LEICA M240が使いこなせなかった話
実を言うと、過去に36回払いでLEICA M240を購入し、所有していたことがあります。購入した当初は、レンジファインダーのレの字も知らず、ただYASHICA Electro 35がデジタル化したらいいのになーっていう理由で買いました。
ついでにMマウントのレンズも買いました。ズミクロンがほしかったのですが、36回払いでカメラを買う男に手が出るはずがなく、またZeissレンズを所有していたので、Planar 50mm f2 ZMとBiogon 28mm f2.8 ZM、Biogon 35mm F2 ZMを購入しました。
念願のデジタルレンジファインダーなだけあって、最初はどこへでも持ち出して、楽しく写真を撮っていました。
2400万画素ながらローパスレスという珍しいCMOSセンサーはキレキレの絵を吐き出してくれました。また、フィルムモード?だったかなのスムースを愛用していました。ですが、ある日RAW現像しちゃうので、LEICAの色ってなんだ?となりました。
レンジファインダーの二重像をスッと合わせて、コトっという控えめなシャッター音を奏でるLEICAからは、撮影の喜びというものが感じられました。この辺で満足しておけばよかったですね。段々とLEICAのことを調べるにつれ、巨匠たちがLEICAで撮影した写真を目にする機会があり、こんな写真は撮れないなあと感じ始めていました。また、値段が値段だけあり、伝説も多数あるこのメーカーのカメラは、僕の手にはもったいないとも感じていました。巨匠たちの写真を目にするたびに、なんとも言い難い違和感が自分を包み込みました。
LEICAに向き合えば向き合うほど、平凡な写真しか撮れない自分に嫌気がさし、しばらくは写真を撮るのをやめていたほどです。そんな状態も薄らぎ、また写真を取り始めた頃に起こった出来事が「我が子の誕生」です。
一生に一度しかない大切な時間は、一番いいカメラで撮ろうともう一度、LEICAを手にする自分がいました。しかし、寄れない、被写体は動くので僕の手では追いつけない・・・と、また言い訳をするようになってしまいました。そうやって、自分に言い訳をし、LEICAに負けてしまいました。
はっきり言って、寄れないなら寄れないなりの写真を撮れば、被写体が動くのであればしっかり追えば良いわけなので、完全に私の負けです。それだけLEICAというカメラは難しかったのです。
ちなみにお産に持っていったのは、自然とLEICAでなくa7riii、夜中の2時に叩き起こされ、カメラをひっつかむときに「絶対に失敗できない」と考えた自分はLEICAではなく、a7riiiを持っていったのです。本当にLEICAを愛し、使いこなしている人なら、LEICAを持っていけたはずです。
そうして、気がつけばLEICAを下取りに、a7rivを購入していました。また、Mマウントレンズは、35mmを売り払いました。ちなみに50mmと28mmに加えて、いつのまにかdistagon 18mm f4を購入していました。でも、レンジファインダーでdistagonはなー。。。と思っている自分もいました。
ですが、フィルム機になりますが、Zeiss Ikon ZMはまだ手元にあります。フィルムなので慎重に丁寧に撮ることができるので、時間を味方に寄れないなら寄れないなりの写真を撮ることができ、また追えないなら諦めるという選択肢もでてくるわけです。これが何故かデジタルだとできません。
甘っちょろい考えを持った写真小僧を打ち倒す力があるのはLEICAぐらいなものです。そんなことがいいたかったのです。
でも、いい思い出もたくさんあります。まず、LEICAを持っているだけで声をかけられます。いろんな人と出会っては写真の話やカメラの話をすることができ、とても楽しかったです。
ちなみに・・・LEICAを批判する気は一切ありません。機材としてタンパクに分析すると①重たい、②デカい、③起動が遅いというウィークポイントもあります。③に関しては電源をつけっぱなしにしていたのですが、①、②に関してはレンジファインダーなのになあ・・・と辟易としていました。そんな僕ですが、心のどこかでは薄くなったLEICA M10がほしい自分も潜んでいたりするのです。また、写真がうまくなったら出会いたいですね。