瀬戸内経由九州長崎へのヨット旅
現役世代は、休暇を取って1ヶ月を越えるヨットクルーズの旅に出る事は難しいです。
ヨット購入して6年が経過、やはり旅が目的で購入したヨットですから、そろそろ計画を実行しないと。 という事で、仕事は4月までで切りをつけることとし、準備を開始しました。
船検の問題
限定沿海を5マイル追加で全国を周るか、臨時航行区域の変更で行くか?
小笠原への航海のように陸地からの距離が離れるケースと異なり、デイセイリングのみで尺取り虫方式を取る今回の計画では期限に定めのない5マイル追加の方が自由度が高いと言えます。
また今回は沼津へ戻るか九州に留まるか未確定であった事から、その目的に合致したのは5マイル追加での船検取得でした。
クルーの確保
いつもは、夫婦でダブルハンド、もしくはシングルハンドで駿河湾のセイリングを楽しんでいるが、今回は漁港への停泊、それも初めて入港する泊地も多く、リスク軽減の策として早い段階から、ベテランセイラーに乗船依頼をしていました。
それ以外にもヨットクラブメンバーで、来年瀬戸内への航海を計画していた知人もご夫婦で乗船いただく予定となりました。
ヨット旅が主目的ですので、気の合う仲間が多いのは食事も観光も楽しむ事ができます。
一方でクルー参加はスケジュール調整が必須で自由度が無くなるというデメリットもあります。
ヨット旅はシングルと決めて計画、準備を進めるセイラーも多いのは事実です。
どのような選択を取るかというのはあくまでオーナーあるいはキャプテンの自主判断による訳です。 何が良いかは人それぞれですね。
航海期間
一般的には春は強風が数日おきに吹き、夏は暑さ対策が重要、秋は台風の影響を考慮しながらの航海となることから、ベストシーズンは5月連休前から梅雨明けぐらいというのが、日本周辺を2〜3か月周るセイラーの一般的な考え方のようです。
ただ地域によって梅雨入り時期が異なるため、日本一周のようなケースでは上記スケジュールは当てはまらないでしょう。
我々のケースは梅雨入り前6月初旬に出発し、目的地の長崎には梅雨明け前の7月上旬に到着しました。 ゆっくり瀬戸内も周る事ができました。
天候予報
基本は雨が降っても風がキツくなければ出航するというルールで、向かい風20ノットが連続して行程の3割を越える場合は風待ちすると言う基本ルールで、出航する、しないを決定しました。
ただ先の天候が更に悪化していくようなケースでは、敢えて厳しい状況でも次の泊地に向かうという判断もありえます。
ただクルーの乗船、下船都合での無理な航海は行いませんでした。
燃料消費と補給地点
ヨットといえど、風のみで航海するのは難しく8割から9割はエンジンを使用する事になるため、1日40-70マイル走るとなると、毎日30Lから60Lは軽油を消費していきます。
私の船は200Lタンクとポリタンク6個で120Lを搭載できましたので、1日平均50L消費と仮定すると、補給無しで一週間の航海ができる計算です。
実際補給したのは、波切、田辺、弓削、新門司の4箇所でした。
停泊地からスタンドまでの距離はとても重要で、手で持ち運ぶのは非常に大変です。
補給地点は予め調べておく必要があります。
浮桟橋か岸壁か
今回漁港とマリーナ設備、フェリー桟橋などを利用しましたが、漁港は5ヶ所のみでした。 干満差が大きい大潮で岸壁が高い漁港への係留は非常に気を使います。
その点小型艇の場合は停泊に自由度が生まれます。40フィートを越えると停泊地の選択肢が減る可能性があります。
航海の概要
実際の総距離 約 828NM
エンジンアワー 約 150時間
消費燃料 約 600L
クルー参加のべ人数 6名
その他
漂流物、ホンダワラ、漁具や仕掛けなどワッチを怠ると、ペラに絡めて潜る事態となるようなリスクは多々ありました。最低でも2名でのワッチ体制をとる事の重要性を感じました。
出会ったヨット達
10艇前後のクルーズ艇と途中寄港地で交流ができました。 直島でのニュージーランド艇、徳島でペラが脱落してしまい修理待ちの知人、弓削島でクラシカルなケッチ2艇、室津で知人のシングルハンド艇、などなど、キャビンにお邪魔したり、航海の苦労話などいろいろ情報交換ができ、ネットワークを更に広げる事ができました。