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早すぎるんだ 夏

『ちょっと待って』

鼻腔をじわっと暖められるような

甘ったるくてちょっと湿り気のある

そんな空気が

油断していた僕の内側に

あっという間に吸い込まれていった


それはもう “夏” だった

まぎれもなく


『オイ、すっ飛ばして来たんだな』

一番苦手なところ

その刺すような“光”を

仕方なく腕で受け止めて

眼を傷付けないように

注意深くまぶたを開いた


(あぁ、どうかしてる。もう来た。)

間違いない 夏だ

憎らしいほどに 夏だ


夏は容赦なく

ぼくのエネルギーを吸い取っていく

当たり前だろう

そうじゃなきゃ あんなに熱量をもたない

だからこんなに早く憂鬱な気持ちになるのか


『せめて梅雨を先に連れてきてくれ…』

充分な水分も溜め込んでいないのに

こんなに光にさらされたら敵わない



この夏は じつに耐え難いものになりそう

そんな春の終わり












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