小児/妊婦の解熱剤
子供が急な発熱。
解熱剤が欲しい…でも手持ちには親のロキソニンしかない…使いまわす…か?
ダメです。
どれぐらいダメかというと、小児科的には
『ダメ、ゼッタイ』
ぐらいダメです。
というわけで、まずはダメな理由の解説。
『ライ症候群』
という致死的な脳症の原因になりかねないから。
・ロキソプロフェン (ロキソニン)
・ジクロフェナク (ボルタレン)
・アスピリン (大人用のバファリンなど)
・メフェナム酸 (ポンタール)
あたりが該当します。
これらは小児の発熱には 『禁忌』 です。マジでやめれ。
インフルエンザと水痘の発熱時に上記を使うとアカンのですが…
『その熱が絶対に水痘やインフルエンザではないと、誰が保証できる?』
なので、効き方の経路が違う
・アセトアミノフェン (商品名はカロナール、アンヒバ、アルピニーなど)
が小児科領域の解熱剤になります。
妊婦の場合
妊婦の場合、本人にはあまり影響はありません。
が
胎児の『心臓に』影響が出る可能性があります。
なので産婦人科医が責任もって処方したとき以外はダメです。
まず
『胎児の血液循環が特殊』
というのが知識として必要です。
普通の大人や子供の心臓はこう。中学校理科で昔やった心臓の構造です。
肺で酸素補充
→左心に戻る
→大動脈
→全身で酸素使う
→右心に戻る
→肺動脈
→肺で酸素補充
これを繰り返してます。 でもさ。 胎児って羊水プカプカで肺水浸し。
Q:どーすんの?
A:こーすんの。
肺が使えないので、胎児期にだけある『動脈管』というバイパスを使い、大動脈に血を回します。
その分、大動脈は全ての血が流れるので、血流たっぷり。
それが胎盤・へその緒で酸素補充して全身に回ります。
肺から左心に戻るはずだった分の血は『卵円孔』という抜け道で帳尻合わせ。
んで。
実は、この動脈管は『プロスタグランジン』という成分で保たれてるんです。 ロキソニンやボルタレンといったアスピリン系列の解熱鎮痛薬は『シクロオキシゲダーゼ』というものを抑えることで痛み止めや解熱をしてるんですが……
シクロオキシゲダーゼが抑えられると、プロスタグランジンが減っちまうんです。
そうすると。
動脈管が細くなってしまう。
すると 抜け穴(卵円孔)だけでは血流を捌ききれないわけで。
①心臓の中が血液で大渋滞!
②親方ぁ! 心臓の外にも行列が!! (全身の血液が戻り切れずうっ滞→胎児浮腫)
③ええい! 激混みすぎて心臓が上手く動かん!!! (心不全)
と…空から女の子も降りてこないのに、嫌ぁなピタゴラスイッチが爆誕してしまいます。
そりゃー、1回内服したからって即アウトになるわけじゃないですが…人によって、体調によって、そんなもん変動しますからね。
というわけで、余程でない限りは妊婦にはロキソニンなどを処方しません。
処方していいのは、胎児の成長や状態をしっかり責任の下に確認している産婦人科だけです。
というわけで、こちらも効き方の経路が違うアセトアミノフェンが主体になります。
おぼえとけー
小児と妊婦にはアセトアミノフェン!
りぴーとあふたーみー
小児と妊婦にはアセトアミノフェン!!!
もいっちょー