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空飛ぶ納豆菌

黄砂と聞くと、大気汚染、目や呼吸器にアレルギーをもたらしたりと完全に悪者のイメージ。
だが、地球の生態系に重要な役割を担っているのだそうだ。

黄砂は地上のミネラルを含んでいる。それらはパラパラと世界に降り注ぎ、海の表面部に豊かな栄養素を振り撒く。面白いことに黄砂は工場や車などから排出される窒素酸化物をもくっ付けながら浮遊し、これがプランクトンにはご馳走となっていて、衛星画像では砂漠の砂塵が通ったあとに、植物プランクトンが活性化しているのが見て取れるという。

さらに黄砂は酸性雨を緩和している。これは浮遊中の黄砂が公害物質を付着させたり、黄砂に含まれるカルシウム分が溶け出して中和したりしていることが原因ではないかと思われている。

そしてその黄砂の1割には微生物も乗っていて、その中にはバチルス属の菌がいる。バチルス属(納豆菌もバチルスの仲間)は有機物を分解する能力(平たく言って腐らせる力)が強く、物質循環に重要な役割を担っている。

バチルスは、より高い成層圏まで舞い上げられた黄砂に潜み、鎧兜のような頑丈な芽胞を出して休眠状態になり、強い紫外線から身を守りながら、何かのタイミングで地球のあらゆるところに降り注ぐ。そして死んだものを分解し、そして生まれくる新しい命の栄養素を作る。彼らは生態系の維持の大きな役目を請け負っている。

そしてそして、納豆菌が…

この辺でやめておく。すでにネタバレ投稿になっているが、おおお!と思ったことを書かずにはいられない。でも「おおお!」ポイントがまだまだたくさんあるから大丈夫。

日本における黄砂の研究拠点は石川県珠洲市だそう。中国からくる黄砂を日本の影響を受ける前に収集するには絶好の場所らしい。この本が出版されたのは2012年。今はどうなっているのだろうか。

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