日記 11月12日 invert 城塚翡翠倒叙集
気付いたら今年もあと1ヶ月半となりました。中高生くらいまでは、年末年始に近づくにつれどこか気持ちが高鳴るような感覚があった気がします。しかしてもう20回以上もこのくだりを繰り返していると慣れなのか「今年もそろそろか」くらいの感覚だけで、なんなら寒がりなので気持ちが落ちていく気すらする始末。特に今年はやっと長袖一枚で外に出れる!嬉しい!でお馴染みの秋が遂に消滅したせいもあって本当に気が滅入る。
いつまでもそんなことを言っていてもしょうがないので、読んだ本の感想に移りたいと思います。今回は相沢沙呼さんの『invert 城塚翡翠倒叙集』を読みました。
ちょうど一ヶ月ほど前に前作に当たる『medium 霊媒探偵城塚翡翠』を読んで、見事に敗北してしまったため購入せねば……と外出のついでに本屋に。一緒に2冊ほど買ったので面白かったらそっちのレビューもしたい。
『medium 霊媒探偵城塚翡翠』は中編集の形式を取っていて3つの中編が載せられています。前作のインタールードを挟みながらの全4話構成と比べると、全編を通しての流れがなく完全に独立しておりしかも犯人視点で描かれている点など前作との差別化を感じる構成になっています。
帯には『midumすら、伏線』と挑戦的な文言が、かなり期待して読み始めましたが正直最初は前作を超えるとは思えませんでいた。
1話も2話も確かに前回犯人が味わったような恐怖感を体験できる点や、前回は後出し気味に出せれた翡翠の推理に今回は最初から挑める点は前作を踏まえた上の作品として十分成立していると思います。しかし帯の煽りから感じた期待感にはまだ届いてないなと言うのが正直な感想でした。
そんで3話。初めて翡翠の演技をぴしゃりと言い当て、証拠も残さず、殺人に少しの動揺も見せない強敵。唯一の証言者を取り合う展開や前作のラストのような緊迫したシーン。そして帯にて示されていた今作のどんでん返しが明らかになり………
見事に今回も気づけなかったので、何を言っても言い訳になってしまいそうですが幾つか気になる点(悪い点でなく自分の好みと合致しなかった点)がありました。
今作は各章の謎解きパートに入る際に翡翠からの合図が差し込まれます。こういった少しメタなシーンだと捉えることができる演出はよくある演出なのですが多用されるのが少し気になってしまいました。
ミステリーというジャンルが作者からの読者への挑戦という要素が含まれているのは確かですし、説明(助手に考える機会を)も一応なされていたので文句をいうほどではないのですが、どうしても作品への没入感が削がれてしまい物語を情報に変換にしてしまう気がしてしまいます。
(もちろんミステリーでは多用されますし、作者は一種そういった効果を狙っているのでしょうが)
それと最後のどんでん返しについて、その必要性や理由について正直弱いと感じてしまいました。読者に驚きを与えるためという意思が先行しているような感じを受け、驚きと同時に残念に思いました。
まぁ珍しく気になる点なんてものを書きましたが、もちろん面白い作品だったことは事実で、前作や宣伝に期待を煽られ過ぎたというだけだと思います。続きが刊行されるなら多分買いますし。
次は今日読んだ円香のLandingPointがあまりにも効いたのでそれに関して書きたいです。
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