檸檬
この頃はどうも暑くて私は体どころか心まで壊されてしまったようです。
夏といえば青春など、学生生活の骨頂とも言えるような青と赤が入り混じる季節だと感じておりますが、皆様におかれましてはどうでしょうか。
私はこの頃どうにも心の奥底の煮え切らない気持ちと布団の中で戦う生活を送っております。
散歩にも出かけました。小一時間の散歩道は歩き慣れ擦り切れるほどに脳に焼き付けた景色だけでした。何も、何もありませんでした。最近は散歩に出るだけでも悲しくなります。歩いたとしても結局のところ見知った道を往復するだけで日々を適当に上書きしているだけなのだと思うわけです。
高校三年生の皆さまにおかれましては梶井基次郎先生の執筆された「檸檬」と言う作品をご存知かと思われます。
作品中本文に「私は、できることなら京都から逃げ出して誰一人知らないような市へ行ってしまいたかった。」とありますが、結局のところ今も昔も人間は変わらないようで、ここではないどこかへ行きたいのだと、
別に今の生活が苦しいわけでもない、目に見えた不幸も多少しかない。それでも日々は苦しいもので、
僕は「檸檬」と言う作品がおそらく人生で読んだ本の中で1番好きだろうと思います。好きな作家は三島由紀夫先生ですが、檸檬と言う作品で自分が1番好きなところは綺麗事で終わらせないところですネ。爆弾で全てを飛ばそうとする妄想と変わらない現実とが折り混ざっており、レモンの味わいの奥深さと似ているところがあります。ちなみに檸檬が好きすぎて私のバンドの曲である「人生辞めたい.com」の仮題名は檸檬でした。
いつか私と貴方の人生と音楽が一編の小説のような人生になることを願っています。
お別れくらい爽やかでありたいじゃないですか。檸檬のように。
それでは改めまして。さようなら。
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