティな気分に。
■ところで、木を伐っていいの?
ここで、一つの疑問が出そう。
輸入材に問題あるのは分かったけど、どこ産であれ、CO2を吸収してくれている木を伐っていいの?
はい、その疑問にもお答えします。
木を燃やして出るCO2はそれまでに吸収した分なので、燃やしても大気中のCO2は増えません。
これ、カーボンニュートラルって言うんです。
さらに、木って樹齢20年を超すとCO2の吸収量がだんだん減少するそうで、そんな木を伐って燃料として有効活用し、その代わりに植樹すればCO2の観点からしてよいというのはすぐ分かりますよね。
加えて、しっかり間伐すれば、残された木は根がより育つようになり、近年毎年のように起きている崖崩れを防ぐことにもなるので、適切に木を伐ることはむしろ必要なんです。
なのに、安いという理由で海外から買うんですね…
さらに、油分を含むために発熱量が高いPKS(パームヤシ殻)を燃料に使うところも多いとか。
PKSには、木と同じく海上輸送に化石燃料がいる問題、そしてパームヤシを植えるために広大な熱帯雨林が伐採されて生物の多様性が失われる問題!
大型発電所をフル稼働させるためにPKSを輸入し、PKSを使う前提で新しく作る発電所がさらに大型化し、というとんでもない話に。
なんてことでしょう。
国産材を使う場合でも、周辺に適材がないからと遠方で買いつけてトラックで運んでくるものもあり、輸入材と比べたらわずかに罪は軽いものの、やっぱり同罪!
■シン・エナジーはクリーン!?
シン・エナジーは輸入材や他地域の材は使用せず、その地域の間伐材、未利用材で賄える規模の発電所を設計、運転しています。
そもそも材のないところでは計画しませんから!
いかがですか?
「再エネはクリーン」「再エネ事業すべてがクリーンなわけではない」「シン・エナジーはクリーン!」の意味が分かってもらえたでしょうか。
電源開発に潜む問題とシン・エナジーの姿勢について前回と今回で述べてきましたが、次回は、なぜここまでシン・エナジーが地元材にこだわるのか、地域や林業との関係を軸に語りたいと思います。
どうぞお楽しみに!