ブラタモ鴨川会の補足
先日6月18日の放送で鴨川がブラタモのテーマになったが番組内では取り上げられなかった点を何点か補足する。皆様の観光の参考になれば幸いです。
まず鴨川について。鴨川は貴船神社等を起点とし京都市街地東部を流れる河川である。今は川幅も広く穏やかなイメージのある鴨川だが、昔は氾濫を繰り返し治天の君として絶大な権力を手にした後白河法皇でさえ天下三不如意(思い通りにならない3つのこと)にあげた程の川である。
一度氾濫が起きれば京の都に大きな被害をもたらし続けてきた川なので水を司る貴船神社への信仰は非常に厚いものであったと考えられる。
番組の中では水を司る神社であるという部分にヒューチャーしていたがそれは貴船神社の一面にすぎない。ここではそれ以外の面について紹介する。
貴船神社は多くの風習の原点を知ることができる神社である。丑の刻参りも貴船神社が由来であり、絵馬も貴船神社が由来である。干ばつの時には黒馬を長雨には白馬を奉納して祈願していたがそれが後に生きた馬の代わりに馬形をした板立馬を奉納したのが日本の絵馬の原点である。
また丑の年、丑の月、丑の日、丑の刻に貴船の神が貴船山に降臨したとの由緒から丑の刻に参拝をすると本願成就するといわれそれが現在の丑の刻参りの原点になっている。なお今の貴船神社は夜中は閉まっているので丑の刻参りは難しい。
このように風習の原点となった貴船から流れた水は賀茂社に流れていく。
賀茂社は上賀茂神社(賀茂別雷神社かもわけいかづちじんじゃ)と下賀茂神社(賀茂御祖神社かもみおやじんじゃ)に分かれているがどちらも世界遺産に登録されている。
貴船神社が風習の原点を見ることができる神社とするならば賀茂神社は神社の原点を見ることができる神社である。
神社建築には春日造(奈良春日大社など)、流造(賀茂社や宇治上神社など)、八幡造(石清水八幡宮など)、権現造(北野天満宮など)といった様々な種類があるが現在の日本で見られる神社の多くは流造を採用している。この流造の原点を見ることが賀茂社である。
また賀茂社は祭りの原点を見ることができる神社とも言える。今の京都で祭りというと祇園祭だが中世までは賀茂社で行われる葵祭が祭りの代名詞であった。石清水八幡宮の南祭に対し賀茂の北祭とも呼ばれ京都を代表する祭りであり続けた祭りである。
奈良春日大社の春日祭、石清水八幡宮の石清水祭、賀茂社の葵祭は三勅祭(天皇が正式な使者を派遣する祭り)と呼ばれ古くから重要視されてきた祭りである。
葵祭は源氏物語にも登場し京の文化を形成し、広く言えば日本の文化を形成してきた祭りと言っても過言ではない。
賀茂社を抜けた鴨川は出町柳で高野川と合流する。その三角州は鴨川デルタと呼ばれこれに関してはTwitterで皆様詳しいので割愛する。
このように鴨川付近は日本の様々な原点を見ることができるスポットという捉え方も面白いのかもしれない。