あーiPadProのサイズがもっと大きければ完璧なのにーーー!漫画を描きたいんだけどiPadProとワコムの液タブ、どっちがいいのか?
記事概要
この記事はclip studio paintを使用して漫画を描く、ただその一点のみに要点を絞った上で、iPadProとWacomの液晶ペンタブレットを比較したものです。そのほかの機能に関しては完全スルーですのでそこだけご注意ください。
漫画を描くために、コンピューターのこと全然わからないけど、iPadProとワコム液タブのどちらを購入するか悩んでいる・・・という方の参考になれば、程度の備忘録です。
まず、筆者は、漫画アシスタントで基本的な生計を立てつつ、たまに読み切り作品を雑誌に掲載して連載を目指す、新人作家です。
アナログ原稿の経験もありますが、現在は完全にデジタル移行し、アシスタントも在宅勤務のみとなっています。
筆者の使用環境
Macとワコム液タブ
Mac mini(2020年モデル)M1 メモリ16GB、ストレージ512GB
Wacom Cintiq Pro 24 (ペンモデル)←マルチタッチ機能無し
clip studio paint EX(シリアルナンバー取得済みソフト)
iPad
iPadPro第三世代?(2018年モデル)11インチ、メモリ4GB、ストレージ512GB
ApplePencil第二世代
clip studio paint EX(サブスクアプリ)
コンピューターの専門家じゃないので細かいことはわからん。
漫画制作するにあたって気を付けるスペックはこれくらいです。
結論からいうと
筆者はMacとワコム液タブをメインで使用しています。
なぜなら、液晶画面が24インチで大きいから。
アシスタント先や筆者自身の作品の掲載先が紙雑誌であるということもあって、なるべく実寸くらいの拡大率で作業した方がいろいろとやりやすいです。拡大しまくって作業してると変に細かく描き込みすぎたりするんですよね。ペン入れ時の線の細さとかも細すぎると印刷飛んじゃうし。
24インチの液晶タブレットなら、商業誌の原稿サイズである縦長のB4のキャンバスが、少なくとも横幅は見切れることなく実寸サイズで表示できます。
16インチとか、12.9インチのiPadでも表示できなくはないんだけど、クリスタのウィンドウを画面の横にいっぱい並べてるとキャンバススペースは小さくなりますからね。
比較
とはいえiPadもいいところたくさんあります。
そもそもこの記事は、ワコムの液タブをiPadの描き心地に近づけるにはどうすればいいか、その結論が出たため備忘録としてしたためています。
筆者自身、これまではiPadの方が描き心地はいいんだよな〜と思いながら、しかし作業効率のためにワコムの液タブを使用していたのです。
そして、使う人の使用スタイルによってはiPadのほうがメリット大きい人も多いかと思います。
ですのでひとまず比較してみました。すごくざっくり、個人的な感想含む比較です。
値段
・iPadPro
安い。22万くらい。
ApplePencilが2万くらい。
これだけ買えば始められる。
総額24万円。
・ワコム液タブ
総合的に高い。
筆者の使用するWacom Cintiq Pro 24は23万くらいで、そしてさらに、パソコンを買わないと使えない。
筆者の使用するMacminiは14万くらい。
あと左手デバイスにTourBoxを使っていてそれが2万くらい。
総額39万円。
大きさ
・iPadPro
小さい。
とはいえ筆者が使用しているのは11インチのほうなので12.9インチだとまた違うかも。商業連載でiPadPro12.9インチを使用している先生も何人か見たことあります。
・ワコム液タブ
大きい。
一番大きいやつはほんとに大きい。
筆者が使用している24インチも十分大きい。
書き心地
・iPadPro
最高。なめらか。細かくかける。なんかとにかく書き心地がいい。
板が薄いので筆圧強めで押し付けるのはちょっと怖さがある。
・ワコム液タブ
表示解像度4kの場合なら、iPadと同じくらい最高。
表示解像度フルHDだとiPadには劣る。
ここが非常に重要な点で、後述します。
使い勝手
・iPadPro
持ち運びできる。
しかし筆者は在宅勤務なので仕事で持ち運ぶことはほとんどない。
趣味利用なら、同人イベント行く人、仕事部屋が無くてリビング等で作業したい人、家庭があってすぐ片付けられる方がいい人はiPadの方がいいと思われる。
仕事利用なら、カフェなど外でも作業したい人はiPadがいいでしょうね。
ただずっと作業してると、本体の充電はコンセント繋いでればいいのですが、ApplePencilの充電が5、6時間で切れるので長時間作業には向かないです。
・ワコム液タブ
完全に固定。そのため液タブのための作業机が一つ必要になる。
安定感がある。よっぽどのことがない限り落としたりすることはない。
ペンも充電しなくて大丈夫なやつ。
なにより、肩こり腰痛になりにくい。これは人それぞれだと思いますが、大きい液晶画面でしっかり傾斜をつけて置き、ちゃんとしたオフィスチェアに座って作業していれば、毎日長時間作業してても健康的な姿勢がわりと保てます。
iPadは机に置くと、傾斜つけても描写する位置が低くなるんですよね。そのために、どうしても下を向く姿勢になってしまい、首が痛くなる。高い位置にスタンドを作ればいいのかも?
利き腕の置き所も必要。Wacom Cintiq Pro 24は液晶画面を囲むスペースが広く取られていて、作業中腕を置いておけるのがとても良いです。最近発売されたWacom Cintiq Pro 27はこのスペースが無くなってて、どうなんだろう・・・と思ってる。
描写中は利き腕なんて液晶の上に置かれるじゃん、てかんじなんですが、クリスタのウィンドウ(レイヤーとかツールとかの)を利き腕側に置いてると、それらのウィンドウを操作するとき腕が液晶部分よりはみ出ることになるのです。そのはみ出た腕を支えてくれるスペースがあるのが個人的にとても良いと思ってます。
そのため逆に、iPadではクリスタのウィンドウ類は利き手と逆側に配置しています。大きい液タブでそうすると腕の移動距離が大きくなっていちいちめんどくさい、ってなるのですが、iPadのサイズなら指先でちょっとペンを伸ばせば届く距離なのでそこまで不便ではない。
左手とショートカット
・iPadPro
使用できる左手デバイスに制限がある。
とはいえ、そもそもマルチタッチなので拡大縮小回転取り消しなど基本的な操作は指で完結する。直感的に操作できて最高。
ただイラストならともかく、漫画制作は細かくショートカットを設定した方が圧倒的に効率がいいので、ワイヤレスキーボードなどを左手デバイスにするのが便利。
・ワコム液タブ
いろんな左手デバイスが使用できる。
ワコム純正のもあるし、クリスタが出してるのもある。
筆者は液タブにセットになってついてきたExpressKey RemoteとTourBoxNeoを併用している。テキスト入力用にキーボードも繋いでいる。ワイヤレスの方が便利そうな気もするけど、たまに接続が不安定になったり充電が切れたりするのがわずらわしいので全て有線で接続してます。
左手デバイスもかなり模索してこの形に落ち着きました。
マスク適用とか選択解除など、単純なショートカットはExpressKeyに割り当てている。
キャンバスの回転や拡大縮小など、描写作業をしながらササッとこまかく直感的に動かしたいショートカットはTourBoxNeoに割り当てている。ダイヤルがいくつもついてたり長押し中のみ効果などがあって便利。
この辺の直感的な操作はiPadの方が優れていると思いますが、TourBoxNeoを導入したことによってだいぶカバーされました。
重い作業
・iPadPro
大きい3Dモデルを動かすのは難しい。
例えば学校の教室など。建物系はよくフリーズする印象です。
傘とか自転車とかはまあ普通に動く。
これは筆者のiPadProが何世代か前ので、メモリが4GBしかないからです。
最新モデルだと基本8GB、最大だと16GBになるようなので、この点で液タブ(というかパソコン)に劣るということはないと思われます。
・ワコム液タブ
大きい3Dもサックサクに動くLT変換の時間も短い。
これはコンピューターの話なので正直ワコムの液タブの性能というより液タブを繋いでるMacminiの性能が良い、という話なのですが・・・。
Macminiを購入する時メモリを16GBに積み増ししたので、クリスタで漫画制作するぶんにはどの作業も非常にサクサク動きます。
とりあえずこんな人におすすめ
非常に主観中心の比較でしたが、使用感としてはこんな感じです。
それぞれメリットが違って人によっておすすめのものは違うかな、と思われます。
仕事として毎日長時間作業する、という人にはワコム液タブがおすすめ。
趣味としてちょっと描きたい、初めて漫画を描く、もしくは漫画よりイラスト中心に描くかも、という人にはiPadがおすすめです。
あーーiPadProのサイズがもっと大きければ完璧なのにー!を解決する。
さてそして、筆者と同じように仕事として毎日長時間漫画を描く人に向けておすすめしたい、現在の筆者の作業環境はこちら。
Mac mini(2020年モデル)M1 メモリ16GB、ストレージ512GB
Wacom Cintiq Pro 24 (ペンモデル)←マルチタッチ機能無し
ExpressKey Remote
TourBoxNeo
clip studio paint EX(シリアルナンバー取得済みソフト)
正直、iPadProとApplePencilの描き心地を知ってしまうと、あーーiPadProのサイズがもっと大きければ完璧なのにー!と思ってしまう。
きっと同じように思っている人、けっこういると思います。筆者の周囲でもよく聞くし、筆者自身もそう思っていました。
しかしなぜiPadProはあんなに描き心地がいいのか?
ワコムの液タブだって、あんなに高額なんだから、おなじくらいの描き心地を発揮してくれてもいいのでは?
まず、iPadProの描き心地の良さは大きく以下の2点があげられます。
1・キャンバスを指先のスワイプ動作で直感的に回転させたり拡大縮小したりできる。
2・画素密度が高いため表示倍率が実寸程度のサイズでも解像度が高くて細かいとこまでよく見える。
このうち1はワコムの液タブでも解消できます。マルチタッチ機能付きの液タブを購入するか、左手デバイスを工夫すればOKです。
そして非常に重要な点が2の画素密度です。
画素密度ってなんぞや?
筆者もふんわりしか分かってないのでこの辺を参考にしてください。
まあつまり、同じ解像度の画面であっても、表示する液晶画面の大きさが小さければ画素密度は高くなり、液晶画面が大きくなれば画素密度は低くなるわけですね。
iPhoneなんかははちゃめちゃ画素密度が高くて、大型テレビなんかは画素密度が低くなる。ただ、テレビは大型になるほど画面から離れて見るものになるのでiPhone並みの画素密度なんて必要ないという。
しかしペンタブレットとしては、ただ画面を見たいだけではなく、細かい描写作業を行いたいので、この画素密度が低いとな〜んか描き心地が悪くなるのですね。
そしてiPadは液タブと比べて画面が小さめというのもあって画素密度が非常に高い。そのため描き心地がいいようなのです。
つまり、画面の解像度が低いし、画面のサイズも大きめなので、液タブは画素密度が低い、ということです。
画素密度を上げるには画面のサイズを小さくするか、画面の解像度を上げるかのどちらか。しかしこの24インチの大きさの画面で描きたいと思っているわけで。
では画面の解像度を上げるしかない、ということです。
この結論に至るまで、てっきりApplePencilの筆圧感知能力が高いのか?とか的外れなことを思っていたのですが、別にそういうわけではないぽいですね。その辺はむしろワコムの液タブの方が優れているようです。
そして筆者はそれまでWacom Cintiq Pro 24を、フルHD解像度表示で使用していました。液タブと繋いでいたパソコンの限界がフルHDだったからです。
しかし!Wacom Cintiq Pro 24は4Kまで対応しています。めちゃくちゃ宝の持ち腐れをやってたということです。
パソコンの話
そこでパソコンも4K対応のコンピューターに変更。
筆者はスマホもiPhoneだしiPadも引き続き使っているのでパソコンもapple製品にしました。(もともと使ってたパソコンもめちゃ昔のMacBook Airでした)
appleで揃えるのがなにがいいって、AirDropが非常に便利だからです。
筆者はclip studioのクラウドをあんまり信用してなくて(デスクトップで保存先を動かすと消えるので。データを作っては消したり入れ替えたりしたい)そのためiPadとパソコン間のデータもAirDropでやりとりしています。
iPhoneで保存した資料写真のやりとりなどにも便利。
あとデスクトップのデータをまるごとiCloudドライブに上げてストレージ節約しているんですね。あれもこれもiCloudアカウントと紐づいてるし。
Windowsでもスペックが一定以上あればもちろん大丈夫です。
自作pcつくるようなコンピューター詳しい人とかゲームとかに使う人はMacじゃ物足りない〜みたいな話も聞きますね。
まあclip studio paintで漫画描きたいだけならそんなハイスペックさは必要ないでしょう。きっと。
パソコンのスペック何を気をつければいいの?っていう機械音痴のために書いておくと、パソコンを選ぶ時に(漫画を描くことだけを念頭に置いた場合)チェックしなければいけないのは以下4点。
・ストレージ容量
・メモリ容量
・最大解像度
・液タブに接続するためのポートがあるか(HDMIポートなど)
ストレージもメモリもGBで表示されるからごっちゃになるけど別物ですね。ざっくりいうとストレージは保存できるファイル容量のことで、メモリはコンピューターの処理速度のことです。
筆者はストレージ512GB、メモリ16GB、最大解像度6K(4Kで十分なんだけど6Kまでいけるらしい)、usb-a×2、usb-c×2、HDMI×1、で使用しています。
閑話休題。
で、悩んだのですがどうせ液タブに繋いで漫画描くだけにしか使わないので、普通のデスクトップのMacではなく、Macminiを購入しました。
Macminiとはなんぞや。
液晶画面がついてない、Macの中身のコンピューターだけのやつです。
デスクトップのMacより安いし、場所も取らないし、いいことずくめです。
他の人のレビューなんかを見ると、Macminiは音響スピーカーがダメダメらしいですね。たしかにそれはある。でも漫画描くのにこのパソコンから音流す必要はないので問題なしです。iPadのスピーカーが優秀なので音楽とかはそっちから流したりしてます。あとはイヤホン。
Macminiにはモニターがついてないので、普通はモニターを別で準備しなくてはいけないのですが、すでに接続する液晶はWacom Cintiq Pro 24があるので問題ありません。
ただし最初はワコムのドライブをダウンロードしてないので有線のマウスをつないで操作しました。ちょっとした操作に便利なのでそのままマウスも使用してる。
モニターではなくワコムの液タブにMacminiを接続したレビューとかブログとかぜんぜん見当たらなくて、ちゃんと接続できるかちょっとドキドキしながら購入したのですが、全然問題なかったです笑。
HDMIケーブルで接続しています。
これで晴れて液タブがiPadProの描き心地に!!
まあ長々と説明しましたが、要するに、PCも液タブも4K解像度であればiPadProと同じ描き心地になる!のです!
ここで注意なのですが、ワコムの液晶タブレットシリーズのうち、WacomOne、Wacom Cintiq無印は画面解像度はフルHDまでのようですね。
Wacom Cintiq Proのみ4K対応のようです。この記事を見て購入を検討される方はご注意ください。
まあこれはどんなに金積んでもいいからデカイiPadProはないのか・・・と思っていた機械音痴な商業作家さんに向けて書いたので、そういった方の参考になればと思います。
iPadも最高なことに変わりはないので、普段は液タブで仕事しつつ、遊びで落書きする時なんかはiPad使い続けていくつもりです〜。
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