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秋のシドニーは、午後の5時前後で空が暗くなる。
晴れてはいたが、雲の多い日だった。
こういう日は、えてして夕日が美しい。
パブ帰りのほろ酔い気分のなか、そんな考えが頭に浮かんだのでアパートの屋上に上がってみた。
うん、想定通り。
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空はまだほんのりと青みを残していて、グレーがかった薄い雲が、街の上を切れ切れに覆っていた。
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太陽が街の背後、西側に落ちていくにつれ、空のあちこちがピンク色に染まり始めた。
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ピンク色の雲は時間と場所次第でサーモンピンク、紫がかったピンクと色調を変え、あちらこちらに拡がってきた。
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青い空も、だんだん色調を落として暗くなりながらもその青さを踏みとどませている。
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太陽は、地平線に近づくにつれて、その赤みを増していく。赤い帯が、町のビルの背後にあたかもカーテンのように拡がっていった。
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ふと目を上に戻すと、青い空はもうそこになく、紫とグレーの混じった色が水に落とした墨汁のように漂っていた。
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眼下の街からは、ねぐらに帰る鳥が最後の歌を鳴き交わしていていて、そこに車のエンジン音が時折重なった。
冷たい夜風が吹いてきたのを機に、僕は屋上を後にした。