なみだの痕
季節がらの くしゃみが止まらず
右側の風は まだ旋毛をなでている
外苑前のサクラ通りを ひとり
知らないふりでやり過ごして
慌てる前に 無表情をつくる
わかりたくないのに わからせられる日常
せっかくサクラが咲くのに
つまらないモノに つまずきっぱなしで
手のひらの何もない中身に
何かを見つけたくて
虹を描いてみた ハル
傘がいらないのは 雨が降ってくれないから
お願いをどれかひとつ聞いてよ
“おそらく”に恐れなくていい日が欲しい
知らなくていい事を教えられない日々も
絵手紙の裏を 埋める努力をやめたい
停滞気味の 趣味にしたかった事にさよなら
くすんだ色の夜に 星をばら蒔きたい
冷凍庫にも たまには光を与えてあげて
たかが夢でも 本気にしちゃうようなのは
悲しくなるからやめてよ
ライト ギリギリ セーフ狙って走る
季節の曲がり角で
右側の風が折れて
延びっぱなしの約束は
調べを奏でることもなく消えた
あの日々が こんなに大切だったなんて
わからずに眺めてた ナツ
切なくて眠れない アキ
想いを閉じ込める フユ
願わくば もう少し笑っていて欲しかった
外苑前 吹雪 こぼれ落ちたぼくは
至って普通のしぐさで
大抵のことを認めていますって足取りで
いくらも歩かないうちに
経験したこともないくらい 泣いたんだ
どうすることもできないんだけどね
君が描くしあわせの中には
ぼくはきっと居ないから
始まったサヨウナラに 印をつけて