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佐渡の医療事情について

こんにちは。
筋の整体屋さんの逸見です。

さて今回はなぜ当整体が【痛み専門】になったのか、その内容をお話ししたいと思います。

前回の自己紹介の記事の中に〈地域柄のせいかやってくる患者さんの訴えがコリや疲労の範疇を超えるものばかり~〉と書きましたが、これには佐渡という離島特有の地域課題に関わってくる内容で少しばかり佐渡のネガティブ発言が含まれますが、私の施術法誕生秘話には避けて通れない事実なので、世界遺産に登録されこれから地元を盛り上げようとする各諸団体の機嫌を損ねない程度にお話ししたいと思います。

まず佐渡という地域は令和6年度に世界遺産登録されて以降、観光にかつてない賑わいを見せております。また佐渡金山だけでなく自然豊かで離島というリゾート気分を味わえる環境は、都会の喧騒を離れてゆったり優雅に暮らしたいと考えるセカンドライフ層に刺さるのか、年々移住者が増加傾向にあります。それは定年層だけでなく企業する若者もビジネスの拠点に佐渡ヶ島を選択する方も大勢います。

それはそれで喜ばしい話なのですが、地域課題として移住者は増えているにも関わらず人口は減少の一途を辿り、毎年約1000人規模で減り続けています。そして人口減少に伴い限界集落のようなインフラの維地が困難な地域も増え続けています。

それは観光地域としては最適でも、生活するうえでは必ずしも最適ではないということです。田舎はしょせん田舎、都心部に比べインフラ整備の基盤が圧倒的に劣っています。それは医療機関においても言えることなのです。
特に私の整体分野に大きく関係する整形外科は総合病院を除いた町医者的な個人医院は一軒しかなく、また地域によっては総合病院でもかかりつけ医がおらず本土から定期的にしか医者がやって来ないため、診療日が飛び飛びなところもあります。
また設備や治療など、受けられる医療サービスも似たり寄ったりで「病院を選ぶ」というには程遠い環境です。それはつまり田舎には自由に医療機関を選択できる余地はなく、セカンドオピニオンすらままならないという事なのです。

また医療機関の数が少ないため、多くの患者がその場所に集中するあまり1人1人の診察時間は刹那のごとく一瞬です。予約をしても待ち時間2時間で診察は1分の光景が当たり前のように行われています。

そして大抵はレントゲンを撮って「異常は見当たりません、痛み止めと湿布で様子を見ましょう」と診断されて終わりです。また、それ以上の精密検査を希望するなら専門医がくるこの日に来てくださいと言われる始末です。
同じ田舎でも陸が続いている地域ならちょっとした遠出で済むかもしれませんが離島はそうはいきません。まず船の時間が限られていますし、天候によっては欠航もあり得ます。そして余計な費用もかかってしまいます。そうそう簡単に(ドクターヘリ以外で)本土の病院に受診することなどできません。
そんな環境的ハンデを背負った地域だからこそ、「異常はありません、様子をみましょう」と実質匙を投げられた患者さんの頼る所は我々のような整体になってくるのです。
都心部のように医療機関が数多くある地域では、まず整形外科にかかった患者さんが次に選ぶ場所に整体を選択肢にいれるなんてことは無いでしょう。ちょっと離れた所に別の整形外科があるのですから。
実際私が開業してからは(当初は接骨院でしたが)東京で修行していた頃には診たこともない症状ばかりで、一体どう手を付けたらよいか分からないのがほとんどでした。
また東京での修業時代は、患者さんがここでは治らないと判断したら早々に離れて別のところに行くのですが、選択肢のない地域だと他に頼る所もなく、ここでは時間をかけて診てくれる分病院よりはマシという理由で一向に当整体から離れてくれません。

また病院側の横柄な対応に嫌気がさし、我々整体を拠り所にしている病院嫌いの人達も少なくはありません。Dr.コトーのように情熱を持った医者が離島にやって来るなんてのはフィクションなのです(笑)
このような離島ならではの医療事情のせいで、当整体には普通の整体院ではまず診ることもないレベルの症状が毎日のように集まってきます。

しかし極寒の環境に揉まれたお陰で『脈管機能修繕法』を編み出すことが出来ましたし、治療家として高みを目指すには、ある意味好条件が揃った環境とも言えなくはないです。

ただ私が重大な医療サービスを受ける立場になったときは絶対に本土の病院に行きますね。死んでも地元の医療機関には受診しません(笑)